ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.2(2014/05/15・17・18) E

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(Update:2014/05/22)

 

【ツアーコースの積雪状況、下山滑走は困難】

ツアーコース −位ヶ原急斜面

ここからは三本滝レストハウス(かもしかゲレンデ)への下山コースであるツアーコースの積雪状況をお伝えします。
ツアーコースでの下山滑走は、例年5月中旬から下旬頃まで可能ですが、今年は積雪量が少ないため、問題なく下山滑走できたのは先週まででした。今週は入口急斜面上端で積雪がなくなってしまい、安全に下山することができなくなりました。そのため、ツアーコースを熟知されている方以外は、春山バスでの下山をオススメします。

 

昨年の位ヶ原急斜面
2013ノリクラ 雪渓カレンダーVol.2(2013/05/15・18・19) F
先週の位ヶ原急斜面
ノリクラ 雪渓カレンダーVol.1(2014/05/10) C
今週の位ヶ原急斜面
先週とほぼ同じで、昨年より1.5メートル少ない

ツアーコース最上部の位ヶ原急斜面は、先週とほぼ同じ積雪量で、昨年より1.5メートルほど少ない状況です。

 

昨年の6番標識手前の谷
2013ノリクラ 雪渓カレンダーVol.2(2013/05/15・18・19) F
今週の6番標識手前の谷

さらに下って、6番標識の下にあるウェーブ状の箇所。この付近も昨年より1メートル近く積雪量が少ないものの、滑走には問題ありません。

 

降雪のため、綺麗なバーン状態

昨日の降雪があったため、バーンは比較的きれいな状態。今回は比較的滑走しやすい状態でした。先週もお伝えしたように、今後、滑走する方が少なくなるとバーンはかなり荒れて、滑走しにくい状態となるはずです。

 

昨年の5番標識
2013ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.2(2013/05/15・18・19) F

先週の5番標識
ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.1(2014/05/10) C

今週の5番標識
先週より40〜50センチ減少
昨年より50センチ以上少ない

こちらは5番標識。積雪量は先週より40〜50センチ減少し、昨年よりも50センチ以上少ない状況です。この付近ではブッシュはほとんど見られません。

 

5番標識以降はブッシュが見られるようになる ツアーコース上半分は滑走上の問題はない

しかし、5番標識をすぎるとご覧のようにブッシュが点在するようになってきます。ただ、右の画像のように、ほとんどブッシュのないところもあって、ツアーコースの上半分については滑走上の問題はありません。

 

昨年の3番標識
2013ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.2(2013/05/15・18・19) F

先週の3番標識
ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.1(2014/05/10) C

今週の3番標識
昨年・先週と大きな違いがない

こちらはツアーコース中間付近の3番標識。これまで昨年よりも積雪量の少ない状態でしたが、終盤になって積雪量が少なくなって来たこともあって、ほぼ同じような状況となってきました。

 

3番標識より下半分のツアーコースも広々とした部分が残っているものの...

ツアーコース下半分は滑走上支障がある場所も

場所によっては、滑走上支障がある箇所も多くなってきます。

 

入口急斜面上端 − 積雪が分断されて滑走不可 入口急斜面
= ブッシュが人の背丈以上となって徒歩下山も無理 − 熟練者以外は下山困難=

左の画像が入口急斜面の上端部分。ツアーコースでの下山滑走の可否を決める重要な場所で、雪解けが進むと、人の背丈以上のブッシュが出現するため、雪がなくなると歩いて下山することが困難な状態となります。画像では少しわかりにくい状況ですが、積雪が途切れてしまいました。こうなると、ブッシュを藪漕ぎして下山するしか方法はなく、かなり困難な状況です。そのため、ツアーコースを熟知されている方以外は、ツアーコースでの下山できないと考えられます

右の画像は上端部分を降りたところ。積雪が残っていて滑走は何とか可能な状態です。

 

入口急斜面全景 この先は完全に徒歩下山
(かもしかゲレンデ、リフト終点の100m上方)

