第28回 全日本マウンテンサイクリングin乗鞍
 
(2013/08/31〜09/01) B

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(Update:2013/09/15)

 

【9月1日(日)、ゴール付近は濃霧強風−レースはできるのか?】

早朝4時 − まだ闇夜

一夜明けてレース当日の9月1日(日)、時刻は早朝4時を回ろうとするところです。日の出まで1時間以上もあって周辺はまだ真っ暗。気温は16℃、頭上には雲間に星空が広がる状況ですが、時折、小雨が降り、はっきりしない天候です。

今日のノリクラは、一年の中でもっとも早起きの朝を迎えます。

 

大会本部 − 真っ暗な中、最終準備が始まる

大会本部にはスタッフが集まり始めて、最終準備に取り掛かろうとしています。大会本部周辺はほとんど風もなく、穏やかな様子ですが、ゴール付近の畳平の天候は気温9℃で強風濃霧となっていて、乗鞍スカイラインでは自転車の通行が見合わせられるほどの状況です。

 

■9月1日(日)− レース当日のスケジュール■

06:00

● 選手集合・荷物預かり<乗鞍観光センター前駐車場>
    ※ 応援バス 出発<スキー場前 第一駐車場>

06:30

● 開会式(大会宣言・競技説明)<乗鞍観光センター前駐車場>

07:00

● 競技スタート<乗鞍観光センター前> → 下記の カテゴリー別スタート時刻 参照
    ※ 応援バス 到着<大雪渓駐車場>

11:30 ● 競技終了 
12:30     ※ 応援バス 下山<大雪渓駐車場>
13:00

● 表彰式・抽選会<乗鞍観光センター前駐車場>

13:30     ※ 応援バス 到着<スキー場前 第一駐車場>

※ ●印 :選手に関連するもの   ※印 :観戦者に関連するもの

 

スタート地点も準備が進められる

5時をすぎる頃になると空も幾分明るくなり、大会本部以外の設備でも準備が着々と進められるようになってきました。

 

今日ばかりはどの旅館・民宿も朝が早い 選手は朝食前からウォームアップ

もちろん、選手の皆さんも早朝からウォームアップです。まだ暗いうちから、それぞれの旅館・民宿には明かりがともり、軒先ではローラーを回す様子があちこちで見られます。通常、7時前後の朝食時間も、今日ばかりはどの宿も4〜5時に朝食を提供します。

そして、選手を送り出した後の旅館・民宿では、大会係員としてレース運営の仕事が待っていて、この日ばかりは息をつく暇もない一日となります。

 

6時前 − 選手が続々と会場入り、雲は低くゴール付近は見えない

時刻は6時を回ろうとしています。出場選手が続々と集まり始めます。上空には青空が見え隠れする様子が確認できますが、雲は低く垂れ込めて、ゴール付近は完全に雲に飲み込まれています。

 

 

カテゴリーごとに並びます

会場にはご覧のようにカテゴリーごとに標識が立てられていて、標識の前から順番に並びます。一番最初に並んだ人が一番前からスタートということになります。できるだけ好位置でスタートを飛び出したいという選手は、前のほうに順番を取らなければなりません。

昨年より競技時間の計測がネットタイム方式に変更されたことから、各選手のスタート時間とゴール時間の両方を計測するため、スタート位置にかかわらず各選手の競技時間を正確に計測できるようになりました。以前はゴール時間しか計測しなかったため、スタート位置がかなり重要なポイントでしたが、現在ではその問題点は解消されています。ただし、好位置からスタートを飛び出したいという点ではスタート位置の重要性は従来と変わらないでしょう。

 

ゼッケン番号ごとに手荷物を預ける(マイクロバス)

当日、選手が行うことは、ゴールで受け取る手荷物を預けることだけ。受付などの事務作業は一切ありませんので、手荷物を預けたら、先ほどのカテゴリー別の列に並ぶだけです。

 

