ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.7(2014/06/20〜21) D

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(Update:2014/06/26)

 

【春山バス、大雪渓に到着】

大雪渓・肩の小屋口バス停 −気温8℃、必ず防寒着を

春山バス始発便が到着した8時の気温は8℃。少し肌寒さを感じる状況です。バスを降りた方々がアウターを羽織る様子も見られました。バスに乗車するときに暑さを感じる状況であっても、防寒着は必ず持参してください。

 

これから出発 今週で終了...(左の方)、あともう1週間!(右の方)

今日の始発便は、山頂方面を目指す春スキーヤーと、コブなどを滑る夏スキーヤーがほぼ同じくらいの人数で、春スキーヤーが徐々に少なくなってきました。そんな中、青のウェアの冬の常連の方は「今日でシーズン終了です。午後から観光センターに戻って、天空マラソンの受付に行きます。」とのこと...第2回大会から連続出場で、スキーシーズンが終わっても、ノリクラには多分何度もお越しになることと思っています。

「6月いっぱいまではまだスキーシーズンですから...」と、おっしゃる右の常連は、おそらく、毎年ノリクラには半年以上は通い続けていらっしゃると思います。ですから、来週まではお会いできることと思います...

 

シールで登る春スキーヤーと、スコップでコブを掘る夏スキーヤー

春スキーヤーがシールで山頂方面を目指す隣では、コブの管理にスコップを振るう様子があって、こんなハイブリッドな光景はこの時期しか見られないものでしょう...

 

測量したようにきれいにまっすぐコブを掘る

場所によって、フォールラインの方向が微妙に異なりますが、どのラインも測量したかのように、綺麗にまっすぐコブができています。職人技といってよいでしょう。

 

スプーンカットより整備されたコブのほうが滑りやすい

夏場が近づくと、バーン表面が荒れて来ますが、コブの中はたえず整備されているため、スキーヤーの中には雪渓のスプーンカットの中を滑るよりも滑走しやすいとおっしゃる方もいるほど。今日もたくさんの方がモーグルコースを何本も滑る様子が見られました。

 

【大雪渓下部】

ここからは大雪渓下部の様子をお伝えします。

 

先週の大雪渓入口
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2014/06/14〜15) A
今週の大雪渓入口
この1週間はあまり雪解けが進んでいない

いつもお伝えしている大雪渓入口の前川国有林の看板付近も、先週からあまり雪解けが進んでいない様子が見られます。

 

もっとも積雪量の多い時期の大雪渓入口(今年4月上旬)
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.3(2014/04/05) C

こちらは積雪量が最も多かった頃の前川国有林の看板で、雪解けが終了しt現在から見ると、この頃は2メートル近く積雪があったことが見込まれます。

 

先週の大雪渓入口
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2014/06/14〜15) A
今週の大雪渓入口
あまり雪解けが進んでいない

正面から見るとあまり雪解けが進んでいないように感じられます。

 

先週の大雪渓入口
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2014/06/14〜15) A
今週の大雪渓入口
別の角度では50センチの雪解け

ただ、それは看板付近だけで、右の画像手前部分は高さでえ50センチ程度の雪解けが見られます。

 

昨年の大雪渓入口
2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.7(2013/06/21〜22) E
先週の大雪渓入口
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2014/06/14〜15) A
今週の大雪渓入口
昨年より1週間早い雪解け

入口付近をさらに別の角度で見ると、今週になって排水溝の見える程度まで雪解けが進んでいます。また、上段2枚がほぼ同じ積雪量となっていて、このことから、昨年より1週間早い雪解けであることがわかります。

 

昨年のトイレ付近
2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.7(2013/06/21〜22) E
今週のトイレ付近
昨年より多い積雪量

車道をはさんだ反対側のトイレ付近では、先週までは昨年と同じ積雪量でしたが、今週は昨年よりも多い様子が見られます。また、位ヶ原山荘への下山滑走は、この付近からスタートします。

 

