ノリクラ 雪渓カレンダー
 
Vol.8(2013/06/29〜30) @

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(Update:2013/07/04)

 

6月最後のノリクラ雪渓カレンダーをお届けします。

今月のノリクラ雪渓カレンダーの画像を振り返って見てみると、雨降りの画像がほとんどありません。今年の梅雨入りは例年よりも11日も早く、6月中旬から下旬にまとまった雨降りがありましたが、6月を通してみると空梅雨だったといっても良いでしょう。そんな傾向に反することなく、今回もまずまずの天候の二日間でした。

取材一日目の6月29日(土)は、ほぼ快晴に近い朝を迎えます。強い日差しが差し込んできて、山麓からモクモクと雲が沸きあがるようになってきます。特に長野県側はその傾向がひどく、完全に視界が遮られるタイミングもあるほど。雲の動きはダイナミックで、山麓から雲の沸きあがりと稜線を超えて下降して行く流れが入り乱れ、大雪渓の上空で交互しています。天気予報では午後から雨となっていましたが、正午を回ってもその気配はなく、むしろ午前中より視界がよい状態が続きました。しかし、15時からポツリポツリと降り始め、16時の畳平は夕立のような降り方を見せ、早朝の快晴→山麓から沸きあがる雲→夕方のスコール と、まさに夏山特有の天候を見せてくれました。

取材二日目の6月30日(日)は、やや低めに垂れ込める曇り空の朝を迎えます。今日は乗鞍岳春山バスの運行最終日。いつもの週末と変わらず、スキーヤー・ボーダーを乗せて始発便が出発します。乗鞍高原に低く垂れ込めていた雲の上に到着して、大雪渓は雲海の上の青空が広がります。しかし、山麓から絶えず雲が沸きあがり、10時前から視界が奪われるひどい濃霧。しかし、その濃霧がひんやりとした空気を運んで暑さをまったく感じさせません。午後になると、山麓からの雲の流れ込みはなくなり、視界が回復しました。昨日のような夕立もなく、過ごしやすい一日をおくることができました。

大雪渓・稜線付近の積雪量は、稜線付近は昨年・例年より少なく、1〜2週間程度雪解けが早い状態ですが、大雪渓は昨年並みか昨年よりも多い状態が見られます。稜線付近の登山道には積雪が残っていて、7月上旬〜中旬頃まではアイゼンが必要です。また、長野県側のシャトルバスは当面の間、大雪渓・肩の小屋口までの運行で、バスを降りてから肩の小屋までの登山道は全面積雪があるため、やはりアイゼンが必要です。


■ご注意■

今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)

 

◎ 今回の目次

Page-1 : 【6月29日(土)、ほおのき平駐車場】       【乗鞍スカイライン】
Page-2 : 【畳平に到着、畳平周辺】       【肩の小屋へ】       【肩の小屋、本日より営業開始】
Page-3 : 【山頂までの登山道 T(肩の小屋〜稜線手前)】       【山頂までの登山道 U(稜線直下)】       【山頂までの登山道 V(蚕玉岳・頂上小屋)】
Page-4 : 【6月22日(土)、観光センター前駐車場】       【乗鞍岳春山バス、大雪渓へ】
Page-5 : 【大雪渓に到着】       【大雪渓下部 T】
Page-6 : 【大雪渓下部 U、モーグルコース】       【大雪渓上部】
Page-7 : 【畳平、お花畑】       【昨年の今ごろは?】       <編集後記>「7月の登山道、軽アイゼン、無意識の負のバイアス」

【剣ヶ峰・蚕玉岳・朝日岳方面の稜線積雪状況− 登山道の積雪状況(6月30日現在)】   (Page-3)
【大雪渓から肩の小屋への登山道の積雪状況(6月29日現在)】   (Page-5)

●参考資料●
(ツアーコース概要) − ノリクラガイドマップ(冬〜春スキー版)
(位ヶ原・大雪渓・山頂方面 概要) − ノリクラガイドマップ(春〜夏スキー 山頂版)
(乗鞍岳春山アクセス方法) − お知らせ − Mt.乗鞍営業終了以降の乗鞍岳春山アクセス方法(4〜6月、ツアーコース、春山バス、乗鞍スカイライン)   

 

【6月29日(土)、ほおのき平駐車場】

ほおのき平駐車場
=岐阜県側 乗鞍スカイライン乗り換え駐車場=

こちらは岐阜県側 乗鞍スカイラインシャトルバス乗り換え駐車場のほおのき平駐車場。

 

