ノリクラ 雪渓カレンダー
 
Vol.25(2013/10/26〜27) D

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(Update:2013/10/31)

 

【10月27日(日)、降雪の朝】

気温マイナス4℃、路面凍結で通行止めに

一夜明けた位ヶ原山荘の朝は、昨晩からの吹雪が続いています。6時の気温はマイナス4℃。位ヶ原山荘周辺はご覧のように所々で凍結積雪が見られます。雪そのものの降り方は強くないものの、冷たい風がひどく吹き抜けていて、肌を突き刺すような冷たさのある真冬の風です。

このため、県道乗鞍岳線は通行止めとなり、岐阜県側の乗鞍スカイラインも同様に積雪凍結通行止となりました。

 

屋根板・富士見沢は真っ白に − 登山道は積雪2〜3センチ

時間の経過と共に吹雪は収まり、位ヶ原山荘周辺に立ち込めていた雲が上がって行くと、屋根板や富士見沢周辺では、真っ白に雪化粧されている様子がはっきりとわかるようになって来ました。

位ヶ原山荘周辺の登山道の積雪は2〜3センチ程度、おそらく、根雪になるほどの状況ではないと考えられます。

 

ありとあらゆるものが着雪 道路は凍結箇所も

ありとあらゆるものが着雪していて、道路は部分的に歩くこともままならないほどのひどい凍結箇所もあります。

 

ひどく着雪 − 厳冬期には見られない初冬の光景

こちらはハイマツに着雪した様子ですが、ご覧のように着雪することは厳冬期のノリクラではあまり見られません。厳冬期のノリクラは内陸性の気候のため、乾燥した雪が降ります。握っても雪球ができにくい雪です。

この時期は、厳冬期から比べると気温が高いため、雨だったり雪だったりを繰り返します。また、今回は台風による雨のあと、台風通過に伴う寒気の流入で、枝葉に付いた雨に雪が着雪するという条件が重なり、ご覧のような見事な樹氷が出来上がりました。

 

雪が降って浮かび上がるもの − 動物の足跡

雪が降るとすべてのものを包み隠してしまいます。でも、雪が降ることで浮かび上がる存在もあります。ご覧のように小さな足跡が雪の上に発見できます。

 

足跡の正体はホンドオコジョ

その正体はホンドオコジョ。前のページで冬に備えてライチョウが白く換羽した様子をお伝えしました。こちらのホンドオコジョも夏場は茶色ですが、冬は真っ白に生え変わっています。

 

岩陰に隠れても(左)、すぐにこちらの様子を伺う(右)

見るものすべてに興味を示すホンドオコジョ...一旦、岩陰に隠れるものの、すぐに頭を出してこちらの様子を伺います。こっちの隙間から顔を出したかと思うと、すぐに別の隙間から顔を出す...その仕草はまるで「もぐらたたき」のような俊敏さです。

冬毛になっても尾の先端だけは黒い部分が残っています。
そのかわいらしいしぐさとは裏腹に、獰猛で肉食のホンドオコジョはライチョウの天敵です。そして、どちらも絶滅危惧種に指定されているところも興味深いところです。(ライチョウは絶滅危惧IB類(EN)、ホンドオコジョは準絶滅危惧(NT))

 

大雪渓入口

こちらは大雪渓入口。積雪量は位ヶ原周辺とほとんど変わりありません。

 

昨日の石碑の岩 本日の石碑の岩

 

こちらはいつもお伝えしている石碑の岩ですが、左は昨日(10月26日)で、右は本日(10月27日)です。たった一日違いですが、風景が様変わりしています。

 

昨日の雪渓上部左側 本日の雪渓上部左側

こちらもいつもお伝えしている雪渓上部左側の落書きの岩付近。標高は2700メートル付近まで達していますが、積雪量は下部とほとんど変わりません。

 

雪渓上部左側下端部分

こちらが雪渓上部左側。この付近では昨日の朝も雪でしたから、二日分の積雪に包まれていることになります。

 

先週の雪渓上部左側下端部分
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.24(2013/10/19〜20) B
昨日の雪渓上部左側下端部分
先週の新雪はなくなる
本日の雪渓上部左側下端部分
再び積雪 − これから次第に根雪になる

ちょっと面白いのがこちらの雪渓下端部分の画像。左上は先週の様子、右上は昨日の様子、そして、下は今日の画像です。一旦雪が降ると完全に銀世界になるものの(左上)、すぐに溶けてしまい(右上)、再び雪が降るとまた銀世界になる様子が繰り返されて(下)、次第に根雪となって、岩場もハイマツ帯もすべてのものを飲み込む状態へと移り変わって行きます。

 

【雪の登山道、再び山頂へ!】

剣ヶ峰登山道

昨日の剣ヶ峰登山で今シーズン最後と思っていましたが、やはりこれだけの雪化粧ともなれば、今日も山頂の様子をご覧頂きます。

 

再びライチョウに出会う

標高2800メートル付近でも積雪量は特別多い状況ではなく、2〜3センチ程度です。そして、周辺のハイマツにもびっしりと着雪していて、雨で濡れた状態に雪が付着した様子がわかります。誰もいない登山道では、今日もライチョウが出迎えてくれました。昨日出会ったライチョウと比べると、夏毛の部分が多いことから、別のライチョウのようです。

 

蚕玉岳山頂 − えびの尻尾

こちらは標高2980メートルの蚕玉岳(こだまだけ)。山頂を示す標柱は「えびの尻尾」といわれる現象が見られました。過冷却された空気中の水分が着氷したもので、風上側へと成長して行きます。

これは厳冬期でもよく見られる現象で、もっと大きなえびの尻尾に成長することもあります。

 

今日はじめての来場者

そんなとき、山頂方面から下山して来たお二人に出会いました。

 

三本滝ゲートから4時間30分登って − 髪の毛や帽子が凍りつく過酷さ

三本滝ゲートから歩いて4時間30分。髪の毛や帽子が凍りつき、今日の過酷な状況を物語っています。おそらく4時間30分というタイムは結構早い部類になり、積雪などのない夏場の登山であっても5時間以上は必要ですのでご注意下さい。

 

剣ヶ峰山頂まであとわずか − 青空が...

そして、剣ヶ峰山頂まであとわずか...登頂を待ってくれていたかのように青空が広がり始めました。 Next


■ご注意■

今回の大雪渓関連の記事はノリクラ初心者の方を対象にしておりません。ノリクラデビューをお考えの方は来年の夏シーズンをご検討ください。
これからの時期は天候の急変により降雪・凍結などで冬山の様相を呈します。今後、大雪渓に新雪が降った場合でも、急斜面とアイスバーンが残っていて、この時期にノリクラの雪渓で滑走されたことのない方や、ソフトブートのボードの方は絶対にお越しにならないようお願いいたします。

 

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