ノリクラ 雪渓カレンダープレリリース版
Vol.5(2016/04/16) E
【県道乗鞍岳線の除雪、屋根板・富士見沢】
屋根板で小規模雪崩 − まだまだ注意が必要な季節 |
さて、ここからは通常のコーナーではご紹介していない部分について触れながら、県道乗鞍岳線の除雪状況をお伝えします。こちらは屋根板。ツアーコースから少し離れてしまいますので、積極的に訪れる方は少ないエリア。でも、よく見ると小規模な雪崩が発生しています。乗鞍では大規模な雪崩はあまり見られませんが、多発するエリアがいくつかあって、その中でも、2010年2月に発生した雪崩では、死亡事故が起きていますので、春になってもビーコン・スコップ・ゾンデ棒(プローブ)は、必ず携行してください。
富士見沢 | 屋根板入口 −次週の春山バス下車後の入山口 |
左の画像は富士見沢を滑り降りてきた部分。このシュプールを見るだけでも、まったりとした春の雪であることがわかります。富士見沢は厳冬期のパウダーゾーンとしても評価されていますが、春も楽しいエリアです。
右の画像は屋根板入口。4月23日(土)から乗鞍岳春山バスの運行が始まれば、位ヶ原山荘前を下車して、車道を数百メートル歩くと到達します。つまり、来週からの入山口はこちらになるわけです。場所はノリクラガイドマップ春スキー版でご確認ください。
本日、位ヶ原山荘まで除雪完了 | 例年よりかなり早い完了 |
さて、本日お昼すぎに位ヶ原山荘まで除雪が完了しました。例年だと、4月20日過ぎに完了し、過去には春山バスの運行開始が遅れることもありました。除雪を実施される方々も「まずは位ヶ原山荘までの除雪は早急に完了させなければならない」と、いつも急いで作業されています。
山荘から先はこれから |
そのため、山荘から先はまだ除雪は未実施です。ただ、今後は大雪渓に向けて早急に除雪が始まるはずです。
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積雪の多かった2013年の様子(春山バス試運転) 2013ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版 Vol.6(2013/04/25〜29) B |
積雪の少なさは一目瞭然 |
左の画像は積雪量が例年の1.7倍といわれた2013年の様子。高いところでは5メートル以上あり、撮影した山荘となりでもバスの背丈以上の積雪があります。それと比べて、今回の画像は切り通し部分で2メートルほどしかなく、かなり少ない状況です。
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一昨年の春山バス初日の様子 2014ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版 Vol.6(2014/04/24〜27) F |
今回の位ヶ原山荘前 − 例年よりも低いところが多い |
左の画像は2014年の春山バス運行初日の様子(2014年4月26日)。この年は高いところで3.5メートルほどで、それほど多い年ではありませんでした。右は今回の画像でスキー板の立て掛けている場所では高さが2メートルほどで2014年とほぼ同じ積雪量ですが、ここ以外では2014年よりも少なく、また、2014年より積雪の少なかった2015年をも下回る少なさです。
除雪作業中 | 「昨年より4メートルくらい少ない、凍ったところもなかった」 |
除雪ドーザーを操るこちらのオペレーターの方。「昨年よりも4メートルくらい積雪が少なく、固く凍った部分もほとんど見られなかったため、例年よりもかなり早く除雪ができました。」と、おっしゃってくださいました。
上部から道路の状況を確認すると...
全体的に雪壁はあまり高くない |
こちらは冷泉小屋〜位ヶ原山荘間で、例年なら高くて狭い雪の壁が続くところ、今年は道いっぱいまで除雪が拡幅され、また、雪の壁もあまり高くない様子がみられます。雪の壁をご覧になりたい方は、お早目にお越しになったほうがよいでしょう。
全く未知のないところを切り開いて除雪を行うには、道路の形状などを熟知していないければ難しい作業です。乗鞍岳春山バスは特に大きな支障がなければ、予定通り4月23日(土)に運行が始まります。
<編集後記>
「少なければ、少ないなりにやるしかない...」
昨年(2015年)の乗鞍入れ込み人数は、12万6千人ほどと発表されています。これはマイカー規制前の42万2千人の約3分の1しかなく、マイカー規制以降は右肩下がりが続いています。そのため、各観光産業への打撃が続き、中にはマイカー規制の緩和を求める声もあります。色々対策は行っていると思いますが、天候に左右されるなど、なかなか思うようには伸びないのが現状です。
2003年から始まったマイカー規制は、自動車の諸問題などから実施されたものですが、排ガスの環境問題だけでなく、繁忙期にたびたび発生する渋滞も大きな問題でした。つまり、キャパシティに対して車も人も多すぎたことが環境負荷の原因といえます。マイカー規制以前の入れ込み数に戻す対策も大事でしょうけど、マイカーを持たない若年層が増え、お金に余裕のある中高年層でも、自分の価値観に見合わなければ安くても消費行動に出ない風潮が目立ってきていますので、今の12万人台でどのように行く方法を考えるのが重要な対策といえます。
そして、新たにノリクラにやってくる方々を増やす施策と同時に、リピーターにも楽しめるものが必要であって、とにかく何度でも来てもらうことが大切です。仮にその人たちがたくさんお金を落とさなくても、何度も来てもらってSNSしてもらえば、効果は大きいと思うのです。「お金を落とさない客は客じゃない」という発想からの転換が第一歩かもしれません。
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