ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.11(2011/07/21〜22) @

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(Update:2011/07/28)

 

台風一過となったこの二日間、乗鞍地域では台風による影響もなく、夏のノリクラが広がりました。

7月21日(木)は、台風の残していった湿った空気が広がっているためか、早朝は曇空が広がりました。大雪渓エリアも濃霧に見舞われましたが、次第に天候は回復傾向となり、徐々に青空が広がって行きます。しかし、湿った空気はしぶとく残り、冷たい風の流れる大雪渓内でも蒸し暑さが続きます。午後になって、ようやくしっかりとした青空が広がり、空気感が少しひんやりとした感覚を持つものとなってきましたが、それでも蒸し暑い状況が続きました。今日は訪れる方も少なく、コブを滑るスキーヤーもコース整備が難航しましたが、太陽が差し込むとともにコース内のスプーンカットも少なくなってきて、午後からの夏の雰囲気の中、スムーズにコブを滑る様子が見られるようになりました。

7月22日(金)は、昨日の蒸し暑さとは打って変わって、涼しい空気に包まれました。ほぼ、終日曇り空が広がり、時折、雨粒がパラパラと落ちてきますが、それ以上の天候の悪化はありません。山麓から湧き上がる濃霧が周期的に流れ、日差しがないノリクラはこんなに涼しいものかと改めて感じられた一日でした。

それでは、この二日間の様子をお伝えします。

◎ 今回の目次

Page-1 : 【7月21日(木)、観光センター前駐車場】       【大雪渓までの沿道の風景】
Page-2 : 【大雪渓に到着】       【雪渓下部 T】
Page-3 : 【雪渓下部 U】        【雪渓下部 V − モーグルコース】
Page-4 : 【雪渓下部 W】        【雪渓中段】
Page-5 : 【雪渓上部】
Page-6 : 【畳平、お花畑】       【昨年の今ごろは?】       <編集後記 − これからノリクラデビューを検討されている方へ>
 

 

【7月21日(木)、観光センター前駐車場】

観光センター前駐車場

こちらは早朝5時30分の観光センター前駐車場。

 

曇り空、気温18℃ 雲間に少しばかり青空が

ご覧のように、やや低めに垂れ込める曇り空。気温は18℃で、半袖よりも長袖のほうが気候的にはちょうど良い状況。雲間に少しばかりの青空がのぞき始めます。

 

今日は閑散とした駐車場

台風一過の朝を迎えますが、その言葉通りのはっきりとした天候ではありません。昨日は、雨量規制のため、岐阜県側のノリクラスカイラインは通行止めとなり、シャトルバスも運休となりました。また、長野県側の県道乗鞍岳線は通行止めの措置はとられなかったものの、乗鞍高原から畳平に向かうシャトルバスも、ほぼ、終日運休となりました。

やはり台風の影響を懸念された方が多いためか、今日の観光センター前駐車場は、お越しになる方が少なく、ご覧のように閑散としています。

 

そして、こちらは観光センターのテラス。

 

テラスに葦頭(よしず)の設置 唯一の避暑対策もこれでバッチリ!

ご覧のように今年も葦頭(よしず)の取り付けが行われました。夏の乗鞍高原にお越しになって、「涼しいと聞いてやってきたが、暑いじゃないか!」と、おっしゃる方も見えます。夏の日差しは、乗鞍高原でも平地と変わらず暑いものですが、空気は平地よりもさわやかで、木陰に入ればクールダウンさせてくれるものです。そのため、暑い日差しさえ遮断されれば、ノリクラの峰々を眺められるテラスに腰掛けて、夏の乗鞍高原をのんびりすごすことができます。

エアコンといった冷房設備など、どこにもない乗鞍高原では、日陰を作ることが唯一の避暑対策です。ですから、葦頭の設置さえ完了すれば、この夏をバッチリ乗り切ることができるのです...

 

出発の準備

そして、観光センター前駐車場内では、山頂登山に向かう方々が準備を始めています。

 

シャトルバス始発便

昨日は運休だったシャトルバスも、今日は始発便から通常運行が始まりました。

 

「一枚、二枚、車掌さん、今何時だったけ〜?」

通常、シャトルバスの乗車券は観光センター内の乗車券発売所で購入しますが、平日の窓口業務は6時50分からとなっているため、始発便だけはバス車掌が乗車券販売に対応します。

お札を一枚一枚勘定している最中に、「一枚、二枚、車掌さん、今何時だったけ〜?」と、冗談交じりに会話を投げかけるこちらの方々。車掌さんもそれに楽しく応対されていますが、間違えないよう必死...まるで落語の世界のようですね〜

 

定刻どおり出発

始発のシャトルバスに乗車されるのは、こちらのメンバーの方々のみ...貸しきり車両の中では、楽しい会話が続いて行くのでしょうか?そんなシャトルバスも定刻を迎えて、観光センターを後にします。

 

【大雪渓までの沿道の風景】

三本滝ゲート 早朝は濃霧でご来光は拝めず...

