ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.18(2009/09/12〜13) B
【高山植物】
花ばかりが高山植物ではありません。全身で秋を表現する高山植物の様子をお伝えします。
コウメバチソウ(花) | ミヤマキンバイの紅葉 − 先端から進むグラデーションが見事 |
この時期ともなると、開花している高山植物が限られるようになります。それでも、コウメバチソウは、今となっては、白を表現できる唯一の高山植物です。
そして、そのすぐ脇には、ミヤマキンバイの紅葉が始まる様子が見られます。先端から進む色のグラデーションを楽しむことができるのも、この瞬間といえます。
ミヤマアキノキリンソウ − 黄色の花の最終ランナー |
ミヤマキンバイから始まって、ミヤマキンポウゲ、ミヤマダイコンソウ、ウサギギクの花たちが、黄色の花の世界をバトンタッチしながら季節をつないで行きます。そして、最終ランナーは、こちらのミヤマアキノキリンソウ。ピークの時期は過ぎていますが、つぼみの状態のものもまだあって、もうしばらく、黄色の世界が続いて行くことと思います。
シラタマノキ − 紅葉と花が同時に楽しめます |
高山の紅葉を代表するダケカンバやウラジロナナカマドの色づきに先立って、小さな高山植物の紅葉が始まり、低小木が張り付くエリアには、このように、紫色に変化を始める様子があちこちで見られます。
こちらはシラタマノキの紅葉。そして、よく見ると、まだ、花を咲かせています。紅葉と花を同時に楽しめるのも興味深いものです。
同じ低小木で、暗紫色に紅葉する高山植物として、クロマメノキやクロウスゴがあります。なかなか、見分けが難しいものですが、シラタマノキの葉は肉厚で、葉の輪郭が鋸状になっています。また、クロマメノキやクロウスゴが落葉樹であるのに対して、シラタマノキは常緑樹で冬になっても落葉しない点も見分けるポイントでしょう。
イワギキョウ(2009/09/05撮影) |
こちらはイワギキョウ。先週撮影した画像でご紹介いたしますが、まだまだ、至るところで見かけることができます。現物は、画像よりももう少し紫がかった色合いです。
ヨツバシオガマ(紅葉) − ハマデ美しい |
同じ紫でも、こちらは全身でその色合いを表現しています。ハマウツボ科のシオガマの仲間(シオガマキク属)は、「葉まで美しい(浜で美しい)」と、形容されるところから、シオガマ(塩釜)という名称が由来されますが、このヨツバシオガマを見ると、その意味合いを十分納得できるものと感心します。
キバナシャクナゲ(紅葉) − 落葉間際の葉が最後の任務を全うする |
高山植物の中で、最初に開花するキバナシャクナゲ。もう、その花が咲いているエリアはありません。ご覧のように、まっすぐ伸びた実をつけています。肉厚の常緑の葉は、秋になっても紅葉することはありませんが、任務を全うして落葉間際の葉は、最後の瞬間を主張するかのように全身を赤く染めます。
そんな自然のサイクルを見逃してはいけないような気にさせられます。
チングルマ(実) −ピンクの綿毛が雫に輝く |
チングルマの綿毛がピークを迎え、赤〜ピンクに染まった優しい風景があちこちに広がります。雨粒の雫をたくさん携え、透明なビーズで飾り付けられたピンクの綿毛を眺めていると、ミクロの世界へ引きずりこまれる感覚を覚えます。(→ Next)
■ご注意■
今回の大雪渓関連の記事はノリクラ初心者の方を対象にしておりません。ノリクラデビューをお考えの方は来年の夏シーズンをご検討ください。
これからの時期は天候の急変により降雪・凍結などで冬山の様相を呈します。今後、大雪渓に新雪が降った場合でも、急斜面とアイスバーンが残っていて、この時期にノリクラの雪渓で滑走されたことのない方や、ソフトブートのボードの方は絶対にお越しにならないようお願いいたします。
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