ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.5(2012/06/09〜10) @
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6月8日(金)に東海地方で梅雨入りが宣言され、翌日の6月9日(土)には関東甲信地方でも梅雨入りとなり、岐阜県・長野県ともに梅雨入りしたノリクラは、雨模様の週末となりました。
取材一日目の6月9日(土)は、昨晩から降り始めた雨の朝を迎えます。ただ、降り方としてはそれほどでもなく、レインウェアを着なくても何とかしのげる程度で、ほおのき平駐車場からは、時折、猫岳も見られる状況でした。終日雨の予報が出ていることから、今日の乗鞍スカイラインシャトルバスは雨天時用のBダイヤ。土日祝日のAダイヤの場合、ほぼ30分間隔で運行されるものの、Bダイヤは2時間間隔の運行となり、シャトルバス始発便に乗り遅れそうになった方が、あわててシャトルバスに駆け込む様子もありました。また、長野県側の乗鞍岳春山バスでは、通常通り運行されたものの、大雪渓に向かう乗客がいなかったことから、始発便は位ヶ原山荘で折り返し、大雪渓・肩の小屋口バス停には、誰一人としてやってこない寂しい状況でした。そして、雨は降ったり止んだりを繰り返し、そのたびに霧が抜ける時間帯もありますが、山頂までくっきりと抜けることはなく、肩の小屋から上部では絶えず西からの横殴りの雨が続きました。また、こんな天気を喜ぶように、いたるところで雷鳥の姿を確認することができました。これほど多くの雷鳥をみると、一体、いつもはどこに隠れているのかと思うほどで、今日の大雪渓は、確実に人間よりも雷鳥のほうが数が多い状態でした。
取材二日目の6月10日(日)は、昨日からの雨が早朝5時くらいまで続きましたが、6時ごろには収まり、雲間から青空がのぞく朝を迎えます。乗鞍スカイラインは濃霧以外に通行に支障となるものはなく、通常どおり7時に開門され、シャトルバスもAダイヤで運行が始まります。ただ、天候の回復はなく、乗鞍岳春山バス始発便が大雪渓・肩の小屋口バス停に到着した9時ごろは濃霧と霧雨の天候。また、昨日とは打って変わって、今日の春山バス始発便は5台も運行され、多くの方が濃霧の中を稜線目指して出発します。そして、濃霧と霧雨でレインウェアはびしょぬれ状態。そのため、登り始めると暑さを覚ええるものの、レインウェアを脱ぐわけには行きません。天候が回復傾向を見せたのはお昼頃、そして、しっかりとした青空が見えてきたのは13時過ぎと、今日はもう少し早く天候が回復してくれたらと感じた一日でした。
【6月9日(土)、ほおのき平駐車場】
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ほおのき駐車場 |
こちらは早朝6時のほおのき駐車場。
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気温10℃、小雨 − 時折、乗鞍スカイライン方面が雲間に | 猫岳 − 山腹に乗鞍スカイラインが横切る |
気温は10℃。昨晩から降り始めた雨ですが、現在は小雨が降ったりやんだりを繰り返す状況。そして、周辺の山々にも雲がかかったり抜けたりを周期的に繰り返しています。昨日(6月7日)は、東海地方での梅雨入りが発表され、今日は最初の週末を迎えました。
こちらの画像はほおのき平駐車場から乗鞍スカイライン方面を望んだところ。左の画像の中央に遠くの山が頭だけ見られるのがお分かりですか?こちらの山は猫岳(ねこだけ−標高2581メートル)、主峰 剣ヶ峰(けんがみね−標高3026メートル)をはじめとした乗鞍岳を構成する23峰のひとつです。右の画像は中央の猫岳部分を拡大したところ。霧ではっきりしませんが、山腹を乗鞍スカイラインが横切っている様子がわかります。ちょうど9kmポストから10kmポスト付近です。
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こちらは営業開始前のほおのき平バスターミナル。
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畳平のお天気はまだ記入されていない | シャトルバス運行ダイヤは昨日から掲示される |
本日の畳平の天候などは記入されていませんが、本日のシャトルバスの運行ダイヤは昨日から掲示されています。
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今日はBダイヤ |
シャトルバスの運行ダイヤは通常時のAダイヤと降雨時のBダイヤの二つのダイヤがありますが、それは前日夕方までに決定されます。Bダイヤは前日14時時点で翌日6〜12時の降水確率が40%を超える場合に適用され、今日は終日雨の予報が昨日からすでに発表されていましたので、ご覧のとおりの表示がなされています。
土日祝日のAダイヤでは、30分間隔で運行されますが、Bダイヤは2時間間隔での運行となり、乗り遅れると2時間待たなければなりません。ただし、始発便と最終便の時刻はAダイヤと同じです。
