ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.5(2014/06/07〜08) @

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(Update:2014/06/12)

 

先週末のさわやかな快晴の二日間から一変して、6月4日(水)に東海地方が梅雨入りし、6月5日(木)は関東甲信地方が梅雨入りしました。このため、東海地方の岐阜県と関東甲信地方の長野県の両県にまたがるノリクラは、これで完全に梅雨に入ったことになります。もし、梅雨明けが例年並みであれば、これから約1月半はぐずついた日々を送らなければなりません。

6月7日(土)は長野県側の乗鞍高原から大雪渓の様子をお伝えします。
終始濃霧で時折小雨の降る天候でした。長野県側の乗鞍岳春山バスや岐阜県側の乗鞍スカイラインシャトルバスは、運行上問題となるほどの天候ではなく、通常通り運行されました。10時ごろになると雨はほとんど収まり、時折薄日のさす状況になりますが、ほぼ無風の中では蒸し暑さを覚えるほど。天候が芳しくないこともあって、今日は訪れる方も少なく、肩の小屋周辺では、雷鳥が行き交う様子あちこちで見られ、人の数より雷鳥のほうが多い状況でした。夕方になって、ようやく濃霧が抜けると、唐松模様が織り成す位ヶ原がはっきりと一望できるようになり、その上空には重厚な雲海が横たわる絶景が広がります。芳しくない天候が続いた一日ですが、最後になって見せてくれたこの絶景が、今日一日のご褒美のように感じられました。

6月8日(日)は岐阜県側のほおのき平から畳平とその周辺、そして、大雪渓方面の様子をお伝えします。
曇り空の朝を迎えます。しかし、7時頃から小雨が降り出し生憎の状況となります。しかし、乗鞍スカイラインを登って森林限界を過ぎたあたりから青空が広がり始めます。そして、畳平から先の大雪渓・山頂方面では、山麓から沸きあがる雲が周期的に流れる様子見られ、のんびりした雰囲気をつくってます。しかし、お昼に近づくと雲が低く垂れ込めるようになり、次第に小雨が降り出す状況。そのため、乗鞍岳春山バスでお越しになった方の大半は、13時24分の下り便で下山され、午後の大雪渓は人影の全くない静かな状況となりました。さらに14時過ぎからは雨の降り方がひどくなり、それと同時に、雷鳥が元気に飛び回る様子があちこちで見られました。

 


■ご注意■

今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)

 

◎ 今回の目次

Page-1 : 【6月7日(土)、観光センター前駐車場】       【乗鞍岳春山バス、大雪渓へ】
Page-2 : 【春山バス、大雪渓に到着】       【大雪渓下部】
Page-3 : 【6月8日(日)、ほおのき平駐車場】       【乗鞍スカイラインを行く】
Page-4 : 【畳平に到着、畳平周辺】       【肩の小屋へ】       【肩の小屋】
Page-5 : 【稜線へ】       【稜線】       【剣ヶ峰〜蚕玉岳】       【昨年の今ごろは?】       <編集後記>

 
●参考資料●
(乗鞍岳春山バス) − 2014シーズン 乗鞍岳春山バス(乗鞍高原〜位ヶ原山荘・大雪渓)の運行について
(ツアーコース概要) − ノリクラガイドマップ(冬〜春スキー版)
(位ヶ原・大雪渓・山頂方面 概要) − ノリクラガイドマップ(春〜夏スキー山頂版)
(大雪渓〜位ヶ原山荘) − 大雪渓から位ヶ原山荘への下山滑走ルート(滑走可能時期:6月中旬まで)   (Page-2)

 

【6月7日(土)、観光センター前駐車場】

観光センター前駐車場

早朝6時の観光センター前駐車場。ご覧の通り、曇り空の朝を迎えます。気温は12℃、寒くも暑くもない程よい気候です。

 

