ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.24(2012/10/20〜21) A
【大雪渓までの沿道の風景 U】
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三本滝ゲート−10月からの開門時間は7時 |
観光センターから約7kmほどのところにある三本滝ゲート。マイカー規制はここから実施されます。9月までは開門が6時からですが、10月からは開門時間が1時間遅くなり、7時からとなります。
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県道乗鞍岳線側は凍結してませんよ |
開門前に早朝パトロールを夜明け前に実施しますが、「いや〜、今日のご来光はすばらしかった...でも、乗鞍スカイラインのように凍結しているところはまったくありませんでしたよ」と、おっしゃってくださいます。
岐阜県側の乗鞍スカイラインは、ほぼ全線が北側に面していて、長野県側の県道乗鞍岳線(エコーライン)は、南向きか東向きに面しています。そのため、乗鞍スカイラインはどうしても凍結しやすい傾向にあるようです。
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常連のタクシーの方が帰ってくる | 一緒になってゲレンデを眺める先には... |
そして、常連のタクシーの方が帰ってきて、一緒になってかもしかゲレンデのほうを眺めています(何かあるのでしょうか...)。
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かもしかゲレンデ | 綺麗に草刈がなされる |
三本滝ゲートをさらに進んで、かもしかゲレンデ横切る箇所に到達します。そこから見下ろしたかもしかゲレンデは、先週もお伝えしたように草刈作業が始まっています。
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広大なゲレンデの草刈りは機械で |
広大なゲレンデですから、すべてのゲレンデを人手で草刈するのは至難なこと。ご覧のような機械であっという間に草刈を行って行きます。先ほど、三本滝ゲートの方とタクシーの運転手の方が眺めていたのはこの作業だったんですね。
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上部は手作業で実施される |
ただ、かもしかゲレンデの中間部・最上部は、急斜面で岩礫が多いことから機械が使用できず、今後、手作業で草刈が実施されるはずです。
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タクシーから降りてみて... | 「運転手さんに案内してもらってよかったわ〜」 |
きれいに草刈されたゲレンデを一望しているこちらの方々。「いや〜、運転手さんに案内してもらってよかったわ〜」と第一声。
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道中をゆっくり楽しむ |
紅葉が終わってしまい、きれいな青空だけが今日の一番のご馳走といえる中でのドライブ。道中をゆっくり楽しむのが、全長20kmにも及ぶ県道乗鞍岳線の楽しみ方といえます。
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青空にビビッドに映える彩 |
かもしかゲレンデを過ぎると、急激に落葉が目立つようになってきます。それでも青空にビビッドに映える彩がまだ残っていて、それはそれでなかなか楽しいものです。
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ダケカンバの白い稲妻が走る |
ダケカンバの紅葉が残っている様子と、白い幹が稲妻のように上空に突き刺さって行く様子が同時に見られるのは、完全に落葉していないわずかなタイミングに出会わないと見られません。
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こちらは標高2350メートルの位ヶ原山荘。
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お昼を過ぎても凍結(左)や霜柱(右)が残る |
気温は6℃。お昼近くになっていますが、ごらんのように山荘周辺の水溜りは凍結したまま。そして、霜柱もそのままです。
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散策する人も少なく、晩秋の輝きを独り占め |
紅葉が終わって人の気配の少なくなった静かな状況の中、輝くコントラストとダケカンバの様子が目に刺さるように感じられ、晩秋の最後の輝きを独り占めします。
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黄金の屏風はもうありません − 冬景色へと進んで行く |
黄金の屏風を見せてくれた屋根板方面にはもうその面影はありません。これからモノトーンの冬景色が刻々と近づいて行きます。
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樹木の寒冷適応の研究 − 東邦大学理学部 教授 丸田 恵美子先生 |
そんな中、今日も樹木の調査にお越しになった東邦大学理学部 教授の丸田 恵美子先生。樹木が冬季の極寒の中、低温や光ストレスにどのように対応しているかなどの研究を行っています。今日は今シーズン最後の調査です。
「かつて気候がもっと寒冷な時代には、位ヶ原山荘付近までハイマツ帯が分布し、この付近(標高2500メートルの位ヶ原)は、山頂付近と同じようにハイマツも樹木のない荒涼とした場所だったと考えられます。」
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次回調査は3月 − 雪の中を歩いて | 「あなたは3月で卒業だから、ココが卒業旅行だね!」 |
「今度来るのは3月です。そのときは歩いてやってこなければいけないけど、位ヶ原山荘までたどり着けるかどうかちょっと不安...」と、おっしゃっていましたが、晴れた日には別世界と言えるような見事な景色が広がりますから、調査どころじゃなくなりますよ。と、お伝えすると、「(左の学生さんを指して)この子は3月で卒業だから、ココが卒業旅行だね...」と、笑顔が広がります。来年の3月、また、ここでお会いできることを楽しみにしております。
樹木の寒冷化への対応は、2000万年ものゆっくりとした時間をかけて形成されてきました。しかし、近年の温暖化は急速に進み、樹木の寒冷適応の仕組みを一刻も早く解明し、温暖化への影響に備えなければならないと、ご自身の著書で警鐘されています。(著書名:冬の樹木の生理生態学)
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ツアーコース入口 − 11号カーブ |
さて、ツアーコース入口の11号カーブ。もう紅葉はすっかり終わっています。
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赤く紅葉している箇所が残る | クロマメノキの紅葉 |
それでも、良く見ると赤く紅葉している箇所が残っています。高山植物のクロマメノキの紅葉です。良く見ると実がまだ残っていますね。これまでにもお伝えしたように、チングルマやミヤマキンバイなど、高山植物の紅葉は霜枯れなどに比較的強いようで、ご覧のように、ウラジロナナカマドやダケカンバの紅葉が終わったあとでも、きれいな色合いを放ってくれる様子が見られます。
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青空の美しさが一段と際立つ |
紅葉が終わり、青空の美しさが一段と際立つ状況。もし、ここに青空がなかったら、きっと、すぐにでも下山したい気分にさせられるもの。
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冬はもうそこまで... |
青空と日差しがしっかりと差し込んでいるから、ハイマツ帯の緑などがはっきりしていますが、どんよりとした曇り空で日差しもなくなると、色彩の全く感じられない冬のようなモノトーンの風景となってしまいます。
もう、冬はすぐそこまでやってきています...(→ Next)
■ご注意■
今回の大雪渓関連の記事はノリクラ初心者の方を対象にしておりません。ノリクラデビューをお考えの方は来年の夏シーズンをご検討ください。
これからの時期は天候の急変により降雪・凍結などで冬山の様相を呈します。今後、大雪渓に新雪が降った場合でも、急斜面とアイスバーンが残っていて、この時期にノリクラの雪渓で滑走されたことのない方や、ソフトブートのボードの方は絶対にお越しにならないようお願いいたします。
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