ノリクラ 雪渓カレンダープレリリース版

Vol.2(2014/03/29) C

Top-page > Index > Page:   1  2  3  4

(Update:2014/04/03)

 

【ツアーコースV−位ヶ原急斜面】

ツアーコース − 位ヶ原急斜面

こちらはツアーコース最後の位ヶ原急斜面。これまで樹林帯を切りとおしてコースが作られていましたが、この付近からはオープンバーンとなってきます。

 

昨年の位ヶ原急斜面
2013ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.2(2013/03/30) B

先週の位ヶ原急斜面
リクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.1(2014/03/22) C

今週の位ヶ原急斜面
先週より20センチ減少、昨年より1メートル以上少ない

位ヶ原急斜面の積雪は、先週より20センチ減少して、昨年より1メートル以上少ない状況です。一時期は昨年より2メートルも少ない状況でしたが、昨年との差が少しずつ縮小しています。

 

午後になるとモナカ状態(パック)になって、まともに滑られない

気温はプラス3℃。午後になってバーン表面が少し硬くなり始めます。ただ、日中の緩み方がそれほどでもなかったようで、モナカ状態にならずにすみました。もうすこし日中の緩み方がひどくなって、午後に表面の硬化が厚くなればモナカ状態(パック)となり、まともに滑られる状態ではありません。

今日は多くの方が入山して、午後から一斉に下山滑走されましたので、バーンはゲレンデのごとく無数のシュプールが刻まれて、硬い部分も柔らかい部分も滑りつくされましたので、滑りにくい状況はありませんでした。

 

急斜面になると登行できるルートが異なる(左:シール、右:スノーシュー・わかん)

左のシールの登行トレース。右はスノーシュー・わかんの足跡。以前にもお話したように、急斜面になるとシールは斜めにしか登って行けず、スノーシュー・わかんは直登が最もグリップの効く登り方で、一緒のトレースを登ることは難しいところがあります。先行者のトレースをたどると途中で登れない場合もありますので、状況を良く見て登る必要があります。(さらに斜度が強くなると、スノーシュー・わかんでも直登は困難になりますのでご注意ください。)

 

位ヶ原に出る前に天候をチェックして下さい

晴れていても、遠景の山並みは次第に姿を消し始めます。天候の変化を感じるためには、遠景の山並みがどこまで見通せるかも重要かと思います。
この先は森林限界を超えた位ヶ原に入って行きます。オープンバーンとなって目印が乏しくなるため、濃霧時は下山が困難となります。そのため、位ヶ原に入る前に天候の変化をしっかりと確認する必要があります。

 

【位ヶ原】

位ヶ原

ツアーコースを登りきった先の位ヶ原。標高約2500メートルの台地は森林限界を超えます。先ほど申し上げたように、目印となる木々が極端に乏しくなってきます。

 

気温プラス3℃ − ちょっと肌寒い 2年振りのノリクラ − ブランクを感じさせない足取り

気温はプラス3℃で、おそらく今シーズン始まって以来の高い気温。それでも、空気感はいささかひんやりとした雰囲気があって、アウターを着込む様子があります。こちらのスキーヤーの方は今シーズンは初めてで2年振りのノリクラ。でも、そんなブランクなんて感じさせず、足取り軽く先へ進みます。

 

雲がやや多くなる − 絶えず空をチェックしながら行動

12時を回って、上空の雲がやや多くなってきました。雲の流れ方や厚みや高さを絶えずチェックしながら行動します。

 

昨年の位ヶ原
2013ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.2(2013/03/30) C
先週の位ヶ原
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.1(2014/03/22) C
今週の位ヶ原
先週とほぼ同じで、昨年より20センチ多い積雪量

位ヶ原の積雪量は先週とほぼ同じで、昨年より20センチ多い状況です。奥に見える摩利支天岳の積雪状況を見ても今年の方が積雪量が多いことがわかります。森林限界より低いツアーコースでは、昨年よりも積雪が少ない状況でしたが、森林限界以上は昨年よりも多い箇所が多々見られます。

 

剣ヶ峰方面(左) 摩利支天岳方面(右)

それでは、剣ヶ峰方面(左)と摩利支天岳方面(右)の積雪状況を昨年と比較してみます。

 

昨年の剣ヶ峰方面
2013ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.2(2013/03/30) C
今週の剣ヶ峰方面
ハイマツ帯はまだ見られない − 今年のほうが積雪が多い
昨年の摩利支天岳方面
2013ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.2(2013/03/30) C
今週の摩利支天岳方面
明らかに今年のほうが積雪が多い

上段の剣ヶ峰方面を見ると、昨年はハイマツ帯がうっすらと見え隠れしていて、今年のほうが明らかに積雪が多い様子があります。下段の摩利支天岳方面も同様で、今年のほうが積雪が多いことがわかります。

 

拡大

剣ヶ峰方面 − 蚕玉岳付近を拡大 いくつものシュプールが

今日は剣ヶ峰方面に向かう方々が何人が見られ、蚕玉岳の稜線付近(黒枠部分)からはいくつものシュプールが刻まれました。

 

蚕玉岳から大滑走 稜線付近はアイゼンが必要
全体的にアイスバーンのため滑走注意!