山肌にかかる雲行きに風情を感じる

残念ながら、山頂方面は雲に飲み込まれて、その姿は全く見えませんが、周辺の山肌にかかる雲行きはなかなか風情があってよいもの...そして、新緑の美しさが目に優しく映ります。

 

レンゲツツジ − 6月の乗鞍高原を代表する花

こちらは観光センター駐車場隣にある自然保護センター。先週はつぼみだったレンゲツツジが、どんよりとした曇り空の中でも、眩しいほどの色彩を放っています。6月の乗鞍高原の花といえば、レンゲツツジといっても過言ではないでしょう。

 

道端の山野草を見つける
今の季節が一番!はっきりした季節は色気がない...
アマドコロ

そんな中、道端でカメラを構える方がいらっしゃいます。良く見ると葉の下に一列にいっぱい花が咲いています。こちらはアマドコロ(甘野老、ユリ科アマドコロ属)。よく似た山野草にナルコユリが有名で、どちらも区別が難しいところ。アマドコロは茎が角ばっていて、ナルコユリは丸いのが一般的に言われる見分け方で、そのほか花と花茎との接点の突起の有無、葉の幅広さなどで見分けるようです。

でも、そんなことはさておいて、クルマで走り去ると全く気付かないこんなものにも、目を向けることが何もない自然の中での楽しみで、カメラを構えるこちらの方も、「今の季節が一番いいですね。冬とか夏とかはっきりした季節は色気がない...」と、おっしゃっていました。

 

一の瀬園地

さて、話が変わって、観光センターの交差点から2kmほど南進したところにある一の瀬園地。

 

一の瀬園地のレンゲツツジはまだつぼみ

乗鞍高原の中でも、こちらのレンゲツツジが一番有名。しかし、観光センターでは満開だったもののこちらはではまだつぼみの状態。おそらく、次週末には綺麗に咲いてくれているはずです。昨年より1週間遅い状況です。

 

観光センターバス停にテント設置

再び観光センターに戻り、先週から春山バス停留所にテントが設置されました。これからの梅雨の時期には大変ありがたいところです。

 

天候が悪く、行こうか迷う 今日は位ヶ原山荘に宿泊

7時過ぎには再び雨が降り始めたため、テントでバスを待つ方も、春山バスに乗って大雪渓に行こうかどうか思案します。そして、右の画像の方々は、今日は位ヶ原山荘に宿泊される予定とのこと。

「今日は山荘に泊まることが目的。ですから、『スキーが4割、山荘での楽しみが6割』 っていうところですね。ですから、天気がダメでも出発する予定です。」 メンバーの中には、「スキーなんて置いていくつもりだけど...」なんて、言い出す方もいて笑いを誘っていました。

どんな天候でも、その時々の状況に応じて楽しめることが一番ですね。

 

乗鞍岳春山バス始発便到着

そして、定刻前に始発便が到着し、今日は23名が観光センターから乗車されました。

 

【乗鞍岳春山バス、大雪渓へ】

新緑の中にブラシ状の花 ウワミズザクラ

それでは大雪渓に向かうまでの沿道の様子をご覧ください。観光センターを出発して休暇村付近に差し掛かると、ブラシ状の白い花をつけた大きな木があちこちで見られます。ウワミズザクラ(上溝桜、バラ科ウワズミザクラ属 )。漢字名の通り、ウワミゾザクラから転化したもので、木材の加工様式から呼ばれているようです。

これからの時期は、コナシなど白い花がたくさん見られますので楽しみですね。

 

三本滝レストハウス − 今日は人影がない 三本滝ゲート − この先冬季閉鎖中

こちらは観光センターから7km先の三本滝レストハウス前駐車場。いつもなら、スキーヤー・ボーダーの方々のクルマがたくさんお越しになるものの今日は皆無。そのため、こちらから始発便に乗車された方はいらっしゃいませんでした。この先の三本滝バス停前のゲートは冬季閉鎖中で、春山バスなど特定の車両のみの通行となっています。

 

ムラサキヤシオツツジ

新緑が勢力を増す中、その輝きに負けないようにビビッドな色彩を放つムラサキヤシオツツジ。まだ、三本滝ゲート付近しか咲いていませんが、今後、荒田沢橋などさらに上部でも見られるようになってきます。おそらく、6月22日(日)に開催される乗鞍天空マラソンの頃には、沿道の各所で見頃を迎えるのではないでしょうか?

