ノリクラ 雪渓カレンダー
 
Vol.13(2013/08/03〜04) A

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(Update:2013/08/08)

 

【観光センターから大雪渓へ、沿道の風景 U】

三本滝ゲート − この先マイカー規制 タクシー・自転車やバスは通行可

観光センターから7km先にある三本滝ゲート。マイカー規制はここから始まります。通行できる車両はご覧の通りタクシーと自転車、そして、バスに限定されています。

 

かもしかゲレンデ ヤナギラン

三本滝ゲートを進んで、かもしかゲレンデを道路が横切ります。ご覧のようにヤナギランが咲き始めています。

 

下から順番に咲く

これからゲレンデをピンクに染めるようになってくることと思います。ご覧の通り、下から順番に咲き始めている様子がわかります。開花の時期はほぼ昨年並みです。また、他の高山植物・山野草も全体的にほぼ昨年と同じ時期に開花していて、昨年より早い傾向が続いている畳平のお花畑のような現象は見られません。

 

ハンゴンソウ − 外来種ではありません 幽霊の手のような葉が特徴的

こちらはハンゴンソウ(反魂草、キク科キオン属)。花や姿はキオンに似ていますが、葉の形がご覧のように大きな切れ込みがあって、キオンと区別する大きな特徴です。「反魂草」という名前の由来には諸説があり、一つ目は、葉がタバコの代用として用いられ、タバコのことを「反魂草」と読んでいたことから由来するという説。しかし、ハンゴンソウの葉にはニコチン成分はありません。二つ目は、葉が幽霊の手に見え、死んだ人の魂を呼び戻す草という説。三つ目は、葉に下痢止め成分があり、コレラ発生時に一命を取り留めたという説があります。

また、要注意外来生物として環境省から指定されているオオハンゴンソウ(キク科オオハンゴンソウ属)や、前のページで紹介したアラゲハンゴンソウとはまったく別の種類で、ハンゴンソウは外来植物ではありません。

 

今日もヒルクライマーが続々と

8月に入ると、ヒルクライムに訪れる方がさらに増えてきました。ヒルクライムそのものを純粋に楽しみたいという方ももちろんですが、9月1日(日)に開催される全日本マウンテンサイクリングin乗鞍に出場される選手の方々もたくさんお越しになっています。

ヒルクライムされるこちらの方々のように長袖姿。この時点で気温は16℃前後で日差しもないため、腕に風が当たると寒さを感じるほどです。大会に出場される選手の方々は、トレーニング目的のため、できる限りの軽量化を図るため、防寒着なども持参せずに走行される様子が中にはいらっしゃるようです。しかし、ゴール地点は標高2700メートルの山岳地帯ですから、突然の気象変化に対応できるための装備は持参するようお願いいたします。

次のページで、ヒルクライムにお越しの際の注意点をまとめましたのでぜひともご覧ください。(→ 【ヒルクライマーへのアドバイス・お願い(レインウェアの持参、熱中症と水分補給可能場所、下山走行の注意点)】

 

ゲレンデに揺れる藤色の花

ゲレンデに揺れている藤色の花は先ほどのヤナギランとは少し違いますね。

 

クガイソウ 放射線状広がる葉が何段も

尾っぽのような形の花はクガイソウ(九蓋草、九階草、オオバコ科クガイソウ属)です。かつてはゴマノハグサ科に属していました。特徴的な形状の花に注目されますが、こちらの花の名前は、輪生した葉が段状についているところから命名されています。「九」という数字は1〜9のうちで一番上の数字で、中国の陽の数字の中で最上位にあり、「多数」を意味するとされています。「蓋」は従者が法会の導師にさしかける柄の長い傘のことで、輪生の葉を傘に見立てたところからきているようです。また、「階」は輪生の葉が9段あったところからとされていますが、実際には9段でない場合もあるようです。

 

摩利支天付近 − 次第に青空が広がってきた

三本滝ゲートからさらに3kmほど進んだ標高2000メートルの摩利支天(まりしてん)という場所です。摩利支天とは仏教の守護神の一つである天部の一柱で、元々は地名ではありません。

乗鞍岳は古くから信仰の山で、コロナ観測所がある摩利支天岳(標高2872メートル)の頂上から不動明王をここに勧請して参拝しやすくしたものだとされていて、一説では霊神にしても不動明王にしても一気に頂上近くまで登れず、何百年もかけて天に近づくための一つの祭祀場であったとされています。(実際にこの付近に現在も不動明王が祀られています。)

 

シナノオトギリ 葉は弟を切りつけたときの返り血を浴びる

まだまだ夏真っ只中ですが、この花が咲き始めると、次の季節が近づいてきているように感じます。シナノオトギリ(信濃弟切、オトギリソウ科オトギリソウ属)。高さは30センチにも満たない高山植物ですが、大きく広がる雄しべが特徴的ですから、すぐに見つかるはずです。