気温14℃、すがすがしい青空

6時の気温は14℃、きれいな快晴の空が広がり、すがすがしい朝を迎えます。右の画像に駐車場の後方に数棟の建物が並んでいます。この建物の向こう側がほおのき平スキー場のゲレンデになっていて、これらの建物はゲレンデサイドに建ち並ぶペンションなどです。

 

ほおのき平スキー場(ゲレンデ側)

こちらの画像は反対側から見たところ。つまりゲレンデ側です。

 

秋にはコスモス園に(8月中旬〜9月下旬)

スキー場として冬季は賑わっていますが、現在のゲレンデを良く見ると一列に何かが植えられています。これはコスモス。8月中旬から9月下旬まで、コスモス園が一般開放されていて、多くの方がお越しになっています。見頃は9月上旬ごろ。冬季のゲレンデで、ゆり園やコスモス園を整備して観光資源とするスキー場は各地で見られます。

 

バスターミナル

さて、バスターミナルに戻ると、シャトルバス始発便に乗車しようとされる方が集まり始めています。

 

畳平は気温4℃とやや低め、天候晴 本日はAダイヤ

今朝の畳平の天候は晴、気温は4℃、この時期としてはやや低めの気温です。そして、シャトルバスの運行ダイヤは、この天候ですから晴天時のAダイヤ。7月から始発便が1時間早くなり、5時55分になります。また、ご来光バスの運行も7月から始まります。

 

今日もスキーヤの姿が... 長野県側シャトルバスは大雪渓止まり!?

岐阜県側のスキー滑走指定地の鶴ヶ池雪渓は、先週で滑走できない状態となりました。そのため、今日は長野県側の大雪渓まで移動することとなります。しかし、まだ長野県側のシャトルバスが運行されていないため、畳平から大雪渓まで徒歩で移動しなければなりません(乗鞍岳春山バスは大雪渓までの運行です)。

長野県側のシャトルバスも7月から運行開始予定でしたが、乗鞍岳春山バスと同様に、7月2日から当面は大雪渓までの運行となりました(7月1日は全便運休)。大雪渓より先の富士見沢付近の道路上部の積雪が多く、落石が防護フェンスを越えて道路に直接落下する危険性があるためで、県道乗鞍岳線は大雪渓より先は7月1日以降も当面冬季閉鎖が継続されます。

こちらのスキーヤーの方は、「いや〜、WebSite で長野県側のシャトルバスが大雪渓・肩の小屋口までしか運行しないことを知りましたよ。他に情報源がないので本当に助かります。7月以降もしばらくは畳平から大雪渓まで歩かないといけませんね。」と、おっしゃります。

WebSiteでは、道路情報を含めて乗鞍に関連する必要な情報をできる限りお届けするようにしております。
即時性の必要な情報については、Twitterでも同時配信していて、WebSiteで即時更新できない場合は、Twitterのみで情報発信する場合もあります。WeiSiteに加えてTwitterもあわせて確認してください。(Twitterアカウント @norikura_org

 

そして、シャトルバス始発便が到着...

 

外来植物の種子除去マット − 必ずマットに乗ってからバスへ

シャトルバスに乗車される際には、必ずこちらのマットの上で靴底に付着している外来植物の種子を除去するようお願いいたします。

 

シャトルバス始発便は、乗鞍スカイラインを経由して畳平へと向かいます。

 

【乗鞍スカイライン】

平湯峠 − この先マイカー規制
=シャトルバス乗車はほおのき平駐車場へ=

ここからは乗鞍スカイラインの様子をお伝えします。ほおのき平駐車場から6kmほどのところにある平湯ゲート。乗鞍スカイラインはここから始まります。道路左側に平湯ゲート詰所があり係員が許可車両のチェックなどを行っています。この先はマイカー規制となっていて、バス・タクシー・自転車と特別に許可された車両のみの通行となっています。

平湯峠(平湯ゲート)周辺には、マイカーの駐車場がありますが、シャトルバスの停留所はありません。そのため、ほおのき平駐車場でシャトルバスに乗り換えてください。

これまでは平湯温泉のあかんだな駐車場も乗り換え駐車場としてしてされていましたが、シャトルバスが平湯温泉発着となり、あかんだな駐車場からシャトルバスに乗車することができません。乗鞍スカイラインシャトルバス乗り換え駐車場は、2012シーズン版乗鞍岳マイカー規制・乗り換え駐車場・シャトルバス情報 をご覧ください。(2013シーズン版は作成中です。)

