ノリクラ 雪渓カレンダープレリリース版
番外編<真冬のノリクラサミット>
(2011/12/24〜25) B
【位ヶ原山荘の夜 − ノリクラサミット】
位ヶ原山荘は冬季も営業する数少ない山小屋で、年末年始と2月上旬から10月下旬まで、軽食・喫茶などの休憩はもとより、宿泊も利用できます。例年、年末年始は天皇誕生日(12月23日)から成人の日(一月 第二月曜日)まで営業されています。
位ヶ原山荘には寝具などは完備されていて、寝袋は必要ありません。ただ、雪を溶かして飲料水を確保しているため、お風呂の設備はありません。水に関しては若干の不便はありますが、それ以外は民宿などとあまり変わらないといっても、それほど過言ではないように感じます。
外気はすでにマイナス10℃を下回る状況ですが、館内は赤々と燃える薪ストーブがあり、その周りを囲むように団欒が始まります。夕食の準備を待つ間、のんびりと過ごす事のできる時間が流れます。
長旅で疲れているメンバーもいるのですが、皆さん、疲労の色もほとんどなく、「だって、アナタ...あのころはまだ中学生だったじゃないの...」と、かつて一緒にフィールドで遊んだ思い出を、メンバーに語りかける場面もありました。
共通の楽しみ方ができれば、年代の差なんて関係がないのかもしれませんね。
そして、今日一番の楽しみである夕食の時間。
「鍋を囲む」と、いうことが如何に幸せなことか...
「サミット」という名がついていますので、本来なら、何か有益な話があって然りであろうと考えますが、ご覧のとおり、空になった缶ビールの本数から見ても、もうそんな堅い話のできるモードにはなっていません。
自然豊かなノリクラの中で、難しく考えることのほうが、元来ムリといえるかもしれませんね。
今日は全国的にケーキの販売量がもっとも多い一日ではないかと思います。もちろん、今日の日のために、メンバーがザックに包み込んで徒荷してくださいました。
ただでさえ、大きな荷物となる厳冬期の装備に加え、壊れないように持ってきてくださったことに感激です。
来年も、同じように集ってサミットが開催できればと思っています。単に飲んで笑ってということではありません。この位ヶ原山荘まで自らの足で登って来たからこそ、その有益性があるのです。
自動車のなかった古代の人々は、すべて人力しか頼るものがありませんでした。特に山間地域は冬季ともなれば、牛や馬を使うこともできず、すべてが人力による徒荷しかありません。松本地域で年末に食される「飛騨鰤」は、元々は日本海の富山で水揚げされたものですが、海のない「飛騨」という地名から命名されているところは、徒荷での物流ルートを反映したものです。
歩くからこそ、得るものがある...これが冬のノリクラの正しい楽しみ方です。
【12月25日、位ヶ原山荘はホワイトクリスマス】
そして、一夜明けた早朝7時の位ヶ原山荘は、曇り空の朝を迎えます。
気温はマイナス16℃。曇っていることと無風であることから、キーンと張り詰めた極寒ではありません。そして、東の空からは眠そうな朝日がゆっくりと起き上がってきました。
屋根板の奥には剣ヶ峰や富士見岳などのノリクラの峰々が見られるはずですが、今日は終日にわたってその姿を確認することができませんでした。
昨晩からの降雪は30センチ程度。位ヶ原山荘周辺は新雪に全面覆われていて、いうまでもなく、ホワイトクリスマスの朝を迎えています。
メンバーの方々も、飲みすぎた重たい体に、何とかエンジンを始動させて、出発の準備が始まります。
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今回の位ヶ原山荘前の積雪 昨年よりも1メートル近く積雪が少ない |
昨年の位ヶ原山荘前の積雪 ノリクラ 雪渓カレンダー 番外版(2010/12/25〜26) A |
構造物や目印がほとんどない中で、積雪量を昨年と比べることはなかなか難しいところですが、昨年のノリクラサミットのときの画像と見比べてみます。
乾燥室に入る階段の高さに注目してください。昨年よりも1メートルほど積雪量が少ないことがわかります。
そして、準備も整い出発です。
積雪量は少なくても、足元から感じられる柔らかい雪質は例年通り。さて、これからどこに行こうか...雪着きの場所を探しながら周辺を巡ります。(→ Next)
■ご注意■
今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)
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