大会本部にはゴール地点から天候状況が無線で入電

それでは、再び大会本部の様子をのぞいて見ます。
すでにゴール付近に到達した無線スタッフから現地の天候状況が入電します。大雪渓付近は濃霧強風で、昨晩の雨で路面には相当の土砂が流出しているとのこと。

現地からの無線では、「位ヶ原山荘まではそれほどの状況ではないものの、それより上部は自動車のドアも開かないほどの強風で、視界が全く効かず、スタッフ車両用のマグネットステッカーも吹き飛ばされました。先ほどから横殴りの雨になって来ました。そんな状態です。とにかくひどいです...大会本部、どうぞ!」と、しきりに話し続けています。

 

濃霧強風と土砂流出 − 開催について協議が続く 土砂除去のため箒(ほうき)を持って現地へ急ぐ

この路面状況ではレースは開催できないため、路面の土砂を除去するため、スタッフが箒を持って現地へ向かいます。岐阜県側の乗鞍スカイラインでも、早朝から濃霧強風が続いていて、自転車の通行見合わせの状況が続いています。

自転車は横風に弱く、強風で転倒する危険性があり、また、ゴール後は悪天候の中で下山待ちを強いられることになり、事故への危険が高まる恐れがあります。

大会本部としては、このままレースを始めるのか、判断に苦しむ状況が続いていて、ゴールエリアを1.5km手前の大雪渓に引き下げて実施することも視野に入れて検討が始まります。

いずれにしても、できる限り実施できる方策を模索している最中で、スタッフからも厳しい表情が見え隠れしています。

 

「レース、やるの・やらないの〜〜」 「このドキドキ感からにげだしたいねぇ!」

時刻は6時少し前。最終判断は6時ということになっていましたが、場内のアナウンスからは、「選手の皆さん、本日の大会開催につきましては、現在コース状況を確認中ですので、今しばらくお待ち下さい。」と、最終判断を留保する情報が流れます。

実施するのかしないのか不透明な状況に選手の不安が募って行きます...
「レース前の緊張感と戦うのは当たり前なんですが、もう、このどきどき感から逃げ出したいね。緊張感がこぼれ出してるよ。」と、筧選手。
その隣で「(レースが)ない・ある・ない・ある...勝ちたい・やめたい...やめたい・勝ちたい」と、つぶやきながら集中が途切れそうになるのを何とか頑張る金子選手...

さらに筧選手は、「ノリクラは位ヶ原からが勝負で、他のところだったら前に進むんだけど、ノリクラはここがあるから本当に前に進まない...他と全然違う。だから他のレース以上にこのレースを目指そうと思うもん。このスタートラインに立ちたいと思うもん。ノリクラはすごいね。今年は来れてよかった。」と、付け加えて下さいました。

 

 場内アナウンス「状況確認中です。今しばらくお待ち下さい」

さらに場内アナウンスが続きます...
「選手の皆様に申し上げます。本日の大会開催につきましては昨日の雨の影響により、コース上にこぶし大の石を含む土・砂利がおびただしく広がっているため、現在、コース状況を確認中です。今しばらくお待ち下さい。」

場内に集まった選手の方々にとっては、何度も流れる場内アナウンスに耳を傾けることと、上空の雲行きを怪訝そうに見つめるしか、なすすべはありません。

 

「上はそんなに風が強いんですか!」 全く気負いのないお二人
(松本 雪子 選手)

「上はそんなに風が強いんですか、ゴール付近は向かい風になりますか、追い風になりますか?」と、お聞きになります。通常、大雪渓から県境付近は北風が流れていて、大雪渓などでは地形の関係で西から吹き抜けることが多いようです。つまり、ゴール手前の直線数百メートルは北からの向かい風ということになります。でも、今日のゴール付近は、追い風であっても向かい風であっても、自転車そのものが吹き飛ばされてしまうかもしれません...

