ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.14(2010/08/13〜15) C
【雪渓中段】
雪渓下部の北端のモーグルコースの岩と南端の石碑の岩の間を上がったエリアで、雪渓上部の雪渓下部を結ぶ緩斜面です。
こちらは前年同時期より二週間早い画像。ほぼ同じような状況を示し、今週は昨年よりも二週間遅い雪解け状況であることが分かります。
中央の大岩 −左側の雪解けが完了 | 積雪は雪渓中段の右側部分のみ |
左の画像は前述の画像中央の大岩。この岩の左側はほぼ完全に雪解けが完了し、右側のみを残す状況となっています。
こちらは雪渓中段北側にある肩の小屋への登山道付近。雪渓と登山道との間は10メートルほど開きができてくるようになって来ました。
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昨年同時期より二週間早い雪渓中段 2009 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.12(2009/08/01〜02) C |
今回の雪渓中段 −
左の画像とほぼ同じ状態 横幅37メートル×長さ85メートル |
今回の雪渓中段は横幅37メートル×長さ85メートルで、昨年同期の二週間前とほぼ同じような状況を示しています。
先週の段階で雪渓中段の上半分は積雪がなくなりましたが、下半分は昨年より二週間ほど遅い雪解け状況を示しています。
【高山植物、雷鳥】
大雪渓エリアでは多くの高山植物が花期を迎えています。こちらはオンタデ。県道乗鞍岳線の沿線などでいたるところで目にすることができます。
オンタデ(雄花) | オンタデ(雌花) |
そのオンタデをよく観察すると、白い花をつけたものと赤い花をつけたものの二種類があります。オンタデは雌雄異株で、白い雄花と赤い雌花です。異株であるため、白と赤が混在して咲くことはありません。
こちらはウサギギク。
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ウサギギクを始めとしたキク科の仲間は、中央部分が小さな花(筒状花)の集合体(頭花)を形成しています。そして、二枚の画像を比べるとお分かりの通り、筒状花は外周から徐々に開花しています。
また、普段見ている大きな花びらは舌状花と呼ばれ、紫外線下では頭花以上に反射してまぶしく写り、虫のやってくるのを待ちます。そして、外周から徐々に開花する筒状花を持つキク科は、受粉期間を長く保つことができることから、最も進化した植物といわれています。
ウサギギクの頭花部分をよく見ると、筒状花の一つ一つにちゃんと花弁がある様子がはっきりと分かります。
多くの高山植物が花期を迎えていますが、まだまだ、これから花をつけるものもあります。こちらはシナノオトギリ。8月下旬ごろにはまつげのように目立つ雄しべが特徴です。
こちらは高山植物の女王とされているコマクサ。花の形が馬の顔に似ていることから命名されています。コマクサは他の高山植物が生えないほど地質の移動が激しい砂礫地に自生します。そのためには地上部分からは想像できないほど長い根を持っています。
他の高山植物を寄せ付けないような最も厳しい環境で自生するコマクサは、その気品さとは裏腹に高山植物の中でも先駆者的な存在で、また、他の高山植物どころか、同じコマクサをも淘汰するような性格を持ちます。「孤高の女王」と呼ばれる由来はこんなところにあるのかもしれませんね。
こちらはコバイケイソウ。先週の【高山植物】 のコーナーではほとんど花をつけていないとお伝えしましたが、別のエリアではご覧のように多くの花を見つけることができました。今年はエリアによって状況が異なっている様子です。
雷鳥(親子) | 雷鳥(雛) |
こちらはライチョウの親子。左の画像の手前が雌親、奥の二羽が子供(雛)です。
雌親 − 足輪がある | 子供 − まだ足輪がない |
ノリクラではライチョウの個体調査が実施されていて、すべてのライチョウに識別用の足輪が取り付けられています。雌親の足輪にはご覧のように足輪がありますが、子供の足にはまだありません。
これから秋に向けて、すべてのライチョウに足輪が取り付けられることと思います。
高山植物やハイマツの芽をついばむ − 冬までにはほとんど親と同じ大きさに |
6月ごろ羽化したライチョウは高山植物やハイマツの芽をついばんで成長して行きます。冬を迎える頃には親鳥とほぼ同じくらいの大きさになるはずです。
ノリクラはライチョウのためにある |
「クルクル〜ッ」と、小さく鳴きながら雌親は子供の世話を続けます。こんな静かな様子を見ていると、ノリクラはライチョウのためにあるのだと不思議に思ってしまうものです。(→ Next)
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