こちらは観光センターから7km先の三本滝ゲート。マイカー規制はここから始まり、この先はバス・タクシー・自転車などの特定の車両のみ通行が許可されています。

警備員の方に、夜明け前の早朝の様子をお聞きしたところ、濃霧がひどくてご来光は望めなかったとのこと...それでも、先日の三連休中日(7月17日)は、5台ものご来光バスが運行されるほどの賑わいだったと、話してくださいました。

ご来光バスが運行される時間帯の上部エリアの気温は、10℃を下回ることも多く、大黒岳や県境付近のご来光ポイントでは、低い気温に加えて、風が絶えず吹き抜けていることも想定して、風を通さない防寒着を必ず持参して、ご来光バスに乗車されることをお勧めします。

 

次第に日差しが差し込む様子も

はっきりしない天候も、東の空には薄日が差し始め、山麓の山肌が明るく輝きだす様子が見られてきました。

 

ナナカマドが部分的に赤くなる

しかし、山頂方面は雲に飲み込まれた様子に変わりはありません。周囲の緑も、春先の新緑が色合いを増して、深い緑の針葉樹との色合いの差がなくなってきました。そんな緑の中に、ご覧のように部分的に赤くなるナナカマドの葉が見られるようになって来ました。

紅葉の季節まで、まだ二ヶ月以上の期間が必要ですが、ご覧のような部分的な紅葉は、夏の本番を迎えた7月中下旬ごろから沿道の各所で見られるようになります。

 

そして、こちらは標高2200mの冷泉小屋付近。

 

冷泉 ウラジロナナカマド − 花が終わる

冷泉周辺では、先週は白い花をたくさん付けていたウラジロナナカマドが見られました。しかし、今週はご覧のように、花期は完全に終わってしまいました。ウラジロナナカマドの花の時期は一週間から二週間程度で、この後は、青い実が空に向かってたわわに実り、次第にナナカマド特有の真っ赤な状態に熟して行くのです。

 

沿道には数々の高山植物 クルマユリ

車道沿いは色々な高山植物の開花が見られます。こちらはクルマユリ。沿道には他の高山植物がたくさん自生する中、ポツリポツリと点在するほどしか自生していません。しかし、ご覧のような特徴的な形状をしていますので、シャトルバスの車窓からでも簡単に見つけることができるはずです。

 

ホタルブクロ ヤマオダマキ

左の画像はホタルブクロ、山麓の休暇村から冷泉小屋近くまでびっしりと自生しています。また、花期も長いため、毎週通わなくとも咲いている様子は、必ず見られることでしょう。そして、右の画像はヤマオダマキ。特徴ある形状をしていてたくさん自生していますが、背の高いシャトルバスの車窓からだと、少し目立ちにくい状態かもしれません。

 

距(きょ) − 萼の後部に長い管が伸びる特徴的な容姿 下向きに咲く可憐な花

苧環(おだまき − 紡いだ麻糸を管状の巻き上げたもの)に、形状が似ているところからこのように呼ばれています。左の画像は花のように見えますが、実際は萼(がく)で、右の画像でお分かりのとおり、萼の内側に花があります。

器官の一部が管状になったものを「距(きょ)」と呼びますが、ヤマオダマキは、萼片にそれぞれ長い管状の距があり、特徴的な形状を見せてくれます。

 

標高2350mの位ヶ原山荘を通過すると森林限界へと差し掛かって行きます。

 

残雪はほとんどなくなる

それまで、位ヶ原山荘周辺に見られた残雪もほとんどなくなり、真夏の光景へと移り変わって行く様子が見られます。

山頂付近の上部エリアには濃霧がたち込みます。平地ではこのような霧や雲の動きはあまりありませんが、高低差のある山岳地帯では、温度差のある空気の流れが常にあって、その境目では、霧や雲が発生します。晴れたり曇ったりという天気の変動が、山岳地帯では目の前で常に起きています。

 

ダイナミックな雲の動き

そのため、雲は常に上空にあるという常識が山岳地帯では必ずしも正解ではなく、上にもあって下にもあって、さらに、その隙間があってと、ダイナミックな動きを続けます。

山麓方面では、そろそろ雲が抜け始めてきたようです。さらに遠景の山並みも雲間に見られるようになって来ました。右の画像の遠景の山並みは南アルプスです。

 

位ヶ原お花畑 − まだ残雪が残る

こちらは7号カーブ付近の位ヶ原お花畑。そろそろ、残雪がなくなっても良い時期で、残っている残雪を良く見ると、中が空洞になっています。その空洞をのぞいてみると、そこには高山植物の芽吹きも見られるようになって来ました。

 

濃霧が迫る

さらに先に進むと周囲は濃霧に覆われて、その様子がはっきりとしなくなってきます。同じ上部エリアでも、位ヶ原付近は濃霧が立ち込めてなくとも、この先にある大雪渓手前の4号カーブより上部では、視界がいきなり奪われるということがよくあって、ある一定の空気の流れが、そのような現象を作っているのかもしれません。

 

5号カーブ 4号カーブ

宝徳霊神バス停付近の5号カーブにはまだ積雪がありますが、4号カーブではほとんど積雪がなくなってきました。

 

大雪渓に到着

4号カーブを過ぎると、目の前まで濃霧が立ち込めるようになり、大雪渓に到着です。 Next

 

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