ノリクラ 雪渓カレンダープレリリース版
Vol.2(2017/04/08) C
【ツアーコースV−位ヶ原急斜面】
位ヶ原急斜面 |
こちらはツアーコース最後の位ヶ原急斜面。これまで樹林帯を切りとおしてコースが作られていましたが、この付近からはオープンバーンになります。
位ヶ原山荘に向かうための案内看板 =悪天候時はここで進退の判断を決めること= |
こちらは位ヶ原山荘に向かうための案内看板。ここには、「この先は今までのような道はありません。悪天候時はルートを見失いやすいです。最近、単独行の道迷い遭難が多いです。経験・自身のない方は無理せずここで引き返してください。」と、記されています。
この先は森林限界を超えてオープンバーンになりますから、今日のような視界状況では確実に方角を見失うことになります。方角を見失ってから(迷ってから)戻ろうとしても、もうその時点では戻れませんから、この看板の位置で、この先、進んでもよいのか・撤退すべきかを判断しなければなりません。
昨年の位ヶ原急斜面 2016ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版Vol.4(2016/04/09) D ↓ |
先週の位ヶ原急斜面 ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版Vol.1(2017/04/01) B ↓ |
今回の位ヶ原急斜面 昨年より2メートル近く多い |
位ヶ原急斜面の積雪は、昨年より2メートル程度多く、積雪の多かった一昨年よりも多い状態です。
雨を含んでザクザク状態 =冷えて固まれば今後の雪解け抑制に、このままだと雪崩の危険性も= |
バーンは昨日の雨がしっかりしみこんでグサグサ状態。今後、冷え込んで固まってくれると、今後の雪解けが抑えられます。ただ、このままの状態ですと雪崩の危険性も考えられます。なお、ノリクラの雪崩多発場所は、ノリクラ雪渓カレンダー冬〜春スキー版 で確認できますのでご覧ください。
【位ヶ原急斜面と伊奈川の谷について】
【本物】左の谷−位ヶ原急斜面(正規下山ルート) | 【偽物】右の谷−伊奈川の谷(間違えて何度も遭難あり) |
さて、こちらは位ヶ原急斜面を上から眺めたもの。左が「本物」で右が「偽物」です...
この2枚の画像は左右連続写真(※)で、左が本物の位ヶ原急斜面で。右は伊奈川の谷で位ヶ原急斜面ではありません。特に濃霧の時は同じような地形に見えてしまい、ツアーコースへ下山する際に間違えて伊奈川の谷へ進んで、これまで何度も遭難が発生しています。乗鞍岳春山バスが運行される4月下旬には、伊奈川に立ち入らないようにロープが設置されますが、この時期はありません。
(※ 実際には左右の画像の間に尾根部分があります。)
位ヶ原急斜面と伊奈川の谷は隣り合っているので間違いやすい ノリクラ雪渓カレンダー冬〜春スキー版 |
ツアーコースの位ヶ原急斜面は青い部分、伊奈川の谷は赤い楕円の箇所です。ご覧のとおり隣接していて、大雪渓・位ヶ原や山頂方面から下山する際に間違いやすい位置にあります。位ヶ原急斜面や伊奈川の谷の周辺の位置関係は、ノリクラ雪渓カレンダー冬〜春スキー版 で確認できますので、ぜひ一度ご覧ください。
伊奈川の谷−大きな岩場があるのが特徴(中央) |
伊奈川の谷には雪着きの悪い大きな岩場があり、これが位ヶ原急斜面との大きな違いです。濃霧の中でも、斜面の中に大きな岩場があるかどうか確認できるはずです。
【位ヶ原】
位ヶ原 − 上端部分が見えなければ引き返すことをオススメします |
ツアーコース位ヶ原急斜面を登りきった先より、森林限界を超えて位ヶ原の台地に入ります。森林限界を超えると、天候・気候が急激に変化します。もし、急激に雲が流れ込んで視界が阻まれるようになったら、急いで引き返す必要があります。
判断の一つとして、ご覧の画像のように上端部分が確認できるかどうかがポイントです。もし、上端が見えない状態であれば、引き返すことをオススメします。
昨年の位ヶ原 2016ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版Vol.4(2016/04/09) D ↓ |
先週の位ヶ原 ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版Vol.1(2017/04/01) B ↓ |
今回の位ヶ原 −
先週より25センチ減少 昨年より80センチ多く、一昨年より105センチも多い =例年よりも積雪量が多い= |
今年の位ヶ原は先週より25センチ減少しましたが、例年より積雪量が多く、昨年より80センチ多く、一昨年より105センチも多い状態です。
ハイマツが析出 |
例年よりも多いものの、雪着きの良くないところでは、ハイマツが析出してきました。
昨年同時期 −
同じ時期にハイマツが =雪付きの良くないところは昨年と同じ積雪量= 2016ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版Vol.4(2016/04/09) D |
こちらは昨年同時期の様子。昨年も同じ時期にハイマツが出ていますので、雪付きの良くないところは昨年と変わらない積雪量であることがわかります。
雪付きの悪いところは例年並みで、雪付きの良いところは例年以上の積雪量 |
同じ角度の今回の画像。位ヶ原のハイマツと同様に、摩利支天岳すべり台に登る 取りつき部分も、昨年同様にハイマツが出ている様子がうかがえます。雪付きの悪いところは例年並みで、雪付きの良いところは例年以上の積雪量といえるでしょうか?
<編集後記>
「4月は変化が目まぐるしい...」
4月に入って、長野県側の県道乗鞍岳線(エコーライン)や、岐阜県側の乗鞍スカイラインの除雪が始まりました。例年よりも積雪量が多く、また、スキー場の営業終了が4月9日ですから三本滝以降の除雪開始が例年より遅いため、予定通りの除雪が行われるかどうか気がかりではあります。
県道乗鞍岳線は4月17日に三本滝まで開通し、4月22日(土)には位ヶ原山荘までの乗鞍岳春山バス運行開始が予定されております。また、乗鞍スカイラインの開通は毎年5月15日と決まっておりますが、今年は5月1日から夫婦松までの部分開通を予定しているとのことで、ゴールデンウィークの集客を狙ったものと考えられます。
目まぐるしく様々なものが開幕するシーズンで、取材する側も忙しさが倍増する時期でもあります。
■ご注意■
今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)
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