ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.11(2011/07/21〜22) E

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(Update:2011/07/28)

 

【畳平、お花畑】

それでは、畳平のお花畑の様子をお伝えします。7月を中心にいろいろな高山植物が見られる時期を迎え、畳平のお花畑は、ノリクラの中で気軽に訪れることができる箇所としては、もっとも大規模な高山植物のお花畑といえます。

 

入口付近

お花畑の雪解けは、このあとご案内する周回コースの奥のほう(西側)から始まり、入口方面(東側)へと順番に進んで行きます。そのため、高山植物の生育も、周回コースの奥のほうが先に進み、入口方面へと順番に進んで行きます。

こちらは階段を下りてお花畑入口付近。全体の中でもこの付近は雪解けの遅いエリアとなります。

 

入口付近は見頃の高山植物が多くなってきた

周回コースの奥の方では、ハクサンイチゲなどの花期のピークが終盤に入り、現在、入口付近のこの箇所が、もっとも花期を迎えた高山植物の多いエリアとなっています。今日もパンフレットを片手に、花の名前を見つける方々の姿がたくさんあります。

 

ハクサンイチゲ(入口付近) − 花期のピークが若干過ぎる

先週、ピークを迎えたハクサンイチゲも花茎がさらに伸びて、花期のピークが若干過ぎ始めている様子がわかります。

 

黄色の分布(入口付近) − ミヤマキンポウゲの群生

先週まではハクサンイチゲの白色一色だった様子が、ご覧のように黄色の分布が見られるようになって来ました。ミヤマキンポウゲの群生です。

 

チングルマ(入口付近) ハクサンイチゲ(左)、チングルマ(右)

これだけ色々な高山植物が分布していると、見間違えそうになります。こちらは分布が優勢になってきたチングルマ。ぱっと見ると、ハクサンイチゲと区別がつかない状態です。

 

コバイケイソウ −頂枝には両性花

グリーンサポートスタッフの方が指差してくださったのはコバイケイソウ。花のついている部分は二つに分類され、指でつまんでいる頂枝にできる両性花と、その脇にある側枝できる雄花があります。花期では両方とも開花している様子があって、区別がわかりませんが、花期が終わって結実の時期を迎えると、頂枝の両性花には実ができるものの、側枝の雄花は枯れ姿しか見られません。

 

ミヤマクロユリ − こちらも両性花

こちらはミヤマクロユリ。先ほどのコバイケイソウは同じ株に両性花と雄花の両者ができていましたが、ミヤマクロユリは、両性花と雄花は別々の株からできます。こちらは黄色い雄しべと緑の雌しべの両者ができた両性花です。

 

入口付近はいろいろな高山植物が咲き乱れる

これまでにご紹介した高山植物だけでなく、探せばまだまだ色々な種類があることがわかります。

 

モミジカラマツ(入口付近) − つぼみ

さて、一気に花が咲いてしまい、畳平のお花畑の見頃も終わってしまうのではないかと思ってしまいますが、まだまだこれからという高山植物もあります。こちらはモミジカラマツのつぼみ。その名のとおり、葉がモミジに似ているところから呼称されています。紅葉の時期を迎えると、畳平のお花畑は「草紅葉」と呼ばれる状態を作り上げますが、その主役がこちらのモミジカラマツの紅葉です。

このほか、チングルマやミヤマキンバイなども綺麗な紅葉を見せてくれて、その鮮やかさは決して侮ることのできない美しさを放っています。

 

遊歩道分岐点

遊歩道をさらに進んで周回コースを右に回り、お花畑を奥のほうへ(西の方へ)向かいます。

 

分岐点付近 − ハクサンイチゲのピークが過ぎる

周回コースに入ってすぐの場所は、ハクサンイチゲの見頃を先週迎えましたが、そのハクサンイチゲも若干勢力が弱まりつつあります。

 

ヨツバシオガマ(分岐点付近) − つぼみ、これから楽しみ

そんな中で、これから目立ってくるのがヨツバシオガマ。しっかり開花しているものも現れ始めました。

 

周遊コース中央付近 − 遊歩道の左右には黄色の花

そして、周遊コース中央付近の遊歩道の左右には黄色の花が目立っている様子が伺えます。

 

遊歩道の左側 − ミヤマキンポウゲ 遊歩道の右側 − ヤマカラシ

遊歩道の左側は、ミヤマキンポウゲ。そして、右側はヤマカラシです。

 

周回コース奥

そして、周回コースの奥のほうへ進んで行くと...