不安に駆られる選手が多い中、そんな状況に全く左右されないお二人がいます...松本 雪子選手のお二人。今年も上位入賞狙っているかと思いますが、そんな気負いが全く感じられないところに余裕感が醸し出されています。

 

上空には青空、しかし、雲の流れは激しい 大会スタッフを空を見上げる

時刻は6時をすぎたところ。山麓の乗鞍高原には青空が広がり始めました。しかし、山頂方面には激しく雲が流れていて、現地からの無線連絡でも、「濃霧強風と横殴りの雨」といった内容に変更はありません。

 

大雪渓も厳しいのであれば位ヶ原山荘ですか... 変更するならあまり時間がありませんよ

レース開始時刻の7時00分まであと45分、残り時間が少なくなってきましたが、天候状況に変わりありません。できる限り、大会実施の方向で模索した結果、ゴールを位ヶ原山荘に変更して実施する方向で調整が始まります。

 

上部スタッフへ変更作業の指示連絡

ゴールを県境から位ヶ原山荘に移動させ、さらに位ヶ原山荘に設置されていた給水所を冷泉小屋に引き下げるなどの処置が必要なため、スタート時刻を30分遅らせて、チャンピオンクラスは7時30分とし、それ以降の各カテゴリーも30分遅れとすることになりました。

 

「位ヶ原山荘をゴールとする短縮開催に変更し、スタート時刻を30分遅らせます」
=実行委員長から正式発表=

そして、6時25分、再び場内アナウンスが始まります。
「選手の皆様にご案内申し上げます。本日の大会に付きまして実行委員長より発表がございます。どうぞ皆様、ステージ上をご覧ください。」

ステージに実行委員長が上がって発表が始まります。
「皆さん、おはようございます。レース開催についてお知らせいたします。ゴール地点は最大風速15メートルから20メートル、気温10℃、濃霧で視界不良となっています。また、大雪渓とゴールの間には道路にこぶし大の石を含む土・砂利がおびただしく流れ出し、ふさがっております。自転車走行は困難な状況です。従いまして、位ヶ原(位ヶ原山荘)をゴールとする短縮開催に変更致します。走行距離は15kmとなります。スタート時刻をすべて30分遅らせて実施いたします。ゴールした後についてはゴール係の指示に従ってください。以上です。」

実行委員長からの発表を持って、レース開催が最終決定されました。それと同時に、場内からは拍手が沸き起こり、安堵の雰囲気が会場に流れます。この変更により、全長は20.5kmから15kmに、そして、標高差は1260mから890mに短縮となります。

過去には、台風により中止となったケース(→2003年大会)はありましたが、ゴール地点を変更して開催したケースはなく、今回が初めてのことです。

 

短縮コースになるとペース配分が全然違いますよ

コースが短くなったことについて、会場内の選手にお聞きすると...
「多分、全然違いますよ。一番最後のきついところがなくなるけど、楽になったということはでないと思う。短くなった分、他の選手も飛ばすからね。20kmを走る体力を、15kmでフルに使って走ることになるから、20kmのときのペース配分と全然変わってきちゃうからね。でも、トップクラスの選手ならその辺もうまく調整できるんでしょうけどね〜〜。」

 

位ヶ原山荘だとゴールがわかりにくいですねぇ〜 1時間のパワーを40分で出し切らないと...

「県境だとゴールまでがわかりやすいけど、位ヶ原山荘の手前は同じような九十九折れが続いて、ゴールがわかりにくいんですよ。おまけに、ゴール直前にならないとゴールが見えないのも難点ですね。」

冷泉小屋から位ヶ原山荘までの3kmほどの区間は、左右6つのヘアピンカーブが3往復するパターンであるため、何度もお越しになっている方でも、どのカーブが最後のなのかわかりにくいといえるでしょう。

また、右の選手は、「戦略が全然違って来ちゃいますよ。1時間のパワーを40分で出し切らないからね。」とおっしゃっていました。

 

このあと、7時30分よりレース開始

多少の「番狂わせ」があったものの、開催する方向で進めてくれたことに、大会本部には感謝しなければなりません。このあと、7時30分よりレースが開始されます。Next

 

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