ノリクラ 雪渓カレンダー
 
プレリリース版 Vol.2(2012/03/31) B

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(Update:2012/04/05)

 

【ツアーコース T】

入口急斜面を登りきった先もツアーコースは続きます。

 

南寄りのベタベタの湿雪から、北寄りの乾いた猛吹雪へ − 寒冷前線が通過した時刻に一致

今日は各地で荒れ模様の天候となり、彼岸を過ぎていますが、太平洋側の地域では、「春一番」に匹敵する強風に見舞われました。普段、ツアーコース内では、強風に見舞われることはあまりありません。しかし、今日は横殴りの吹雪。先ほどまでの南寄りのベタベタの着雪が、北寄りの湿り気の少ないものへと変わって気ました。

時刻は11時頃。天気図上で確認するとちょうど寒冷前線が通過した時刻に匹敵します。

 

先週の1番標識付近
ノリクラ 雪渓カレンダープレリリース版 Vol.1(2012/03/24) B
今週の1番標識付近
視界が悪く、先週以上の悪天候

こちらは1番標識付近。左の画像は先週のもの、右の画像は今回の様子です。先週も悪天候であることはすでにお伝えしておりますが、先週の画像でツアーコースの先が霧の中でもルート確認できるものの、今回のほうが視界が悪く、ルート確認できない状況です。

今回の悪天候が如何にひどいものであるかお分かりになるかと思います。

 

これほどの悪天候は真冬でも滅多にない − 春の恐ろしさ

厳冬期でもツアーコース内でルート確認ができないほどの悪天候はあまりなく、春の恐ろしさはこんなところからも想像できます。

 

昨年の3番標識
2011ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版Vol.2(2011/04/02) B

先週の3番標識
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.1(2012/03/24) B

今週の3番標識
先週より30センチ増加、昨年より20センチ多い
(今シーズン一番の増加)

こちらはツアーコース中間付近にある3番標識。左上は昨年同時期で右上が先週のものです。先週よりも30センチ増加して、昨年より20センチ多い状況です。

この一週間のツアーコース全体の積雪量増加は今シーズン最大で、3番標識はこれまで昨年よりも少ない傾向を示していましたが、今回のように昨年よりも大幅に積雪量が多くなったは、今シーズン初めてのことです。また、それに対して、昨年の3番標識の積雪量は、この週を境に減少に転じました。

 

気温が急激に低下− 濡れたシールが凍りつく

南寄りの湿った吹雪から北寄りの乾いた吹雪に変わったの同時に、気温もマイナス5℃まで低下します。そのため、水分を多く含んだ入口付近を登ってきたシールは濡れた後に、雪面温度低下により氷結し始めます。そこに周辺の雪が固まりになって着雪し、ご覧のようにシール表面は団子状態になってしまいました。

 

団子状になったシール − 雪の塊をスクレーパーでそぎ落とす

厳冬期ならばシールが濡れることがありませんので、どれだけ気温が低下してもシールが団子状態になることはありません。このような現象も氷点下付近から急激に気温低下する春先ならではといえるでしょう。

また、シール用のワックスなどで対処したとしても防ぎきることは困難で、ご覧の状態になったら、スクレーパーでそぎ落とすしかありません。しばらく団子状態のまま歩いて、シールにしみこんだ水分をしっかりと氷結させて上で剥ぎ取れば、その後はなんら問題なく登行ことができます。(実際には、しみこんだ水分がしっかりと氷結して剥ぎ取れるようになるまで、「団子状態 → そぎ落とし」の繰り返しを重ねます。)

 

枝や葉の奥った所まで固く氷結

シールが氷結するくらいですから周辺の木々も同様で、いつもなら、表面に積雪するだけの様子も、枝や葉の奥まった所まで硬く凍結していることがわかります。

 

昨年の5番標識
2011ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版Vol.2(2011/04/02) B

先週の5番標識
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.1(2012/03/24) B

今週の5番標識
先週より50センチ増加、昨年より10センチ少ない
(今シーズン一番の増加 − ようやく昨年並みに)

こちらはツアーコース上部付近の5番標識。3番標識の画像と同様に、左上は昨年同時期で右上が先週のものです。先週より50センチ増加して、昨年より10センチ少ない状況です。

前述の3番標識と同様に、今週の5番標識の積雪量の増加も今シーズン最大です。また、これまで、5番標識は昨年よりも70センチほど少ない状況を推移していました。しかし、この一週間の降雪でようやく昨年並みとなりました。

また、昨年の3番標識の積雪量は、この週を境に減少傾向となりましたが、5番標識も同様に、この週を境に減少して行きました。

 

さらに吹雪は強くなる − 顔を背けて身を屈めて...

ツアーコース上部に達すると、北寄りの吹雪はさらに強くなり、北上するツアーコースでは、顔を背けて身を屈めて何とか歩いて行ける状態です。

 

6番標識手前のウェーブ

5番標識を過ぎて6番標識付近に差し掛かると、ウェーブ状になった箇所があります。

 

昨年の6番標識手前の谷
2011ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版Vol.2(2011/04/02) B
今週の6番標識手前の谷
中央の窪みの積雪が少ない

昨年同時期の画像と比較します。ウェーブの前後の積雪量は昨年とあまり変わりありませんが、中央の窪んだ部分の積雪量が少ないことがわかります。

 

昨年の6番標識付近
2011ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版Vol.2(2011/04/02) B
今週の6番標識付近
昨年よりも積雪量が多くなった

そして、6番標識を過ぎれば、ツアーコース最後の位ヶ原急斜面へと向かいます。今回は6番付近の様子を昨年と比べてみますが、この付近では昨年よりも多くなっていて、この一週間でかなりに積雪量が増えていることがわかります。 Next


■ご注意■

今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)

 

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