ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.3(2011/04/09) C
【ツアーコース V − 位ヶ原急斜面】
こちらはツアーコース最後の位ヶ原急斜面。これまで樹林帯を切りとおしてコースが作られていましたが、この付近からはオープンバーンとなってきます。
位ヶ原急斜面の積雪は先週より20センチ少ない積雪量。昨年と比べて50センチほど少ない状況です。
積雪量は先週よりも減少していますが、ご覧のように15センチほどのウェットな新雪が積もっています。ストックで突き刺した部分を見ると、黄砂で汚れた雪面を覆い隠すように降り積もっていることがわかります。
位ヶ原急斜面の上部で新雪が積もっていない箇所が一部あり、画像のように稜線付近の雪面が茶色に変色している様子が確認できます。風向きの関係でこの箇所だけ着雪せず、黄砂で汚れた状態がむき出しとなっています。
午前中、降り続いていた雨がやんで、天候の回復が徐々に感じられるようになってくると急激に空が動き始めます。雲が激しく流れて行く様子は意志を持って移動しているかのような雰囲気さえ感じます。
そして、今日初めて見る太陽が輝きはじめると、完全にずぶ濡れ状態のウェアが見る見るうちに乾いて行き、日差しの力強さというものを実感します。
遠景の様子も次第にはっきりしてきて、もう少し早く天候が回復していたらと、若干悔やむもの...
ウェットな新雪でストップスノーではありますが、パックされた雪面から比べればかなり滑りやすい状況。
雨の中では「誰もいない状況から早く脱出したい」という想いばかりが頭を駆け巡りますが、綺麗に晴れ上がった瞬間、その感覚は「誰もいないノリクラを独り占めできる!」と思うようになり、今日一日の辛さは一気に吹き飛んでしまいます。だから、また、ノリクラに通ってしまうんです。
<編集後記>
今回は全く人に出会うことのなかった一日でした。ツアーコースが滑走可能な時期は、週末ともなれば必ず誰かには出会うことができますが、これほどまで寂しい状況は久しぶりのことです。
ツアーコースは位ヶ原・大雪渓など山頂エリアと山麓とを結ぶバックカントリーコースで、冬季から春先の有雪期しか往来することができません。ツアーコース以外で上部エリアには向かうには、冬季閉鎖中の県道乗鞍岳線や鳥居尾根の登山道を利用することもできます。こちらは無雪期も往来可能で、紅葉シーズンなどでは、摩利支天から冷泉小屋・位ヶ原山荘・大雪渓・肩の小屋へ続く登山道は多くの方が訪れます。
無雪期のツアーコースは、最初の入口急斜面と出口の位ヶ原急斜面のブッシュが背丈以上もあって、往来は困難な状態です。そのため、ツアーコースを夏の登山道として利用することはできません。 三本滝ゲートから位ヶ原まで、車道だと10kmほど必要ですが、ツアーコースなら2km程度とかなり短く、もし、夏場も利用できれば、ノリクラのバリエーションがまた増えるかもしれませんね。
■ご注意■
今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)
Copyright (C) 乗鞍香辛料監視委員会 |
|