ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.16(2009/08/28〜30) B
【雪渓中段】
雪渓中段 |
雪渓下部の北端のモーグルコースの岩と南端の石碑の岩の間を上がったエリアで、雪渓上部の雪渓下部を結ぶ緩斜面です。画像中央に大岩があり、その後方に残るだけとなっていて、先々週の段階から、この位置からは、完全に積雪が見られない状態になってしまいました。
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先週の雪渓中段 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.15(2009/08/22〜23) B |
今週の雪渓中段 完全に雪解けが完了 |
先週の段階で猫の額ほどしか残っていなかった雪渓中段も、今週は右の画像の通り、完全に雪解けが完了しました。
■今年の雪渓中段の雪解け状況■ |
雪渓中段の積雪が完全になくなった時期は、昨年より一週間早い状況です。
また、過去の状況を見ると、2007年は今年より二週間遅く(→ 2007ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.18(2007/09/08〜09) C)、2006年は今年より三週間遅く(→ 2006ノリクラ雪渓カレンダーVol.20(2006/09/23)B )、2005年は今年と同時期(→ 2005ノリクラ雪渓カレンダーVol.16(2005/08/27)A )で、2004年は今年より一週間早い雪解けでした。(→ 2004ノリクラ雪渓カレンダーVol.15(2004/08/21)A )です。
過去三年間では、最も早い雪解けですが、さらに遡ると、今年より早い雪解けの年もあり、今年の雪解けが特に早いというわけではないことが分かります。
【高山植物】
高山植物のピークの時期が過ぎつつありますが、よく観察すれば、色々なものを見つけることができます。右の画像は、登山道脇に自生している様子。
ウラジロナナカマド(紅葉) | キバナシャクナゲ(葉芽) |
この中には、左の画像のようにウラジロナナカマドが紅葉を始める様子が見られれば、右の画像のように、キバナシャクナゲの今年の葉芽が大きく成長している様子が見受けられます。
クロマメノキ(葉) |
萼が5列なので、クロマメノキの花 |
ウラジロナナカマドやキバナシャクナゲの大きな葉の周辺にある小さめの葉を、少し掻き分けてみると、ピンク色の花を見つけることができます。前年の枝に咲いている為、あまり目立たず、萼(がく)が5列に分かれているところから、クロマメノキの花であることが分かります。
さらに同じように、登山道沿いの草木を見ると...
クロウスゴ(紅葉) | 赤い今年枝につくので、クロマメノキの実 |
こちらの高山植物も前述のウラジロナナカマドと同様、紅葉を始めています。そして、同じように枝を掻き分けてみると、ピンクの今年の枝先に実がなり始めています。クロマメノキと同じ仲間のクロウスゴ。でき始めた実の形がすでに臼状になっています。
コバイケイソウ(実) |
コバイケイソウも、花が終わって実の時期に入ってきています。
頂枝の花にしか実はできません |
以前にもお伝えしたように、頂枝にできる両性の花は実ができますが、側枝にできる雄花には、実ができません。花が終わった時期でも、こんなところに視点をむければ、時期を問わず高山植物を楽しむことができます。
コウメバチソウ(花) |
先週、つぼみだったコウメバチソウも、ご覧のように花が咲き始めました。この二輪の花をよく観察すると...
雄しべが開いていません | 雄しべが開花しました |
左の画像は、前の画像の下のコウメバチソウで、右の画像が上のコウメバチソウ。どこに違いがあるかというと、雌しべを取り囲む舌状のものが、開いているか(右)、開いていないか(左)。
実は、雄しべに見える黄色の腺体が、生殖機能のない仮雄蘂(かゆうずい)で、本来の雄しべは、開き始めた舌状のものです。蜜を持たないウメバチソウは、黄色の仮雄蘂が虫たちを誘う指標となり、また、この腺体の本数によって、山野草のウメバチソウ(15〜22)と、高山植物のコウメバチソウ(主に7本 8〜11)に区分されます。
ミヤマクロスゲ(紅葉) − 草紅葉 |
一面、緑の草原だったミヤマクロスゲも、少しずつ、黄金色に変化をはじめ、いわゆる「草紅葉」の様相を呈するようになって来ました。
トウヤクリンドウ(花) − いよいよ高山植物の時期が終わりに |
その中を良く見ると、トウヤクリンドウの姿が見られます。この高山植物の開花をもって、このエリアの高山植物の花の時期は、ほぼ、終わりと考えられます。
秋の光景 −
ホシガラスの食べ残した |
秋の光景 − コケモモ(実) |
トウヤクリンドウの周辺をよく見ると、ホシガラスが食べ残したハイマツのマツボックリの残骸や、コケモモの実がなっているところを観察することができます。こんな小さな世界でも、秋を感じることができます。(→ Next)
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