 

ダケカンバの新緑 沿道の雪解け

さらに進んで、標高2000メートル付近までやってくると、ダケカンバの新緑が始めたばかりの状態。そして、沿道の雪解けが終わった箇所では...

 

雪解けが進んだところから芽吹き(左:コバイケイソウ、右:ショウジョウバカマ)

コバイケイソウの新芽やショウジョウバカマが見られるようになって来ました。どちらかというと山野草というよりも高山植物に属する植物で、この地点はすでにその標高に差し掛かってきている証拠です。

 

冷泉小屋 濃霧が立ち込める

さらに進んで、標高2200メートルの冷泉小屋付近までやってくると、ご覧のように濃霧が立ち込めるようになって来ました。沿道の積雪もしっかりと残っている状況が見られます。

 

位ヶ原山荘 − この先、森林限界

こちらは標高2350メートルの位ヶ原山荘。5月27日(水)までは春山バスの終点でしたが、大雪渓方面の除雪が完了して、現在は大雪渓・肩の小屋口まで春山バスは運行されています。しかし、スキーヤー・ボーダーの方々の中には、山頂方面から大雪渓まで春スキーを楽しんだ後、さらに大雪渓から位ヶ原山荘まで滑りこんで、帰りは位ヶ原山荘から春山バスに乗車される方も多いようです。

大雪渓から位ヶ原山荘までの滑走は、例年、6月中旬頃まで可能です。
大雪渓から位ヶ原山荘への下山ルートは、次のページ でお伝えしますが、初めての方は経験者と同伴の下でお願いします。また、視界不良の場合は、ルートを間違える危険性があるため、下山滑走せずに大雪渓から春山バス下り便をご利用ください。

 

濃霧でホワイトアウト

位ヶ原山荘より先は、森林限界を超えるため、周囲の木々が少なくなり、晴れた日はロケーションが広がる見事な光景です。しかし、今日のように天候が悪いと、周囲の木々がないために、完全にホワイトアウト状態となってしまいます。除雪が完了して道路のアスファルトが確認できますので、方向を見失うことはありませんが、これが完全な雪原の上では、確実に方向を見失ってしまいます。

 

5号カーブの雪の壁 − 大雪渓→位ヶ原山荘滑走時に注意

こちらは宝徳霊神の5号カーブ。大雪渓から位ヶ原山荘に下山滑走する時、この上部から右方向へ方角を変更しますが、そのまま直進するとこのカーブに出てきます。ご覧のように高さ数メートルありますので、今日のような濃霧の場合には、道路への転落の危険がありますのでご注意ください。(大雪渓から位ヶ原山荘への下山ルートは、次のページ を参照ください。)

 

高い壁に覆われる スプーンカット

5号カーブから先は、周囲を高い雪の壁に覆われるようになってきます。そして、壁の表面を見ると、先週はなかった凹凸が発生しています。これはスプーンカットと呼ばれ、表面からの水分の蒸散などによって発生するといわれています。この現象が見られるようになると、夏が近づいている証拠です。

 

最も雪の壁が高い4号カーブ

大雪渓手前にある4号カーブ(通称:大カーブ)が、最も雪壁が高いところ。

 

現在、高さは8.8メートル − 昨年よりも高い

現在の高さは、8.8メートル。昨年の7.5メートルよりもやや高い状態です。それでは、この先が終点の大雪渓・肩の小屋口バス停です。

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■ご注意■

今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)

 

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