この花の由来は有名ですから、ご存知の方も多いことでしょう。鷹匠だった兄弟は、狩で鷹が傷つくと妙薬でその傷を治しましたが、その薬草は絶対に口外しないという約束になっていました。しかし、それを弟が他人に漏らし、怒った兄が弟を斬り殺ししまいました。その薬草がオトギリソウ(弟切草)で、止血、はれもの、傷の鎮痛に効果があるとされています。

オトギリソウの葉には無数の黒点があり、それは弟を斬りつけたときの返り血とされています。オトギリソウには、シナノオトギリの他にイワオトギリなど数種類の仲間がありますが、葉の黒点の状況から判別します。シナノオトギリは葉の辺縁に多く分布して、葉の内側は比較的少なく、イワオトギリは葉の辺縁には黒点はなく、葉全体に均一に黒点が分布しているとされています。ただ、かなり見分けが付きにくく、判別は難しいと考えられます。

 

ハナアブは花粉を食べるのにわき目も降らず

そんなシナノオトギリにやってきているのはハナアブ。わき目も降らずに花粉を食べていますが、後足に花粉団子をつけていますので、マルハナバチかもしれません。

 

冷泉小屋付近

標高2230メートルの冷泉小屋付近にやってくると、上空は雲ひとつない真っ青な快晴が広がってきました。

 

クルマユリ

クルマユリは、2週間前のノリクラ 雪渓カレンダー Vol.11(2013/07/20〜21) A で、荒田沢橋付近に咲いたものをお伝えしました。今回はそれよりも標高の高い冷泉小屋〜位ヶ原山荘間で、現在見頃を迎えています。

標高の違いによって、同じ花でも開花時期がかなり異なっています。また、さらに上部の大雪渓・位ヶ原などの高山帯では、雪解けのタイミングで決まるため、シーズンによっては1〜2週間程度の違いは珍しくありません。

 

位ヶ原山荘

標高2350メートルの位ヶ原山荘。この先は森林限界となってきます。

 

現在の富士見沢は緑一色 あと2ヶ月もすると紅葉の屏風
2012ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.21(2012/09/29〜30) E

この位ヶ原山荘から望む富士見沢方面。現在は濃い緑色一色ですが、これが秋を迎えるとご覧のような見事な錦の屏風が目の前に現れます。秋の紅葉はまだまだ先のことと思っていますが、もう2ヶ月を切っています。

ノリクラの紅葉は9月中下旬の大雪渓付近から始まり、ご覧の位ヶ原山荘付近は9月下旬から10月上旬、そして、10月末には乗鞍高原まで進み、1.5ヶ月にも及ぶ紅葉シーズンが続きます。ノリクラの紅葉の概要は 乗鞍紅葉情報(紅葉の歩き方) をご覧ください。また、本コーナーであるノリクラ雪渓カレンダーでも、9月から紅葉情報をお届けしておりますので、紅葉見物にお越しの際には事前にチェックされることをオススメします。

 

すがすがしい青空

先ほどまでの天候がうそのようなすがすがしい青空がいっぱい...

 

躍動感いっぱいの雲

微妙な雲の塊には躍動感を感じさせてくれます。

 

雲海が目線の高さに 南アルプスの稜線

こちらは乗鞍高原を包み込んでいたい雲海。位ヶ原からは目線の高さに雲が浮かんでいます。その雲の彼方には南アルプスの山並みが頭だけ突き出しています。

 

昨年の11号カーブ、ツアーコース入口
2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.13(2012/08/04〜05) A
今週の11号カーブ、ツアーコース入口
昨年より1週間遅い雪解け

位ヶ原山荘から1.5km先にある11号カーブ、厳冬期のツアーコース入口です。ご覧のとおり、かなり積雪が少なくなり残りわずかとなってきました。昨年と比べて1週間程度遅い雪解け状態です。

 

雲の雰囲気は秋を先取りしている

柔らかい雲が稲妻のように広がって、季節は秋を先取りしているような雰囲気になってきます。

 

昨年の位ヶ原お花畑
2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.13(2012/08/04〜05) A
今週の位ヶ原お花畑
ようやく雪解けが進む − ほぼ昨年並み

さらに進んで位ヶ原お花畑にやってきます。道路左側がお花畑で、この1週間でかなり雪解けが進みました。そのため、これまでは昨年より1〜2週間遅い状況が続きましたが、ほぼ昨年並みとなっています。

 

青い芽吹きがすぐに活動を始める

雪解けを待っていたかのように、青い芽吹きがすぐに活動を始めます。短い夏を一生懸命生きています。

 

5号カーブ 4号カーブ − 雪解けが完了、昨年よりやや早い

沿道の積雪もかなり少なくなり、宝徳霊神バス停のある5号カーブにはまだ積雪が見られるものの、大雪渓下の4号カーブは雪解けが完全に終わりました。

4号カーブの雪解け終了は昨年よりもやや早い状況です。 Next

 

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