ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.3(2008/05/31〜06/01) B
【屋根板から位ヶ原へ】
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屋根板 |
それでは屋根板から位ヶ原に向かいます。位ヶ原からスキー場へ降りるツアーコースは雪解けが進んで滑走できない状態となってしまいましたので、大雪渓方面からの下山はこの屋根板を位ヶ原山荘まで滑り降り、春スキーバスの下り便に乗車する必要があります。
ご覧のように屋根板はまだかなりの積雪があって問題なく滑走できます。
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急速に雪解け − ダケカンバの根元が現れ始める | 縦溝 |
今まで地面が全く見えなかった屋根板もよく観察すればダケカンバの根元が現れ始めたところもあり、雪解けが急速に進んでいることがわかります。そして、雨の降った後のバーンは雨水が流れ落ちた縦縞模様が現れ、そんな流れは谷の深いところに集まってしっかりとした溝ができはじめるようになってきます。
それほど深い縦溝ではありませんが、滑ってみると結構足をとられるものです。ただ、滑り降りられないほどの状況ではありませんが、今後はいたるところで深い縦溝が発生することと思います。
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雪の中からダケカンバ |
そして雪解けが進んでいたるところで雪の中に眠っていたダケカンバが頭をもたげはじめます。画像の左上にかすかに大黒岳から伸びる尾根が確認できます。その山肌はもう大半がハイマツ帯に置き換わり、このところの雪解けによる変化が激しいところです。
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屋根板上部 − 全体的に縦溝、 部分的に凍結 |
屋根板の上部は全体的に縦溝が走るようになってきます。先週の段階ではまだ縦縞だけでしたのでさらに降雨による影響が大きくなってきたことが分かります。そして右の画像は所々で再氷結したアイスバーン状態の箇所。それでもエッジが立たないほどの状況ではなく滑走には問題はありませんが、融雪と再凍結を繰り返すとバーンの凹凸は徐々に大きくなってきます。
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5号カーブ |
屋根板から位ヶ原に上がると宝徳霊神バス停のある5号カーブ付近に出てきます。県道乗鞍岳線の除雪はこの先の4号カーブを過ぎて大雪渓駐車場の先まで進んでいます。
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前回(5月25日(日)の5号カーブ − 壁の高さはほとんど変わりません |
こちらは同じ5号カーブの先週の状況。右の画像で比べるとお分かりかと思いますが、先週の画像では確認できなかったセンターラインが見える程度まで幅員が拡張されました。ただ、切り通しの壁の高さは大きな変化はありません。
位ヶ原山荘行きの春スキーバスは6月より大雪渓駐車場(肩の小屋口バス停)まで区間延長される予定でしたが、雪の壁に亀裂が入っている箇所が数箇所あり崩落の可能性が考えられるため、区間延長を見合わせています。
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車道へ滑り落ちないように... |
切り通しの高さは5メートル近くもあります。大雪渓方面から滑り降りてきた場合、視界の良いときは問題ないかと思いますが、濃霧の場合などは車道に滑り落ちないよう注意が必要で、ご覧のようにロープが敷設されています。
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位ヶ原 − 場所によっては積雪箇所とハイマツ帯が半々 |
位ヶ原は先週あたりからハイマツ帯が目立つようになって来ましたが、今週はさらに多くなり、場所によっては積雪部分とハイマツ帯の部分が半々といったところもあります。状況としては昨年並かやや多い状況で、例年と比較するとかなり多い状況といえます。
【雪渓下部】
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ここからはいつものように大雪渓の様子をお伝えします。
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今回(5月31日(土))の大雪渓入口 | |
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先回(5月24日(土))の大雪渓入口 − 50センチ以上の雪解けが見られます |
大雪渓入口付近の様子。上段2枚が今回の画像で下段2枚が先回の画像です。右の画像に写る登山口を示す看板が見え始めるようになって来ましたが、今週はさらに50センチほどの雪解けが見られます。状況としては昨年とほぼ同じ推移と言えます。
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大雪渓入口の右側に「高山植物等の採取は禁止されています」などのお願いの記載された看板があります。先週はその頭が見え始め、今週は看板本体がほぼ完全に姿をあらわすようになって来ました。こちらに関しても昨年並みの状況です。
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スキーヤー専用道沿いのハイマツ帯 | 長さは50メートルほど − 昨年よりもやや雪解けが遅い |
「前川国有林」の看板のあたりのハイマツ。先週は大雪渓入口からスキーヤー専用道にむかって左側にあるハイマツ帯としてちらほらとハイマツが雪面から覗いている状態をご紹介した箇所です。ご覧のようにもうしっかりと「ハイマツ帯」となっていて、50メートルほどの長さになっています。昨年はこのハイマツ帯がもう少し大きい状態になっていましたので、昨年よりも若干雪解けが遅れていることが分かります。
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トイレ前 − 昨年より1週間遅い雪解け |
こちらはトイレ前。先週よりも1メートル近く雪解けしています。しかし昨年よりも1週間程度遅い状況です。
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県道乗鞍岳線 − 除雪はここまで、畳平へはアイゼンが必要 |
大雪渓前の県道乗鞍岳線は完全に除雪が完了し、これより数百メートル先まで除雪作業が進んでいますが、2号カーブのある富士見岳からの沢付近はまだ手付かずの状態です。乗鞍スカイラインのシャトルバスでお越しになった方は富士見岳の沢を横切って1.5Km先の畳平に戻る必要がありますが、この沢はかなりの急斜面で雪が緩んでしっかりとした踏み跡が残っていれば良いものの、踏み跡があっても雪面が硬かったり、雪解けで踏み跡がなくなった場合は、アイゼンがないとトラバースすることができません。
乗鞍スカイラインのシャトルバスはダイヤが改正され、下り便は昨年より10分早い運行となり、Aダイヤ(通常ダイヤ)、Bダイヤ(荒天時ダイヤ)とも下り最終便は16時50分です。どんなに遅くとも最終便の1時間前には大雪渓駐車場を出発しないと間に合わない可能性がありますので時間に余裕を持って行動してください。
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雪渓下部全景 − 全体に縦縞模様 |
雪渓下部は全体的に縦縞模様ができてきましたが、屋根板や位ヶ原のような溝にはなっていません。
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モーグルコースの岩 − 先週よりも80センチほどの雪解け |
先週はまだ足元にあったモーグルコースの岩の頭が、ご覧のように人の背丈近い高さになり一週間で80センチ程度の雪解けです。先週の段階では昨年より1週間ほど早い状態でしたが、今週は昨年よりも2週間早い状況になっています。雪渓下部のほかのエリアが昨年並みかやや遅い状況を見せている中で、ここだけが昨年よりも早いペースを見せています。同時期にこの程度の雪解けを見せる年は過去にもありましたが、そのときの雪渓下部のほかのエリアはかなり雪解けが進んでいましたので、今年は雪の積もり方が例年とは異なっているのかもしれません。
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今年もクレパスが発生 − 長さ10メートル × 幅10〜20センチ |
先週までは見られなかったクレパスがモーグルコースのすぐ下に発生し始めました。長さはまだ10メートルほどで開口幅も10〜20センチ程度ですが、これから徐々に拡大して行くことは間違いないでしょう。(→ Next)
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