ノリクラ 雪渓カレンダー
 
Vol.7(2013/06/21〜22) E

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(Update:2013/06/27)

  

【大雪渓下部 T】

ここからは大雪渓下部の様子をお伝えします。

 

先週の大雪渓入口
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2013/06/15〜16) B
今週の大雪渓入口
先週からの大きな変化はない

 入口左側は先週と比べると、積雪量に大きな変化はみられないように感じます。

 

昨年の大雪渓入口
2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.7(2012/06/22〜23) B
先週の大雪渓入口
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2013/06/15〜16) B
今週の大雪渓入口
先週より1メートル近く雪解け

こちらは入口正面部分。右側に「高山植物等の採取は禁止されています」のお願いの記載された看板がありますが、その看板の高さを見ると、先週から1メートル近く雪解けが進んでいることがわかります。

また、昨年と比べるとあまり違いがなさそうに感じますが、看板の裏側からの様子を次の画像で確認してください。

 

昨年の大雪渓入口
2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.7(2012/06/22〜23) B
今週の大雪渓入口
昨年より1週間遅い雪解け

こちらが裏側からの様子。比較すると昨年より1週間雪解けが遅い状況です。稜線付近などでは雪解けの早い状況ばかりでしたが、大雪渓下部、特に入口付近に関しては昨年よりも積雪量の多い傾向が続いています。

 

昨年の大雪渓入口
2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.7(2012/06/22〜23) B
先週の大雪渓入口
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2013/06/15〜16) B
今週の大雪渓入口

入口付近をさらに別の角度で見ると、先週よりも70センチ〜1メートル近く雪解けが進んで、これまでよりもやや雪解けペースが早くなってきた傾向が見られます。昨年との差は先週と同じく、1週間ほど遅い雪解け状況です。

 

トイレ付近

そして、車道をはさんだ反対側のトイレ付近では...

 

昨年のトイレ付近
2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.7(2012/06/22〜23) B
先週のトイレ付近
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2013/06/15〜16) B
今週のトイレ付近
昨年より1週間早い雪解け

昨年より1週間近く早い雪解け状況となっています。先ほどの大雪渓入口付近では昨年より積雪量の多い状況でしたが、こちら側では逆の状況となっています。

 

昨年の登山道入口
2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.7(2012/06/22〜23) B
先週の登山道入口
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2013/06/15〜16) B
今週の登山道入口
昨年とほぼ同じ積雪量

大雪渓入口から北へ50メートルほどの所に肩の小屋への登山道入口があります。登山道をあらわす看板が支柱の足元まで見えるまで雪解けが進んでいます。しかし、周辺のハイマツ帯の大きさなどを見ると、昨年と積雪量に大きな違いはないと判断されます。

 

大雪渓下部全景 モーグルコースの岩(青丸部分)

大雪渓エリアで最も早く頭を出すモーグルコースの岩。左画像の青丸部分です。赤丸部分は二番目に頭を出す石碑の岩で、今週になって姿をあらわしました。石碑の岩はこの後、お伝えします。

 

昨年のモーグルコースの岩
2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.7(2012/06/22〜23) B
先週のモーグルコースの岩
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2013/06/15〜16) B
今週のモーグルコースの岩
昨年より1週間以上遅い雪解け

7月になるとこの付近にモーグルコースが作成され、多くのスキーヤーが集まることから、モーグルコースの岩と呼称させていただいております。先週は1メートル近く雪解けが進みましたが、今週は50センチ程度にとどまっています。そのため、先週の段階では昨年よりやや遅い雪解け状況でしたが、今週は昨年より1週間以上遅い状況となっています。

大雪渓入口のところでも申し上げたように、稜線付近など各所で昨年よりも雪解けが早い状況が見られる中、雪渓下部エリアは、昨年よりも雪解けが遅い状況が続いています。

 

雪渓下端まで148メートル

モーグルコースの岩から雪渓下端までの距離は先週の158メートルから148メートルへ。しかし、まだまだ十分な滑走距離を確保することが可能です。

 

黄色
斜線部分

全景画像 摩利支天岳からの斜面

モーグルコースの岩の北側の斜面、摩利支天岳の急斜面です。全景画像の黄色の斜線部分で、右の画像は実際には斜線部分よりもさらに右側(北側)です。

 

摩利支天岳からの斜面 − 無数のクラック
(黄色斜線部分)

ご覧のように無数のクラックは今週になって発生しています。現時点ではそれほど大きなものではありませんので、登行も滑走も問題となる状況ではありません。しかし、これだけ広範囲にわたって無数のクラックが発生することは近年になく、今後の推移に注意が必要です。

 

昨年の石碑の岩
2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.7(2012/06/22〜23) B
今週の石碑の岩 − ようやく姿をあらわす
 昨年より1週間以上遅い雪解けで過去最遅

そして、モーグルコースの岩から南へ約100mほどのところに、大雪渓で二番目に姿をあらわす岩があります。今週になってようやく姿をあらわし始めました。2007年以降の過去6年間を見ても、どの年も雪面は石碑に埋め込まれている銘版より下部にあり、これまで最も雪解けが遅かった昨年よりも1週間以上遅い雪解けとなっています。

 

雪渓下部を横断するクラック − 今後の推移に注意!

