ノリクラ 雪渓カレンダー
 
Vol.8(2012/06/30〜07/01) G

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(Update:2012/07/05)

 

【畳平、お花畑】

それでは、本日(6月30日(土))から一般開放された畳平のお花畑の様子をお伝えします。

 

入口付近の雪の壁 − 現在4.3メートル

畳平バスターミナル横にある入口から階段を下りてお花畑に向かいますが、ご覧のとおり、階段部分にはまだ積雪が残っています。階段部分の雪の壁は4.3メートル。観光客の中には、この時期の残雪にものめずらしそうに雪をお持ち帰りされる方もいらっしゃいました。

バスツアーでお越しの場合、畳平での滞在時間が一時間にも満たないケースもあり、周辺散策も遠くまで足を延ばすことができません。それでも、こんな間近に大きな雪の壁を見られることができるのは、よい思い出になることでしょう。

 

積雪は周回コース手前まで − 周回コースには雪はありません

積雪は周回コースの木道が始まる付近まであります。右の画像のように、お花畑周回コースの残雪はほとんどありません。

 

木道部分の積雪は完全にありませんが、周辺にはまだ残雪が見られる状況です。

 

ハクサンイチゲの新芽はまだ数センチ

この付近は先週から今週にかけてようやく雪解けが完了したばかりのところですから、ハクサンイチゲの新芽もまだ数センチ程度です。

 

ミヤマキンバイの新芽 乗鞍環境パトロールの巡回

まだ、お花畑といえる状態ではありません。ハクサンイチゲの新芽以外に、ミヤマキンバイの若葉もちらほら見られます。ただ、こちらは、ハクサンイチゲ以上に小さなもので、おそらく見落として通り過ぎてしまうことでしょう。

こちらは乗鞍環境パトロールの方。鶴ヶ池雪渓などスキー滑走が指定されていますが、スキーヤーの中には、その趣旨が十分伝わっていないような様子が見受けられるときもあるそうです。その結果、「だからスキーヤーは...」と、ネガティブに捕らえられる状況を招くことが最も心配で、自分のフィールドを保全するためにも、滑走指定されている趣旨を理解して行動してほしいとおっしゃっていました。

ノリクラでは、岐阜県の乗鞍環境パトロールのほかに、森林管理署管轄のグリーン・サポート・スタッフなどもパトロール活動をしています。このように巡回活動は重要で大切な活動と思われます。しかし、ロープなどの設置に関しては、雪解けが進んで常に建て直しが必要となる雪渓の上に大きな看板を設置するなど、過剰とも思われるケースや、自然保全上、この場所だけ特別に規制する必要性に疑問があるケースが散見しています。それとは逆に、この時期はここに規制を実施しないと影響が大きいと思われる箇所へロープ設置がなされていない様子もあります。

単に登山道を示す誘導ロープではなく、規制という意味合いがあるのであれば、設置に関しては整合性を持ち、また、実効性のある規制方法を検討してもらいたいものです。

 

こちらでは木道の修繕を行っています。

 

歩行者が足を引っ掛けないよう、段差の面取り

雪解けと共に土台部分の土壌が流されて、木道が傾いたり、固定ボルトが緩んだりと、毎年、必ずどこかで補修が必要です。土台部分の補修を行うと、木道のつなぎ目に段差が生じ、歩行者がそれにつまづくこともあり、段差の生じた部分はご覧のようにノミで面取りを施します。

 

木道の整備は毎年行う

お花畑は、不動岳や不消ヶ池などからの雪解け水が流れ込んで、土壌が流されやすい場所でもあります。そのため、木道の整備は絶えず必要です。

また、いわゆる「雪田」と呼ばれるエリアであることから、多くの高山植物が分布して、お花畑を形成するわけです。

 

