ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.14(2010/08/13〜15) F
【クマ出没 − 畳平周辺立入規制】
すでに速報(8月14日(土)、8月15日(日))や、お知らせ−クマ出没による畳平周辺の入山規制について(2010/08/16) でお伝えしているように、8月13日(金)に畳平周辺でクマの出没が複数回にわたって確認され、周辺の入山規制が実施されました。
ここからは、8月15日(日)の畳平周辺の状況をお伝えします。
こちらは最初に出没確認のあった大黒岳。ご覧のように登山道入口には通行禁止の表示とロープが張られています。
登山道などの規制はあるものの、乗鞍高原やほおのき平からやってくる各シャトルバスは通常運行されています。
しかし、畳平バスターミナルなどの各施設と畳平駐車場以外の場所に向かうことができず、シャトルバスを下車した乗客の方々は一様にバスターミナルに向かいます。
ターミナル内は混雑 | 行く先がなく、売店で一休み... |
そのため、バスターミナル内はご覧のような混雑...ほおのき平から大雪渓に歩いて向かおうとしたスキーヤーの方々も行く先がなく、売店で一休み...
こちらはバスターミナル内の案内所。ホワイトボードには最新の熊情報が掲示されています。
案内所には今後の見通しなど、状況説明を伺う登山の方々が絶えず押し寄せ、係の方も対応に大忙しの状況。
肩の小屋に宿泊しようとやってきたものの、立ち入り禁止措置のため畳平から肩の小屋に向かうことすらできず、今日はあきらめて下山して上高地など他の観光地へ行き先を変更するといった方もいらっしゃいました。
通行規制 − お花畑入口 | 通行規制 − 魔王岳登山道入口 |
規制箇所は、@ 大黒岳登山道入口、A 魔王岳登山道入口、B 畳平お花畑入口、C 鶴ヶ池周辺、及び、鶴ヶ池横の肩の小屋専用道へ向う道路入口(富士見岳・剣ヶ峰方面)の4箇所で、それぞれの入口には通行禁止の表示とロープ、そして、係の方が待機し、万全の体制をとっています。
濃霧のため、本日の安全確認ができず |
規制解除は畳平周辺の安全確認が実施されれば解除のされる見通しですが、この日は視界が30メートルほどしかなく、安全確認が実施できない状況。
シャトルバスでやってきた観光客の方々も、バスターミナルの各施設以外に観光するエリアがなく、大半の方がとんぼ返りで下りのシャトルバスに乗車します。
天候が回復されれば、周辺の安全確認作業に着手する予定でしたが、結局、8月15日(日)と8月16日(月)は終日濃霧のため実施されず、天候の回復した8月17日(火)に安全確認がとられたため、同日8時20分より畳平周辺の登山道・散策路の規制が全面解除されました。
【昨年の今ごろは?】
昨年はなかなか夏本番の天候に恵まれない状態が続きましたが、お盆休みを迎えるこの時期になってようやく綺麗な青空に恵まれるようになって来ました。
13日(木)あたりから本格的なお盆休みに入る方が多くなってきて、観光センター前駐車場の人出も増えてきました。ただ、この日は生憎の曇り空で、大雪渓エリアは終日に渡って濃霧と雨でした。
しかし、14日(金)はこれまでの状況を払拭するかのような真っ青な夏空が広がり、モクモクとした雲が青空に浮かびだすと雰囲気は完全に夏モード。
夏の終りはじめるこの時期になってようやく訪れた夏のノリクラを楽しむことができるようになって来ました。
<編集後記>
今年のお盆休みは台風4号が日本海を通過した影響から、はっきりしない天候が続き、特に大雪渓など上部エリアは13日(金)以外は、ほぼ終日にわたって濃霧と雨の天候ばかりと生憎の状況となりました。
また、畳平周辺ではクマの出没により、13日(金)午後から17日(火)8時20分まで畳平周辺の登山道・散策路の立ち入り規制が実施されました。今回の措置は昨年 2009年9月18日に発生したクマによる人的被害を教訓に、クマ出没時の対応・体制が整備され、それに基づいて実施されたものです。
お盆期間中のほぼ全期間が規制されたのは、濃霧によって周辺の安全確認が実施できなかったためで、規制期間中、連日クマが目撃されたというわけではありません。
乗鞍一帯はもともと熊の生息域で、そのエリアに人間が侵入してきているといったほうが正しい見方と考えられます。人的被害を防ぐためには、入山規制が有効な対策かと思いますが、クマの出没のたびに実施される規制は、安全確保とは裏腹の問題として、観光という側面ではマイナスの面もあり、入山規制以外の対策はないのか再考する必要もあるかと思います。
保護を主眼に考えなければならない雷鳥、時として害獣とみなされかねない熊、高山帯まで侵入しつつあるカモシカやニホンザルなど、野生生物との付き合い方や対策は、野生生物の性格を考慮したものでものでなければならないでしょう。
規制をかけることが即効的な対策かもしれませんが、クマの生態に則した対応をしない限り、抜本的な対策とは必ずしもならない場合も考えられます。
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