ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.20(2009/09/26〜27) B
【雪渓下部】
ここからは、いつものように雪渓下部の様子をお伝えします。
スキーヤー専用道 − ウラジロナナカマド |
雪のなくなった雪渓エリアは、ほとんど変化のない状態が続きました。しかし、いつもお伝えしているスキーヤー専用道沿いのウラジロナナカマドも、ご覧のように真紅の色合いとなり、実のほうも、今週になってようやく真っ赤な状態となりました。
石碑の岩 | 石碑の岩の下部 |
こちらは雪渓下部の南側にある石碑の岩。大雪渓エリアでモーグルコースの岩の次に姿をあらわす大岩です。この周辺は雪解けが完了して、二ヶ月前以上が経過し、その間、周辺の風景は、先週までほとんど変化のない状態でした。
ウラジロナナカマドの赤がハイマツ帯を縁取る |
先週あたりから変化を見せ始めたハイマツ帯を縁取るウラジロナナカマドが、ご覧のようにその存在を誇張するかのように染まっています。グリーンシーズン中は、ハイマツと同化して緑一面のビロードの美しさを見せていますが、それとは対照的な色彩を放っています。
チングルマ − しっかりとした赤に |
こちらは毎年定点でお伝えしている石碑の岩にあるチングルマ。先週あたりから紅葉が始まり、しっかりとした赤となっています。ピークの真紅まではもう一歩といったところですが、昨年と同じ傾向です。
【グリーンサポートスタッフ −外来種 セイヨウタンポポの除去】
こちらは、中部森林管理署のグリーンサポートスタッフの方々。
外来種 セイヨウタンポポの除去作業 | 秋でも新たなつぼみができほどの生命力 |
今日は、外来植物である、セイヨウタンポポの除去作業に当たっています。もう秋だというのに、新たなつぼみができているところは驚きです。
セイヨウタンポポが日本に上陸したのは、クラーク博士が札幌農学校を開いたとき、野菜の種として持ち込んだものが最初といわれ、タンポポは貴重なビタミン源でした。在来種のタンポポが雌しべと花粉が受粉する有性生殖であるのに対して、セイヨウタンポポは雌しべだけで種子を作ることができる単為生殖。そのため、増殖率が高く、春だけでなく、夏も秋も花をつける様子から、あっという間に全国に勢力を拡大していったこともうなづけます。
ベニバナイチゴの混ざった糞 − 山麓からサルが侵出してきている |
さらに、最近よく眼にするのは、ベニバナイチゴの種が混ざった糞があちこちにあること。おそらく、山麓から登ってきたサルのものと思われ、先週のクマと同様、高山植物の実を求めて、森林限界を超えてやってきているものと考えられます。
山麓の環境の変化が、ノリクラ全体の環境に影響を及ぼしていることが、そんな一端から見え隠れしています。
【雪渓上部 T】
雪渓上部全景 |
雪渓上部の様子をお伝えします。先週と同様、雪解けのスピードが遅い状況が続き、雪渓上部右側には、まだ、積雪が見られます。また、雪渓上部左側は、全体的に昨年よりも三週間ほど早い雪解け状況は、先週と変わりありません。
⇒ | 今週の雪渓上部右側 |
|
先週の雪渓上部右側 |
||
⇔ | ||
こちらは雪渓上部右側の様子。先週の状況から考えて、なくなっていてもおかしくないのですが、ご覧のようにまだ残っています。これまでは、昨年よりも少ない状況が続いていましたが、昨年は一週間前の段階でなくなり、最終的には今年のほうが長く残りました。
長さ5メートル×横幅2メートル |
大きさは、長さ5メートル×横幅2メートル。上端からリフト土台までの距離は115メートル。よほどの冷え込みが続かない限り、次の週末には完全に雪解けすることと思います。(→ Next)
■ご注意■
今回の大雪渓関連の記事はノリクラ初心者の方を対象にしておりません。ノリクラデビューをお考えの方は来年の夏シーズンをご検討ください。
これからの時期は天候の急変により降雪・凍結などで冬山の様相を呈します。今後、大雪渓に新雪が降った場合でも、急斜面とアイスバーンが残っていて、この時期にノリクラの雪渓で滑走されたことのない方や、ソフトブートのボードの方は絶対にお越しにならないようお願いいたします。
Copyright (C) 乗鞍香辛料監視委員会 |
|