 

周遊コース奥 − ハクサンイチゲもミヤマクロユリも花期は終わりに

この付近は最も見頃の時期を迎えたこともあって、ハクサンイチゲの花期はそろそろ終わりになってきました。また、ミヤマクロユリもご覧のように見頃を過ぎようとしています。

 

周回コース西端(折り返し地点) ミヤマゼンコの大輪

そして、こちらが周回コースの一番奥の西端エリア。ここでコースは折り返して入口へと戻って行きます。この付近ではミヤマゼンコの大輪が目立つようになってきました。ハクサンイチゲが終わったあとでも、このように別の種類の高山植物がバトンを引き継いで行きます。

 

畳平のお花畑はまだまだ見頃は続きます

畳平のお花畑はハクサンイチゲの群生が特徴ですが、ピークを過ぎつつあるものの、別の高山植物がそれに置き換わって、まだまだ見頃は続きます。

 

【昨年の今ごろは?】

2010ノリクラ雪渓カレンダーVol.11(2010/07/24〜25)

梅雨明け一週間後のこの二日間は、きれいな青空に夏空を演出する入道雲が広がり、一年の中でもっとも心地よい風に包まれノリクラをすごすことができました。真夏の強い日差しが照りつけていても、全身を吹き抜けて行く風には、本当に気持ちよさを感じ、のんびりと流れ行く雲をいつまでも眺めていたい気分にさせられます。しかし、両日とも午後には激しいスコールが降り、夏山特有の天候の激変ぶりも見られました。

 

<編集後記>

今回は、職場で作成したチームジャージを着たヒルクライマーが何人も大雪渓前を通過して行く様子がありました。休日ともなれば、全日本マウンテンサイクリング in 乗鞍への参加選手がトレーニングのため、ひっきりなく登って行く様子はよくあり、チームで一緒に並んで走行する光景を週末ごとに拝見することは、この時期としては珍しいことではありません。

しかし、その様子を拝見したのは7月21日の木曜日。同じ職場の方が複数で平日にお越しになることは通常考えられないので、少し話をお聞きすると、電力対応のために休業日が木曜日に変更となったとのこと。「確かに不都合はありますが、混雑がないため、別の恩恵はありますね〜」と、おっしゃっていました。

マイカー規制後、混雑とは無縁となったノリクラですが、ハイシーズンの週末は活気や賑わいを感じさせてくれるものです。そんな週末の状況も、混雑というレベルまでには感じませんでしたが、平日の状況に慣れてくると、週末には何かあわただしさというものがあったのかなぁ〜と、改めて感じてしまいます。

ノリクラは夏のハイシーズンに突入していますが、あわただしさゆえに小さな発見を見過ごさないように、ゆっくり動きたいものですね。

【これからノリクラデビューを検討されている方へ】

前回 は特に申し上げなければならないことを大雑把に記載いたしましたが、今回は「日差しと雷雨」についてコメントします。

ノリクラで真夏といえる期間は、梅雨明け後からお盆までのわずか一ヶ月弱の短い期間しかありません。大雪渓エリアの気温は朝8時ごろでは10〜15℃前後、正午で20度前後が観測されます。ただ、気温は日照の影響を極力受けない形で計測しますので、風や太陽の状況で体感的には大きな差があります。また、空気が薄い分、平地よりも日差しや紫外線が強く、思った以上に暑く感じることは確かです。(日焼け対策は必須)

この時期は、台風などが接近しない限り、強風への考慮はあまり必要ありませんが、朝から強い日差しが降り注ぐ日は、その日の天候の変動には気を使わないわけにはいきません。

強い日差しで地表が温められると上昇気流が発生し、山麓から雲が湧き上がる状態となります。そのため、朝一番は雲ひとつない快晴でも、お昼前には濃霧に見舞われることは多々あり、そのため、「山登りは朝一番に限る」といわれる由縁です。濃霧にとどまればよいものの、さらに天候が悪化して、雷雨・スコールとなることもあります。もちろん、濃霧はなくとも雲が厚くなり、突然の雷雨・スコールに見舞われることもありますので注意が必要です。
また、このような状況となると、大雪渓のスキーヤー・ボーダーの方々だけでなく、山頂登山や畳平の観光の方々も一斉に下山を開始するため、すぐにはシャトルバスに乗車できないことも視野に入れておくことも重要です。

これまでの雷雨・スコールの状況は、過去の速報(速報バックナンバー)をご覧ください。主だったものを抜粋いたしますので、こちらからご覧ください。

● 雷雨・スコールに見舞われた日の速報 ●

【速報 − 2010年7月24日(土)】
【速報 − 2008年8月9日(土)】
【速報 − 2008年7月27日(日)】
【速報 − 2007年8月11日(土)】
【速報 − 2006年8月12日(土)】

 

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