ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.16(2013/08/24〜25) B
【雨の中のヒルクライム】
![]() |
![]() |
大会まであと1週間 − 最後の練習 |
雨は午前中を中心に降り続きましたが、全日本マウンテンサイクリングin乗鞍の開催まで1週間となり、この週末が最後の練習日という方も多く、雨を収まるのを待たずに登ってくる姿があります。
![]() |
ビニールカッパだけでも体温低下を防げる |
雨の降り方はそれほど強いものではありませんので、ヒルクライムしている最中はそれほど寒さは感じないと思われます。それでも、ご覧のようにカッパを一枚着るだけでも、体温低下が軽減されます。
![]() |
気温15℃ − 雨に加えて風も |
この日の気温は15℃ほど。標高2230メートルの冷泉小屋付近からは、雨に加えて風も感じられるようになって来ました。
![]() |
![]() |
どのヒルクライマーも全身びしょぬれ | レインウェアは必ず持参を − 下りで凍えます |
どのヒルクライマーも全身びしょぬれ...登山であれば、全身レインウェアというスタイルで防備すればよいものの、脚の運動性やサドルの着座感覚を考えると、レインウェアのパンツは着用したくないところでしょう。
雨に濡れることによる体温低下と、ヒルクライムでの発熱とのバランスが崩れると、一気に冷え込んできます。登りでレインウェアを着なくても体温維持できますが、下りは絶対にレインウェアが必要です。寒いといったレベルではなく、確実に凍えます。
![]() |
こちらは標高2350メートルの位ヶ原山荘。
![]() |
![]() |
森林限界を超えるとさらに厳しい気象条件 |
この先は森林限界を超えるため、さらに気象条件が厳しくなってきます。
![]() |
11号カーブ、ツアーコースの入口 |
位ヶ原山荘から1.5kmの11号カーブ、ツアーコースの入口付近。位ヶ原エリアにはいって最初に山頂方面が確認できる場所です。しかし、今日はご覧のように何も確認できない状況。
午後になって雨は収まるものの、この濃霧は終日続きました。
![]() |
![]() |
雲が低く流れ込む | この付近は完全に山岳地帯(亜高山帯〜高山帯) |
眼下をよく見ると、乗鞍高原方面には低い雲が流れ込んでいて、位ヶ原付近はその雲の上であることがわかります。しかし、今日はさらに上空にも雲があって、何層にもわたる雲が今日の生憎の天候の原因となっていたようです。
「この付近はもうアザミはないんですか...」登り続けるヒルクライマーの方からそんな問いかけがありました。
標高2500メートルの位ヶ原エリアは、亜高山帯から高山帯に入り、道路周辺の植生はほぼ完全に高山植物に限定され、アザミなどの山野草の姿はなくなってきます。
![]() |
位ヶ原お花畑 |
さらに進んで位ヶ原お花畑。
![]() |
![]() |
すべての高山植物一気に開花 | ミヤマキンポウゲ、モミジカラマツ |
先ほど申し上げたように、こちらで見られる植物は高山植物ばかり...位ヶ原お花畑は、2週間ほど前にようやく雪解けが完了したエリアという特殊性もあって、他の場所なら時期を追って順番に咲く高山植物が、ここではほぼすべての種類が一気に咲き始めます。
右の画像では、ミヤマキンポウゲとモミジカラマツが同時に咲いています。畳平のお花畑であれば、ミヤマキンポウゲの開花とモミジカラマツの開花には1ヶ月ほどの差があります。(この付近ではミヤマキンポウゲのほうが早く咲きます)
ただでさえ夏が短い高山帯なのに、雪解けがさらに遅いエリアでは、先を争うように高山植物が咲き乱れ、生命力の強さを感じさせます。
![]() |
![]() |
濃霧に包み込まれる | ゴールまで1.5km、もう少しの辛抱(大雪渓前) |
さらに大雪渓方面へと進むと周囲の視界は完全に奪われてきました。そして、気温は10℃まで低下する状況では、一旦、ペダルを止めてしまうと、寒さで動けなくなる状況です。早く、畳平に到着したいという気持ちだけで、ペダルを回し続けます。
おそらく、大会が来週に迫っている状況でなかったら、今日のような天候では、決してヒルクライムしないという方も多かったのではないかと思いました。
なお、最近、県道乗鞍岳線、及び、乗鞍スカイラインでは、自転車での事故が多発しています。下記の点に十分注して走行されることをお願いいたします。
【ヒルクライマーへのアドバイス・お願い(レインウェアの持参、熱中症と水分補給可能場所、走行上の注意点)】
本格的にヒルクライムシーズンが始まり、晴れていれば下りでも全く寒さを感じない状態となってきました。しかし、天候状況によっては防寒着が必要となることが多く、軽量化のために荷物を減らしたとしても、レインウェアなどの装備は必ず持参して下さい。
8月から9月にかけて、熊の出没が頻繁になる時期を迎えます。熊は森林の中だけでなく、道路上にも出没します。そのため、自動車のような走行音のしないヒルクライムは鉢合わせする危険性がありますので、熊鈴を鳴らしながら走行することをオススメします。
熊だけでなく、野生の猿も確認されています。
気温が低くても、熱中症には十分注意してください。特に水分補給が十分でない場合は途中で補給するようにしてください。
場所(観光センターからの距離、標高) |
飲料水 |
売店(スポーツドリンクなど) |
トイレ |
三本滝レストハウス(7km地点、標高1800m) | ○ (営業時間内) | ○ (営業時間内) | ○ (公衆トイレ) |