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バスターミナル営業開始 − 畳平の天候を記入 |
そして、バスターミナルの営業が始まり、係の方が畳平の天候を記入します。(小雨・3℃・視界不良)
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始発便到着 − 一般乗客はゼロ |
今日は週末だというのに、始発便に乗車する一般客はゼロ...さすがに梅雨入りを迎え、雨マークの一列に並んだ天気予報を見てしまうと、ノリクラに限らず、ヤマに行こうという気分にはならないのも、もっともなことでしょう。
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それでも出発間際にやってきた乗客を乗せて、いつものように畳平に向けて出発です。
【乗鞍スカイライン】
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平湯峠 − この先マイカー規制 |
ここからは乗鞍スカイラインの様子をお伝えします。ほおのき平駐車場から6kmほどのところにある平湯ゲート。乗鞍スカイラインはここから始まります。道路左側に平湯ゲート詰所があり係員が許可車両のチェックなどを行っています。この先はマイカー規制となっていて、バス・タクシー・自転車と特別に許可された車両のみの通行となっています。
平湯峠(平湯ゲート)周辺には、マイカーの駐車場がありますが、シャトルバスの停留所はありません。そのため、ほおのき平駐車場か、平湯温泉にあるアカンダナ駐車場でシャトルバスに乗り換えてください。乗鞍スカイラインシャトルバス乗り換え駐車場は、2012シーズン版乗鞍岳マイカー規制・乗り換え駐車場・シャトルバス情報 をご覧ください。
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昨年の平湯峠付近 2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.5(2011/06/11〜12) @ |
今週の平湯峠付近 今年は芽吹きが遅い |
標高1684mの平湯峠ゲートから乗鞍スカイラインを進みます。平湯峠よりも山麓側では全山萌黄色の光景が広がっています。しかし、乗鞍スカイラインに入った瞬間、若葉の芽吹きが押さえられているような感じです。「新緑前線」には平湯峠ゲートから先への通行許可が出されていないのでしょうか?(笑)
そんな冗談はさておいて、これまでにもお伝えしているように、この付近の新緑の進み方が遅い様子が続いています。
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遠景の山並みが何とか見られる |
雨はほぼやんで、遠景の山並みが何とか見られる状況。ただし、これも午後には低く垂れ込める雲に飲み込まれてしまいます。
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昨年の乗鞍スカイライン(4kmポスト付近) 2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.5(2011/06/11〜12) @ ↓ |
先週の乗鞍スカイライン(4kmポスト付近) ノリクラ 雪渓カレンダーVol.4(2012/06/02〜03) @ ↓ |
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今週の乗鞍スカイライン(4kmポスト付近) |
マイカー規制前にあった夫婦松料金所を1kmほど進んだ、標高は2050メートルの4kmポスト付近の様子。これまでは、昨年よりも積雪量の少ない傾向を示していましたが、今週になって昨年とほぼ同じ推移を示すようになって来ました。
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周辺のクマザサは9kmポスト付近まで見られる |
特段珍しいものではありませんが、周辺にはクマザサが見られます。葉の輪郭が隈取りされた様子から「隈笹」という名称がつけられています。この隈取りは越冬して葉の周辺部分が枯れたことでできる現象です。
低山を中心に分布するクマザサですが、乗鞍スカイラインでは猫岳山腹の標高約2400メートルの9kmポスト付近まで見ることができます。ちなみに長野県側ではもう少し高い標高の宝徳霊神バス停付近まで見ることができます(標高約2550メートル)。ただし、乗鞍スカイライン・県道乗鞍岳線(エコーライン)周辺に限ったことで、山中に入ればもう少し様子が異なるかもしれません。
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昨年の猫の小屋跡地 2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.5(2011/06/11〜12) @ ↓ |
先週の猫の小屋跡地 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.4(2012/06/02〜03) @ ↓ |