その蚕玉岳から滑り降りてきたこちらの常連の方。「朝日岳の下まではシールでも登ることができました。それより上部はアイゼンが必要で、蚕玉岳からの滑走は稜線直下の100メートルまでは柔らかいものの、それ以下の大部分はアイスバーンでした。」とのこと。

山頂方面から安全に滑走できるようになるにはあと数週間は必要で、4月中下旬からゴールデンウィークごろまで待ったほうが良いでしょう。

 

拡大

摩利支天岳方面を拡大 東斜面(通称:すべり台)も上部はアイゼンが必要

こちらは摩利支天岳方面。東斜面の「通称:すべり台」は何人かのスキーヤー・ボーダーの姿がありました。やはりこちらも上部はアイゼンが必要な状況です。

 

雲間からこぼれる陰影が美しい

青空が広がったり、雲が行き交ったりして、雲間からこぼれる日差しが雪面を流れ行く陰影の様子は、いつ見ても美しいものです。

 

【大雪渓下部】

ここからは大雪渓下部の様子をお伝えします。

 

昨年の大雪渓入口
2013ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.2(2013/03/30) C
先週の大雪渓入口
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.1(2014/03/22) C
今週の大雪渓入口
先週より10センチ増加、昨年より1メートル少ない

こちらは大雪渓入口付近。先週よりも積雪が10センチ程度増加し、昨年より1メートルほど少ない状況です。例年と比べても少ない状況ですが、この付近は4月下旬ごろまでさらに積雪量が増えますので、今後の推移を見守る必要があります。

 

トイレ小屋(冬季閉鎖中) −利用可能は5月下旬以降

大雪渓入口から北側へ50メートルのところにトイレ小屋と避難小屋があります。この時期はどちらの小屋も閉鎖されていて使用できません。利用できるようになるのは、乗鞍岳春山バスが大雪渓まで延長運行される5月下旬〜6月上旬以降です。

 

小休憩 摩利支天岳を滑走してきましたよ

避難小屋付近で休憩されているこちらのボーダーの方。摩利支天岳から大雪渓に滑り降りるこちらの急斜面を滑走されたとのことですが、スノーシューをここにおいてアイゼンで登って行かれたのことでした。また、急斜面の途中ではボードの装着をすることができないため、上端まで登る必要があります。

 

時刻は13時30分。大半の方が下山を開始する中、やって来たこちらの方々。

 

ちょうど1年ぶりの再会

色々お話をお聞きしていくうちに思い出しました。ちょうど1年前、今回と同じように避難小屋でお会いしました。時刻も大体同じようなタイミングで、偶然とはいえ、このような再会はうれしいもの。また、お会いできることを楽しみにしています...

 

<編集後記>

「独断で行動してはいけない...」

先週に引き続き、今回もたくさんの方がツアーコースに入山されました。単独や少人数のグループが大半でしたが、中には10名以上のグループの姿もありました。大人数のグループが一列になって登って行く様子は圧巻ですね!大人数を取りまとめるために複数のガイドさんの方がサポートに入り、それぞれのガイドさんが相互に連絡連携をとりながら登行を進めて行くのは結構大変なことと思います。

大人数になると、それぞれの体力の違いにより、先行するグループと遅れ始めるグループに分かれることがしばしばあります。また、その日の体調が悪かったり、もともと体力的にムリがあって遅れることも、山歩きでよく見られる状況です。

”ムリだったら途中で帰ればいいや〜”
単独行や気の知れた少人数のグループならば問題ないでしょう...しかし、大人数のツアーの場合、各個人がそのような対応をすると、色々問題があるため、実際には難しいところがあるかと思います。

今回はそんなことをふと思い出す光景に出会いました。
途中で登行が困難になり、位ヶ原付近でグループから離れたのですが、離れた付近で待機する(また、位ヶ原急斜面まで下山して待機)とされていたものの、勝手にツアーコースを下山してしまいました。ですから、ガイドさんたちはかなり心配されてようですが、当のご本人はその状況の重大性があまり認識されなかったご様子でした。

今回は天候がよかったので問題なくツアーコースを下山されましたが、これが悪天候で視界不良だったら、下山方向を間違える可能性もあり、ツアーでやってきている場合は独断で行動すると大変な事態になる懸念もありました。

ガイド付きのツアーであっても、各自の行動に責任を持つ必要があり、また、単独行とは異なってグループへの配慮も考えなければならないでしょう。観光ツアーでもそれは同様ですが、登山の場合は重大な問題を引き起こす懸念があり、ツアー開催時にはそのような注意喚起が必要な場合もあるかもしれませんね。

 

Copyright (C)   乗鞍大雪渓WebSite

Top ||   <<Back  1  2  3  4  -  Next-Page (Prerelease Vol.3) >>