【大雪渓から位ヶ原山荘への下山滑走ルート(滑走しないことを推奨−大雪渓から春山バス乗車を!)】

大雪渓トイレ付近 − 途中で積雪がなく滑走不能(赤丸)
位ヶ原山荘付近(屋根板下部)
積雪減少で踏み抜く危険性が − 下山滑走しないほうが無難

しかし、ご覧のように途中で雪解けが進んで滑り降りることが不可能となっています。さらに、位ヶ原山荘付近(屋根板下部)では、雪渓の下を雪解け水が流れるようになって、踏み抜く危険性が高くなっています。そのため、お帰りの際は、位ヶ原山荘への下山滑走はされず、大雪渓・肩の小屋口バス停から乗鞍岳春山バス下り便に乗車して下さい。

 

昨年の登山道入口
2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.7(2013/06/21〜22) E
今週の登山道入口
標識が姿をあらわす

大雪渓入口から北へ50メートルほどの所に肩の小屋への登山道入口があります。今週に入って登山道をあらわす標識が姿をあらわすようになって来ました。昨年と比べると、ほぼ同じかやや遅い雪解けです。

 

肩の小屋まで誘導ロープが敷設 最初の大岩(モーグルコースの岩)の左側へ進んで下さい
<右側に行くと、岩場で進路を阻まれる>

登山道は肩の小屋まで続いていますが、完全に雪に閉ざされています。【肩の小屋】のコーナーでもお伝えしたように、グリーン・サポート・スタッフによる誘導ロープが肩の小屋まで敷設されましたので、その案内に沿って肩の小屋方面に進んで下さい。

ロープは右の画像のように、最初の大岩(モーグルコースの岩)の左側を進んでいますが、誤って右側に進むと、岩場で進路を阻まれてしまいますのでご注意ください。

 

大雪渓下部全景 −モーグルコースの岩と石碑の岩

こちらは大雪渓下部の全景ですが、赤丸部分にそれぞれ岩が見られると思います。
岩場がゴツゴツとしている大雪渓も、厳冬期以降はすべてのものが雪に閉ざされてしまいます。春になって雪解けが進んで最初に姿をあらわすのが、画像の中の左上に写る大きい楕円部分がモーグルコースの岩です。ですから、モーグルコースの岩は、大雪渓の積雪量・雪解け状況を最も早く観測できるバロメーターとなります。7月になるとこの付近にモーグルコースが作成され、多くのスキーヤーが集まることから、モーグルコースの岩と呼称させていただいております。

 

昨年のモーグルコースの岩
2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.7(2013/06/21〜22) E
先週のモーグルコースの岩
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2014/06/14〜15) A
今週のモーグルコースの岩
先週より50センチ減少、昨年より1週間早い雪解け

モーグルコースの岩は、例年3月ぐらいまではまだ姿が見られ、その後の降雪で完全に埋まります。そして、、再び姿が見られるのは5月中旬ごろです。しかし、今年は一度も埋まることがありませんでした。積雪量は先週と比べると50センチ程度減少して、昨年より1メートルほど少なく、1週間早い雪解けを見せています。

 

昨年の石碑の岩
2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.7(2013/06/21〜22) E
先週の石碑の岩
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2014/06/14〜15) A
今週の石碑の岩
昨年より1〜2週間早く例年並みの雪解け

そして、モーグルコースの岩から南へ約100mほどのところに、大雪渓で二番目に姿をあらわす岩があります。先週より50センチほど雪解けが進み、昨年より1〜2週間早い雪解けで、例年より雪解けが遅い状況です。

 

モーグルコース

さて、コブの整備が終わったモーグルコースでは、モーグラーの方々が順番にスタートします。コース上に複数の滑走者いると危険があるため、前走者がコースを離れたことを確認してから、滑走するようお願いいたします。

 

ハイクアップはやっぱりつらい 「今日もヒルクライム&モーグルですよ」

結構辛そうに登る様子もある中、「先週に引き続き、今日も自転車でやってきました。やっぱり2週連続はかなりキツイものがありますね...」と、おっしゃりながらもその笑顔からはそれほど辛そうには拝見できず、いつものように果敢に攻める様子を見せてくださいました。

 

長さ 127メートル×32コブ(ピッチ:4メートル)

モーグルコースは2本作成されていて、こちらのラインは127メートル×32コブ(ピッチ:4メートル)

 

モーグルコースには夏のノリクラが始まる

「明日は天空マラソンのため、春山バスが運休するから、今日は目いっぱい滑ります。」と、おっしゃる方もいて、午後から少し雨に見舞われてしまいましたが、すでに夏の賑わいが雪渓下部には見られました。