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今週の猫の小屋跡地 |
さらに進んで、標高2200メートル、7kmポスト付近の猫の小屋跡地。先週と比べると、この一週間の雪解けがあまり進んでいない様子が見られます。ほかのエリアでも例年よりも積雪量が多い状況が見られますが、この箇所でも2008年以降もっとも多い積雪量を見せています。
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森林限界を超えて | 山並みと雲の波 − 淡いモノトーンとダイナミックな雲の勢い |
標高2300メートルの8kmポスト付近に到達すると森林限界に近づいてきます。今日は遠くまでの眺望はありませんが、山並みと雲の波の織り成す光景が見事です。
淡いモノトーンの色彩ですが、それぞれの山が勢い良く燃え上がったようにも感じられ、落ち着いた色彩の中にもダイナミックさが表現されている光景は必見です。
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昨年の烏帽子岳 2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.5(2011/06/11〜12) @ |
今週の烏帽子岳 2008年以降もっとも多い積雪量 |
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昨年の四ッ岳カーブ 2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.5(2011/06/11〜12) @ |
今週の四ッ岳カーブ 2008年とほぼ同じ積雪量 |
上段は森林限界を超えて最初に見られる山は23ある乗鞍の峰の一つである烏帽子岳(えぼしだけ標高2550m)。先週は昨年とほとんど差がなくなって来ましたが、今週は雪解けが少なく、2008年以降もっとも多い状態が見られます。
下段はその先にある乗鞍スカイラインの中でもっとも積雪量の多い箇所を通過する四ッ岳カーブ。積雪量の多かった2008年とほぼ同じ積雪量です。
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先週の四ッ岳カーブ ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.4(2012/06/02〜03) @ |
今週の四ッ岳カーブ 積雪量に変化が少ない |
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先週の四ッ岳カーブ ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.4(2012/06/02〜03) @ |
今週の四ッ岳カーブ 積雪量に変化が少ない |
ご覧の画像は四ッ岳カーブ周辺を先週と比較したもの。先週と同様、雪解けが少ない状況が続いています。
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土俵ヶ原付近 − 周辺は濃霧 |
四ッ岳カーブを抜けて、標高2550メートルの土俵ヶ原を過ぎると周辺は濃霧に包まれれるようになり、視界が奪われます。
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桔梗ヶ原 −風雨が激しく吹きぬける |
標高2650メートル付近の桔梗ヶ原は道路の左右が開けていて、悪天候時は風雨が激しく吹きぬけます。ちょうど稜線上に到達したのと同じような状況です。
視界は50メートル程度です。この程度の視界であれば、通行には支障はありません。濃霧に加えて風雨が強いことから、今日の乗鞍スカイラインは、自転車の通行が見合わされました。
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昨年の鶴ヶ池雪渓 2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.5(2011/06/11〜12) @ |
今週の鶴ヶ池雪渓 2008年以降最も多い積雪量 |
畳平に到着する手前に鶴ヶ池雪渓が広まります。岐阜県側で唯一滑走が認められているエリアです。畳平から歩いてすぐの場所にあることから、初めてお越しになったスキーヤー・ボーダーの方にも安心してお勧めできる場所です。例年6月下旬まで滑走可能です。鶴ヶ池雪渓の詳細については、ノリクラガイドマップ春〜夏スキー鶴ヶ池雪渓版 をご覧ください。
昨年は積雪量の少ないシーズンだったため、昨年よりもかなり多い様子が見られます。先週と同様、2008年以降、積雪量の一番多い積雪量が続いています。
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畳平に到着 |
平湯峠から14.4km、国内の自動車道でもっとも高いところに位置する標高2702メートルの畳平に到着です。(→ Next)
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