 

昨年の平湯峠付近
2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.8(2012/06/30〜7/1) @
今週の平湯峠付近
新緑の季節から初夏の季節へ

標高1684mの平湯峠ゲートから乗鞍スカイラインを進みます。新緑の緑の密度がかなり濃くなっていて、昨年との差はほとんどありません。また、全体的にしっかりと濃くなったことから、先週までとの差もなくなってきました。

新緑の季節から初夏の季節へと移り変わって行きます。

 

夫婦松駐車場 乗鞍スカイラインサイクルヒルクライムでは下山時休憩場所

平湯峠から3kmほど登った夫婦松駐車場。乗鞍スカイラインの路上から駐車場の奥まで確認することができませんが、かなり広い駐車スペースがあります。マイカー規制前の有料道路だった頃は、この夫婦松駐車場のすぐ先に料金所がありました。

来週の7月7日(日)には、乗鞍スカイラインを舞台とする自転車ヒルクライムレース「第10回乗鞍スカイラインサイクルヒルクライム」が開催されます。こちらの夫婦松駐車場は、下山時のブレーキ点検など一時休憩として利用されることになっています。

 

今日もヒルクライマーが...

来週の乗鞍スカイラインサイクルヒルクライムが近づいてきていることもあるかと思いますが、今日の乗鞍スカイラインはいつも以上に多くのヒルクライマーが駆け上がってきます。

 

青空の中を駆け上がる

乗鞍スカイラインサイクルヒルクライムは、一般選手のほかに実業団の選手も参加され、レベル的にもかなり幅広い大会となっています。WebSiteでは、今年も乗鞍スカイラインサイクルヒルクライムの取材を実施いたしますので、ご参加の選手の皆さんをカメラのレンズを通して応援いたします。

なお、昨年大会の様子は、第9回乗鞍スカイラインサイクルヒルクライム(2012/07/07〜08)をご覧下さい。

 

乗鞍スカイラインは今日が初めて... 畳平に向けて出発

夫婦松駐車場で休憩されているこちらの方。ヒルクライムを始めたばかりとのことで、乗鞍スカイラインに訪れたのも今日が初めて...乗鞍スカイラインは序盤の平湯峠から夫婦松駐車場までの3km区間は、比較的急勾配であるため、結構辛かったのではないかと思います。

来週の大会のことについてお聞きすると、「そうですねぇ〜、(今後もヒルクライムを続けてレベルアップして)何年かしたら出てみたいですね...」
今日のような晴れた日の乗鞍スカイラインは、ヒルクライムの辛さを忘れさせてくれるほどの景色が広がります。シャトルバスの車窓からでは味わえない空気感をダイレクトに感じることができるはずです。

 

モクモクと雲が湧き上がる − 夏山の天候の始まり

乗鞍スカイラインでは日差しが差しても暑さを感じませんが、山麓のほおのき平駐車場では、日差しが差し込むとかなりの蒸し暑さを覚える状況となっていて、山麓の地表が熱せられて、モクモクと雲が沸きあがってきました。

朝一番の快晴のあと、山麓から雲が沸きあがる様子は、夏山の天候の特徴で、まさに初夏に突入した証拠です。

 

昨年の乗鞍スカイライン(4kmポスト付近)
2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.8(2012/06/30〜7/1) @
先週の乗鞍スカイライン(4kmポスト付近)
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.7(2013/06/21〜22) @
今週の乗鞍スカイライン(4kmポスト付近)

マイカー規制前にあった夫婦松料金所を1kmほど進んだ4kmポスト付近の様子。先週は一部でまだ積雪が見られましたが、今週は完全に雪解けが終わりました。

 

雲の沸き上がりがさらにダイナミックに

先ほどの雲の沸き上がりがさらに激しくなり、ダイナミックに雲が舞い上がっています。遠方の北アルプスの峰々もそんな雲に飲み込まれています。

 

昨年の猫の小屋跡地
2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.8(2012/06/30〜7/1) @
先週の猫の小屋跡地
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.7(2013/06/21〜22) @
今週の猫の小屋跡地

