ノリクラ 雪渓カレンダープレリリース版
番外編<真冬のノリクラサミット>
(2017/12/23〜24) D
【12月24日(日)、位ヶ原山荘を出発、目指すは富士見沢】
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どんよりした朝 |
一夜明けて、二日目の朝は曇り空。東の空が若干朝焼けしたものの、どんよりとしたあいにくの天候。しかし、7時の気温はマイナス2℃もあって、暖かな朝を迎えられたことはありがたいこと。
標高2350メートルもありますから、マイナス10℃を下回ることがごく普通で、最も寒い1月下旬になると最低気温はマイナス20℃に達します。しかし、山荘では寝具が用意されていて暖かく、よほどのことがない限りは寒くて寝られないようなことはありません。(数に限りはありますが、有料で湯たんぽが利用できます。)
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昨日の降雪はゼロ |
昨晩の降雪はゼロ。そのため、昨日のトレースがそのまま残っています。つまり、軽いパウダーは期待できないコンディションです。それでも、この付近は標高2500メートルもある高所でしかも内陸の乾いた雪ですから、数日間降雪が無くても、柔らかい雪は残っているはず!と、期待しながら出発の準備です。
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今回の乗鞍サミットは12名 |
時間とともに、薄日が差し始め、天候は少しずつ回復傾向。風もほとんどなくなり、アウターを着ていると暑さすら覚える状態。寒さにこらえながらの出発よりも、このような暖かなコンディションでの出発は気分的に楽ですね。
今回の乗鞍サミットは過去最高の12名のご参加。数多くの方が集まってさらに親睦の輪が広がることを期待します。
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富士見沢目指して出発 |
もちろん、これからパウダーゾーン目指して、富士見沢へ向かいます。この時期、山頂剣ヶ峰への日帰りは時間的にかなり厳しく、山頂を目指す登山者の多くは位ヶ原山荘で一泊するケースが多いと思います。また、パウダー狙いのスキーヤー・ボーダーは、この時期の剣ヶ峰方面はアイスバーンになっているため、あえて登る方は少なく、すべり台(摩利支天岳東斜面)や富士見沢、屋根板方面へと向かいます。
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屋根板周辺 −
新雪10〜20センチ =十分滑走可能な状態です= |
まずは登山道入口あたりから屋根板方面を目指します。ストックを突き刺して10〜20センチほどの新雪。おそらく、ここだけでも充分なパウダーが楽しめるはずです。シーズンによっては、積雪が少なくて滑走できない場合もありますが、年末年始あたりからは滑走できるレベルになると思います。もちろん、今年はすでに十分な積雪量になっています。
気温はマイナス2℃、一般的には厳冬の世界のように感じる気温ですが、行動中のこの気温は寒くはなく、状況によっては暑さすら覚えるもの。実際、ヘルメットの中はサウナ状態となり、小休憩の時はヘルメットを脱いで汗をぬぐう様子も見られました。
冬の装備は防寒ばかりを考えてしまいますが、うまく汗を逃がす・熱をためないことも、併せて重要です。
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出発から1時間20分 − 富士見沢の稜線が目の前に |
位ヶ原山荘を出発して1時間20分、目の前に富士見沢の稜線が迫ってきました。すぐ近くにあるように見えても、ここからが長いんです。
【富士見沢のパウダーを喰う】
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稜線直前はかなりの急斜面でシールが効きにくい雪質、ずり落ちそうになりながら... |
いよいよ、富士見沢の稜線が目の前に近づいてきました。かなりの急斜面に加えて、シールが効きにくい雪質となり、中にはずり落ちそうになる状況に必死に耐える様子もありました。
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登頂成功! |
そして、山荘を出発して2時間30分。富士見沢の稜線に到達!皆さん、達成感に満ち溢れた笑顔がいっぱいです。
稜線の向こうに広がる山は摩利支天岳で、その頂上には旧 コロナ観測所が見えます。画像の位置は、肩の小屋へつながる宇宙線観測所の専用道付近で、一般的に富士見沢の稜線を目指すには、この画像の左に写る摩利支天岳の左側のコル部分にある滑り台頂上まで登って、そこからこの専用道を歩いて移動します。今回のように、富士見沢を下から登ってくるのは少し傾斜が急すぎますので、一般的にはオススメしません。
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強風を避けるため、稜線から少し降りて滑走準備 |
稜線上はかなりひどい強風ですから、稜線から少し降りた斜面上でシールをはがして滑走準備をします。
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晴天とともに突風が吹き荒れる − バランスを崩して転倒! |
11時過ぎから、急激に天候が回復し、それと同時に突風が吹き荒れる状態に。中にはバランスを崩して転倒するメンバーも。
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見事な青空へ |
まるで我々の滑走時間に合わせるように見事な青空となりました。青い空と白い雪のコントラスト...この二日間の中でもっともきれいな光景です。
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至福の時を楽しむ |
やや、締まって重たい感触があってもパウダー感は十分に味わえ、至福の時を楽しみます。
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派手に転んで「富士見沢のスケキヨ」 | 大満足! |
しっかりターンを決めて滑るのはもちろん楽しい。でも、派手に転んで雪まみれになっても それはまた楽しいもの...真っ逆さまに派手に転げ落ちる様子は、「富士見沢のスケキヨ」と比喩するのが良いでしょうか?(笑)
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乗鞍サミットを無事終了 |
「終わりよければすべてよし!」 最後にきれいな快晴に恵まれて、乗鞍サミットを無事に終えることができました。ご参加下さった方々には感謝申し上げます。
<編集後記>
今年は近年になく積雪量の多いシーズン開幕を迎えることができました。ツアーコースも11月中旬くらいから入山可能な状況となり、このように早期からまとまった降雪に見舞われると、例年だと12月に入ると全く雪が降らないということもあるのですが、今年はその後も、どんどん雪が降り、現状では1月上旬に近い状態になっています。
乗鞍サミットは今回で8回目を迎えました。ここまで続けてこられたのも、ご参加の皆様のお力添えによるものです。「乗鞍サミットがあるから、また、来シーズンも訪れてみたい」という方々が増えればと思っております。
■ご注意■
今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)
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