 

【昨年の今ごろは?】

2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.7(2013/06/21〜22)

今回は6月23日(日)に第8回乗鞍天空マラソンが開催された都合から、取材を一日前倒しして、6月21日(金)〜22日(土)に実施しました。台風4号の接近に伴う梅雨前線の活発化で、週の半ばには大雨となりましたが、週の終りには前線が南下してそれほどの降り方でもなく、何とか耐えることのできた二日間でした。

取材一日目の6月21日(金)は、雲間に朝日がのぞく状態から始まったものの、10時30分頃から冷たい雨が降り始めます。周期的に霧が立ち込める状況ですが、見通しがはっきりしている時間帯のほうが長い状態でした。ただ、冷たい空気に終日包まれて、指先が悴むほどの状況で、とても6月下旬とは思えない気候です。降る雨が雪や霙にならなかったことだけが幸いかと思います。

取材二日目の6月22日(土)は、朝一番は曇り空でしたが7時過ぎから小雨。春山バス始発便が到着した8時過ぎの大雪渓付近は、小雨に加えて濃霧で周囲が全く確認できないほどの天候となりました。10時頃から雨の降り方はやや強くなり、この時期は天気予報が当たりにくい時期でもあり、晴マークが並んだ天気予報とは裏腹の状況。12時前後に雨の降り方が激しくなって山頂付近の霧が抜けて行きますが、その後もぐずついた天候が続きました。
午後から第8回乗鞍天空マラソンの大会会場の観光センターへ向かいました。乗鞍高原でも雨降りが続いていましたが、14時30分頃からきれいな青空が広がって、明日の大会を保障してくれるかのような状況となりました。

 

<編集後記>

「夏山シーズンを控えて、今後の乗鞍岳積雪情報の予測...」

そろそろ夏山シーズンが近づいてきました。上記のようなタイトルを聞くと、ノリクラにお越しの方々のそれぞれの目的で、イメージされる情報が異なるものかと思いますので、二つに分けて今後の予想も含めながらお伝えします。ただし、今後の天候によって、状況が大きく変わってくる可能性がありますので、毎週お伝えする速報とノリクラ雪渓カレンダーを随時ご覧ください。

● 乗鞍岳(剣ヶ峰)への山頂登山をされる方。
<岐阜県側の畳平から登る場合>
7月上旬までは肩の小屋から稜線に出るまで区間で、稜線直下の箇所で100〜200メートルくらい残っているかと思います。ただ、今年は例年より積雪量が多いため、いつもより距離が長く、また、遅くまで残っている可能性があります。なお、稜線に登ってから剣ヶ峰方面へは、積雪はほとんど残っていない状態です。
<長野県側(大雪渓・肩の小屋口バス停の大雪渓登山口)から登る場合>
先ほどの稜線直下に加えて、大雪渓登山口から100メートルくらいまでの区間で、例年7月下旬から8月上旬頃まで積雪が残ります。先ほどの稜線直下は登山者が多く、踏み跡がしっかりできますが、こちらはやや斜度が急で、バーンが固めの日も多く、踏み跡もしっかりとしていないため、場合によっては7月中はアイゼンが必要な時があります。積雪量は例年よりやや多めですから、稜線直下と同様に、例年7月下旬〜8月上旬の雪解けが、若干遅くなる可能性が考えられます。

● 大雪渓で夏スキーを楽しむ方。
車道沿いの雪渓下部は、昨年より1週間程度雪解けが早い状況ですが例年より多いため、雪渓下部での滑走は7月下旬〜8月上旬頃までは可能かと思います。雪渓上部については、現時点では判断できないものの、肩の小屋付近では昨年よりも積雪量の多い状態が見られるため、雪渓上部も若干多いと思われます。そのため、雪渓下部の積雪がなくなり雪渓上部に移動することをためらわなければ、比較的長いシーズンが過ごせそうです。

目的とする行動によって、できるだけ残雪が少ないほうがよいと思う方と、できるだけ残っていて欲しいと思う方など、さまざまです。いずれにしても、これから迎えるノリクラの夏山を安全に楽しんでいただきたいものです。

 

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