位ヶ原山荘(15km地点、標高2350m) | ○ | ○ (営業時間内) | ○ (営業時間内) |
大雪渓(18km地点、標高2600m) | △ (沢水) | × | ○ (公衆トイレ) |
終点畳平(20km地点、標高2702m) | ○ (営業時間内) | ○ (営業時間内) | ○ (公衆トイレ) |
持参したボトルがいつも以上に少なくなったときは、安全のため、上記の場所で水分補給をして下さい。上記の場所については、ノリクラガイドマップ県道乗鞍岳線カーブ番号版 を参照して下さい。
めまい、失神、早い脈、筋肉の痙攣など、体調不良を感じたらムリに下山せず、周囲の走行者、バス・タクシーなどに救助を求めて下さい。(下山走行中に体調悪化して転倒事故の可能性あり。)
<前を良く見て走行してください。(特に登り走行時)>
ヒルクライムで、下を向いたままべダルをこぐ様子が良く見られます。その場合、対向車の存在に気付くことが遅れて、正面衝突する危険性があります。必ず前を見て走行してください。
<並走禁止(横並び走行)>
横に並んだ並走走行は道路交通法でも規制されています。友人同士でおしゃべりしながら並んで走行するのは楽しいものですが、県道乗鞍岳線は狭小区間が多く、後ろから来た自動車が追い抜くことができません。また、対向する車両との接触の危険性もありますので、絶対に並走しないようお願いたします。
<下山時はスピードを落として、カーブミラーもしっかりと確認>
スピードを乗せたダウンヒルは楽しいものですが、大会などでコース規制がされた状態ではありませんので、すぐに止まれるスピードで走行してください。また、カーブミラーでヘアピンカーブの先の状況もよく確認してください。カーブミラーの確認をすると姿勢が不安定になるという方もいらっしゃるかと思いますが、すでにその状態がスピードを出しすぎている証拠です。しっかりとカーブミラーが確認できる速度までスピードダウンしてください。
<防衛運転に徹すること>
他の車両との事故の場合、過失の問題が生じますが、いずれにしても、ダメージが大きいのは自転車の方です。必ず防衛運転に徹するようお願いいたします
【雪渓下部 T】
![]() |
それではここから雪渓下部の様子をお伝えします。
![]() |
![]() |
昨年の大雪渓入口 2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.16(2012/08/24〜25) B ↓ |
先週の大雪渓入口 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.15(2013/08/14〜17) B ↓ |
![]() |
今週の大雪渓入口 昨年より2週間遅い雪解け |
先週よりも一回り小さくなっている様子が見られます。また、上部にある雪渓中段とつながっていた状況も、今週は雪解けで分離して、昨年より2週間遅い雪解けです。
![]() |
![]() |
昨年の大雪渓入口 2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.16(2012/08/24〜25) B ↓ |
先週の大雪渓入口 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.15(2013/08/14〜17) B ↓ |
![]() |
今週の大雪渓入口 昨年より2週間遅い雪解け |
こちらは雪渓下端部分から車道方面を見たところ。雪渓下端から車道までの距離は75メートルで、先週は3週間ほど雪解けが遅い状況でしたが、今週は2週間遅い雪解け程度になっています。
![]() |
![]() |
スキーヤー専用道沿いのウラジロナナカマド | すべての花が実に変化 − 昨年より2週間遅い |
スキーヤー専用道沿いのウラジロナナカマドは、すべての花で実ができている様子が見られます。昨年より2週間遅い状況です。
![]() |
登山道入口 |
大雪渓入口から北へ50メートルほどの所に肩の小屋への登山道入口があります。
![]() |
![]() |
昨年の登山道入口 2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.16(2012/08/24〜25) B ↓ |
先週の登山道入口 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.15(2013/08/14〜17) B ↓ |
![]() |
今週の登山道入口 昨年より2週間遅い雪解け |
登山道入口付近の車道との間の隙間は33メートル。昨年の3分の2ほどで2週間遅い雪解けです。2007年以降もっとも積雪量の多い状況が続いています。
![]() |
![]() |
昨年の登山道入口付近 2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.16(2012/08/24〜25) B ↓ |
先週の登山道入口付近 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.15(2013/08/14〜17) B ↓ |
![]() |
今週の登山道入口 昨年より1〜2週間遅い雪解け |
登山道入口から少し入った所の様子を見ても、明らかに昨年より積雪量が多い様子が見られ、こちらでは昨年より1〜2週間ほど遅い雪解けです。(→ Next)
Copyright (C) 乗鞍大雪渓WebSite |
|