さらに進んで、こちらは標高2200m付近の猫の小屋跡地。雪解けは先週の段階で終了しました。新緑の密度は昨年よりも濃い様子が見られます。

 

森林限界を超えて 山肌の残雪はもうありません

猫の小屋跡地を過ぎた9kmポストあたりから森林限界を抜けてロケーションが広がります。先週はではこちらの山肌に残雪が見られましたが、今週はほとんどなくなりました。

 

雲の絨毯 ほおのき平駐車場もはっきりと(画像中央の赤い屋根)

この付近から眼下に広がるロケーションを眺めると、雲の絨毯が広がっています。雲の上に乗ってみたいと思わせるような雰囲気です。その雲間にはシャトルバスが出発したほおのき平駐車場もはっきりと確認できます(右画像:画像中央の赤い屋根)。猫岳中腹の乗鞍スカイラインからほおの木平駐車場までは直線距離で5kmです。

 

雲上の乗鞍スカイライン

「雲上の乗鞍スカイライン」がまさにここにあります。

 

昨年の烏帽子岳
2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.8(2012/06/30〜7/1) @
今週の烏帽子岳
昨年とほぼ同じ積雪量
昨年の四ッ岳カーブ
2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.8(2012/06/30〜7/1) @
今週の四ッ岳カーブ
昨年とほぼ同じ積雪量

上段は森林限界を超えて最初に見られる山は23ある乗鞍の峰の一つである烏帽子岳(えぼしだけ標高2550m)。積雪量は昨年とほぼ同じです。下段はその先にある乗鞍スカイラインの中でもっとも積雪量の多い箇所を通過する四ッ岳カーブ。こちらも昨年とほぼ同じです。

 

土俵ヶ原付近(12kmポストの黄色い標識)

四ッ岳カーブを過ぎて、土俵ヶ原付近です。左の画像に「12粁」の黄色い標識が確認できます。基点の平湯ゲートからのキロポストで、平湯ゲートから12km地点を現しています。この先、桔梗ヶ原に13kmポスト、県道乗鞍岳線との交差点の少し山麓側に14kmポストがあります。

 

桔梗ヶ原 − 乗鞍スカイラインはここだけ長野県 隣の丹生岳山頂が県境

四ッ岳カーブからさらに進んで、平坦な桔梗ヶ原はノリクラの峰々が一望できます。この直線部分だけ長野県側であることは先週のこのコーナーでお伝えしました。この道路の右側に大丹生岳(右の画像)があり、その山頂を県境が通っています。

 

桔梗ヶ原 − この付近は稜線が不明瞭で2003年まで県境未確定だった

さらに進んで乗鞍スカイラインは桔梗ヶ原を貫きます。この付近は明瞭な稜線がないこともあって、かつては岐阜県と長野県の県境が明確に設定されていませんでした。旧丹生川村と旧安曇村で何度か協議が行われたようですが、県境確定には至らず、乗鞍スカイラインの償還期限が完了した2003年に県道に編入された後、2003年11月に県境が確定されました。

県境は道路の安曇村側(東側)に設定されて、県境未確定部分の乗鞍スカイラインは岐阜県となりました。

 

昨年の鶴ヶ池雪渓
2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.8(2012/06/30〜7/1) @
今週の鶴ヶ池雪渓
滑走エリアに向かうルートが雪解けして滑走不能

畳平に到着する手前に鶴ヶ池雪渓が広まります。岐阜県側で唯一滑走が認められているエリアです。畳平から歩いてすぐの場所にあることから、初めてお越しになったスキーヤー・ボーダーの方にも安心してお勧めできる場所です。例年6月下旬まで滑走可能です。

道路・駐車場に面した部分には積雪があって、一般観光客の方が雪に親しむことができます。現時点では立ち入り禁止の措置は取られていませんが、今後雪解けが進むと、ハイマツや高山植物保護のため、立ち入り禁止となります。

また、それより奥の滑走エリアには積雪があるものの、そこへ向かうルートがすでに雪が途切れていて、ハイマツ帯などが出現しているため立ち入りができず、事実上滑走不能です。前述の通り、駐車場付近では一般観光客の方が雪遊びできるため、立ち入り禁止の措置は取られていませんが、滑走エリアに向かう行為は絶対にされないようお願いいたします。

 

畳平

鶴ヶ池雪渓を過ぎると、乗鞍スカイライン終点の畳平に到着です。 Next


■ご注意■

今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)

 

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