雪解けの早いところではつぼみも(ハクサンイチゲ) ミネズオウ − 岩場を好む高山植物

お花畑の西側は比較的雪解けが早かったこともあり、右の画像のように、つぼみをつけたハクサンイチゲも見られるようになって来ました。前述のとおり、畳平のお花畑は雪田と呼ばれる環境で、雪解け後は湿地帯に近い状態です。そのため、湿り気を好む高山植物が多く分布します。

逆のことを言えば、もう少し環境の厳しい場所に自生する高山植物は少なく、特に岩稜地帯や砂礫地帯に自生するものなどは、あまり多くありません。それでも、右の画像のように岩場を好むミネズオウが開花し始めている様子が点在しています。

話が異なりますが、畳平のお花畑には砂礫地帯がありませんので、ここにはコマクサはありません。観光客の方がパンフレットを片手に「コマクサだ!!」と、指差している木道沿いの高山植物は、大半がコイワカガミのようです...

 

畳平のお花畑の高山植物の今年の状況は、例年よりも若干遅れ気味になるように感じます。

 

【昨年の今ごろは?】

2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.8(2011/07/01〜02) @

取材一日目の7月1日(金)は、薄曇の朝を迎えます。今日から県道乗鞍岳線の冬季閉鎖が解除されてシャトルバスの運行が開始します。そのため、のりくら観光協会によるシャトルバス出発式が9時から行われましたが、その直前から雨に見舞われる状況。先ほどまで見えていた高天ヶ原の山肌も雲に飲み込まれます。大雪渓付近は小雨が降り続き視界が150メートルにも満たない状況。そんな中でもモーグルコースではコブ管理人によるコース作りが、明日の週末を控えて行われました。

取材二日目の7月2日(土)は、強い日差しに朝からじりじりと照りつける状況。ただ、この晴天も一時間ほどで雲が支配するようになり、次第に冷たい空気に支配されます。7月最初の週末ということもあり、大雪渓にはたくさんのスキーヤー・ボーダーがお越しになっています。そして、正午過ぎには雨が降り始め、周囲は濃霧に包まれます。ただ、この雨も一時的に14時過ぎには再び綺麗な青空に包まれ、避難小屋に待機してたモーグラーの方々も果敢にコブを攻める様子が再び始まり、今シーズンの夏スキー開幕を楽しみました。

 

<編集後記>

「陽の目が当たらない裏方さんやささやかな出来事」

7月1日(日)の朝、観光センターから今日の取材が始まりました。観光センターの売店もいつものように朝の準備が始まります。売店の女将さんから「乗鞍天空マラソンの特集、見ましたよ〜。厨房も掲載してくれてうれしい...」と、朝の挨拶もそこそこに第一声がこれでした。そして、今日も朝早くから、女将さん方が厨房に集まっています。

9時になると、のりくら観光協会の方々が観光センターに集まり、シャトルバスの出発式が始まります。例年この出発式は、単に運転手さんに花束を渡して、来場者に粗品を渡すだけのもので、セレモニーという形態をしっかりとっていないところに、いささかもったいないところがあります。報道関係者が取材しようにも、取材シーンを想定した会場設定などもありません。そのため、今回は花束贈呈・記念撮影シーン・お見送りシーンの各ポジション設定を、急遽執り行わせていただきました。

朝早くから厨房に集まって作っていたのは、出発式で来場者に粗品として進呈するおやき。まだ、出来立ての暖かさの残るもので、せっかくよいものを作って、夏山シーズンへの期待をこめるという意味合いからも、もう一工夫あるとよいと感じたシャトルバス出発式でした。

乗鞍天空マラソンのエイドステーションに提供する山菜のお惣菜を作っていること。ささやかながらシャトルバス出発式を執り行っていること...これらは、裏方作業であったり若干地味で目立たないため、一般の報道ではあえて取り上げられることが少ないものです。しかし、WebSiteで取り上げられることで、うれしさを感じてもらえることが一番大事なのではないかと思うのです。そんな、ちょっとしたことでも、ノリクラに関連することであれば、今後も取り上げて行きたいと思います。

 

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