スキー板を着脱しながら何とか滑走できるのも、入口急斜面までで、かもしかゲレンデのリフト終点より100メートル上方付近からは、完全に歩きとなります。この付近からは右の画像のとおり、クマザサが生い茂っていますので、背負っているスキー板がクマザサに干渉して、この中を歩くのは困難きわまる状態です。

そのため、ツアーコースを熟知された方以外は、ツアーコースの下山滑走は困難な状況で、位ヶ原山荘から春山バス下り便を使用するようお願いいたします。

 

【昨年の今ごろは?】

2013ノリクラ 雪渓カレンダーVol.2(2013/05/15・18・19)

長野県側の乗鞍岳春山バス(乗鞍高原〜位ヶ原山荘間)は、ゴールデンウィークから運行が始まりましたが、岐阜県側の乗鞍スカイラインも毎年5月15日に開通し、シャトルバスの運行も始まりました。今回は乗鞍スカイライン開通にあわせて実施される乗鞍岳山開き祭の模様と、通常の週末のノリクラの様子をお届けいたします。

5月15日(水)は、終日快晴の一日でした。強い朝日にアウターを着ていると暑さすら覚えるほど。そのため、乗鞍スカイラインは路面凍結などはなく予定通り7時に開門し、シャトルバスも始発便から通常運行が始まりました。そして、ほおのき平駐車場では、乗鞍登山バス出発式が来賓の方々のテープカットのもとで執り行われ、花輪で飾りつけられたシャトルバスが乗鞍スカイラインをゆっくりと登って行きます。そして、シャトルバスの終点の畳平では乗鞍岳山開き祭が快晴のもと始まりました。午後になっても真っ青な快晴の空に変化はなく、いつもは強風にさらされる稜線上も穏やかな雰囲気に包まれ、どこまでも青い空に遠景の山並みが浮かぶ絶景が、夕方まで続いていました。

5月18日(土)も、綺麗な青空が続きます。日差しが強い上にほとんど風の流れがなく、暑さにバテてしまうほどの状況。三本滝レストハウス前駐車場は雪解けでスペースが広がってきたものの、今日もかなりの賑わいで、乗鞍岳春山バス始発便は5台運行されました。午後になって少しずつ雲が広がってきたものの青空は続きます。バーンは15日(水)ほどの緩み方はなかったものの柔らかい状況で、楽しくターンを繰り返すことができました。

5月19日(日)は、早朝はほとんど雲ひとつない快晴から始まりました。しかし、9時過ぎから雲が広がり始め、一の瀬園地で行われた乗鞍高原開山祭が始まる10時過ぎには完全に曇。開山祭は安全祈願神事に続いて、樽酒の鏡開き、そして、訪れた観光客の方々は手打ちそばや山菜汁の無料サービスに舌鼓を打っていました。

 

<編集後記>

「感じ取ること...」

警察庁から、今年のゴールデンウィーク大型連休中(4月26日〜5月6日)の全国の遭難件数が155件(201人)と発表され、記録のある2005年以降で最多となりました。

ノリクラは3000メートル級の高山ですが、春山バスが運行され、条件が悪いと運休になることもあって、他の高山と比べると、遭難に陥るケースは少ないと思われます。しかし、ちょっとした滑落など負傷には至らないケースはしばしば発生しています。

これまでノリクラでの負傷・遭難・救助は、道迷いや滑走・登山中の転倒が原因で発生し、他の山と状況は変わりないと考えられます。その中で気になるケースがグループでの行動時のアクシデントです。

グループで行動するときは、各メンバーの力量を配慮しながら山行しなければなりませんが、メンバーの中には、先頭についていかなければならないために無理をして滑落したり、滑走時に転倒するために負傷する様子があります。

各メンバーの心理状態なども考えながらの行動が必要ですが、危険回避だけでなく、色々な側面に配慮した行動をとれば、気象の急変や、雷鳥・ハイマツ帯・高山植物など環境への影響を考慮した行動など、数々の配慮が働くはずです。

山登りは、単にピークを目指して登るだけのものではありません。足元の草花や遠景の山並みなどを楽しむことも大切で、それらの季節の移り変わりを敏感に感じ取ることが、最終的には危険回避の察知につながって行くものと思うのです。

 

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