この石碑の岩からモーグルコースの岩方面に向かって、雪渓下部を横断するようにクラックが今週になって発生しています。毎年ではありませんが、この付近はこれからの時期、頻繁にクラックが生じ、年のよっては幅が1メートル以上に及ぶこともあります。今後の推移に注意が必要です。

 

【大雪渓下部 U、モーグルコース】

モーグルコース

さて、こちらは雪渓下部に作られたモーグルコース。

 

朝一番はみんなでコース整備

まずは皆さんでコース整備。雪解けで浅くなったコブを各自持参のスコップで掘り直します。通常、ゲレンデ内ではマーカーなどを置いて、それを目印に同じ箇所を何度も滑ることでコブを成長させて行きますが、ここではフラットな状態からスコップで作成するスタイルが多く取られます。

6月下旬ともなると、降雨などの影響でバーン表面に細かなギャップができ、硬くなってくるため、滑り重ねるだけではなかなかコブが成長せず、また、均質なピッチ・大きさのコブができにくいためです。

 

整備を終えてようやく滑走開始。

 

滑走は一人ずつ順番に

滑走順番などは特に決まっていませんが、絶対に注意しなければならない点は、先発者が滑り終えて、レーンを抜けたことを確認してからスタートすることです。(コース内での衝突を避けるため。)

 

でも、メンバー揃ってのこんなシーンも...

 

ビニール紐で板を背負う

できるだけラクに登ろうと色々工夫されていますね。
バックカントリースキーでは、シールで登らない場合はスキー板をザックに固定して登ります。ただ、夏スキーの場合は、スキーのトレーニングを目的としていますので、ザックを背負っての滑走は体を動かしにくい違和感があります。

ですから、滑走時に荷物にならない用具で背負うため、今回はビニール紐で背負っていますが、肩に食い込んで痛いとのこと...登山用品のテープスリングなどを活用されてはいかがでしょうか...

 

テレマーク

今日もアルペンスキーやよりもテレマークの方のほうが多いくらいの状況。通常のゲレンデのコブバーンとは正反対と言ってよいでしょうか?

 

濃霧の中でもがんばります...

よく見るとモーグル用のスキー板にテレマークビンディングを装着されている様子が...テレマークというスキーに対して、バックカントリーを基調とした優雅な滑りだけを既成概念として持っているとすれば、ちょっと、オドロキのシーンばかりかもしれません。

 

【昨年の今ごろは?】

2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.7(2012/06/22〜23)

取材一日目の6月22日(金)は、昨晩の大雨が早朝までに収まり、若干小雨の残る朝を迎えます。乗鞍スカイラインでは降り始めからの雨量が60mmを超え、今後も雨が降り続く状況なら、通行見合わせとなるほどでしたが、通常通り7時に開門されました。しかし、上部の畳平は天候の回復が遅れて、濃霧が続いています。畳平の濃霧が抜け始めるのが10時過ぎてから、そして、しっかりとした天候の回復を感じさせるのはお昼頃で、夕方には綺麗な青空に恵まれ、夏至を迎えたノリクラでは日が傾きだしても、時間が止まったかのように、いつまでもきらびやかな斜光に包まれた夕刻が続きました。

取材二日目の6月23日(土)は、少しばかり青空に薄いベールのかかる朝を迎えます。観光センター前駐車場や三本滝レストハウス前駐車場は天空マラソン開催のため、一部利用制限が行われていることもあって、観光センター前駐車場は早朝から満車に近い状態。今シーズン最後の春スキーにお越しになった方々も多く、今日の乗鞍岳春山バス始発便は3台運行され、大雪渓に向かいます。春山バスの車窓からは、雲海に浮かぶ南アルプスや穂高の山並みが映え、薄曇の天候ながらもなかなかの眺望を楽しむことができます。そして、到着した大雪渓・肩の小屋口バス停から見る山頂方面は、この一週間で激しく雪解けし、訪れたスキーヤー・ボーダーも驚きの様子を見せていました。また、次の週末から営業を再開する肩の小屋では、スタッフが泊り込みで小屋開けの準備を行っていました。

6月24日(日)は、晴〜雲の天候でしたが、穂高の山並みがくっきりと眺められるまずまずの状況の中で、第7回乗鞍天空マラソンが開催されました。昨年よりも200名ほど多い1978名のエントリー数となりました。

 

<編集後記>

「6月だからこそ...」
6月も終盤に差し掛かってきました。県道乗鞍岳線(エコーライン)が開通する前で、長野県側はシャトルバスがまだ運行されていませんから、本格的な観光シーズンを目前に控えた時期です。7月になれば、畳平のお花畑を代表するように高山植物の季節を迎えます。春でもなく夏でもない5月中旬から6月は、観光シーズンの狭間のように見えますが、この時期しかないものがノリクラにはたくさんあります。

ノリクラ雪渓カレンダーでは、何度もご紹介していますので、ご愛読下さっている方は、ご理解いただいているかと思いますが、新緑の美しさはこの時期しか絶対に味わうことができません。

特に春山バスの車窓からの新緑の移り変わりは、残雪の中から木々が芽吹く様子は自然の力強さそのもの...

夏山シーズンになって乗鞍岳主峰の剣ヶ峰山頂への登山が盛んになると、広大なロケージョンが広がる非日常の光景に囲まれますが、それとは全く異なる趣です。緑も刻一刻と色合いが濃くなって、また、さらに輝きを増して、青空の明るさにも負けないほどの力強く変化して行く様子は、何度も通わないと実感できないものかと思います。

でも、そのような微妙な変化に気付くことこそ、足を伸ばして出向く遠方の自然にも、そして、足元にある身近な自然に対しても、新たな発見を見出すための大切な「心のルーペ」なんです。


■ご注意■

今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)

 

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