第7回 乗鞍天空マラソン
(2012/06/23〜24) @
乗鞍天空マラソンは2006年からはじまりました。その前年までの乗鞍での春山シーズンの一大イベントは、5月下旬に行われた宮様杯乗鞍フィーゲルスキー大会でした。長さが55センチで踵部分から後ろのないスキー板で行われるスキー大会ですが、最終大会となった2005年当時ですら、もうフィーゲルスキーの市販はなく、大半の選手がビッグフットなどで大会に出場されていました。
その宮様杯乗鞍フィーゲルスキー大会の名誉会長を勤められていたのは、「ひげの殿下」として国民に親しまれた三笠宮家の寛仁(ともひと)さま。乗鞍高原とは深いつながりのあった殿下で、6月6日に逝去されたことは、記憶の新しいことと思います。
さて、最終大会の2005年の第30回乗鞍フィーゲルスキー大会に出場した選手は約60名とこじんまりとした大会で、コース整備する自衛隊員のほうが多いのではないかと思うほどでした。そして、乗鞍天空マラソンは、2006年の第1回大会の約330名から年々規模が大きくなり、今回の第7回大会では、昨年より約200名多い1987名のエントリーがあり、フィーゲルスキー大会とは比べ物にならない大イベントに成長いたしました。
それでは、前日の大会受付から当日のスタート、そして、競技中の選手の模様など、乗鞍天空マラソンのそれぞれの一コマをお伝えしたいと思います。
【6月23日(土)、大会前日の受付会場】
こちらは大会前日(6月23日(土))の乗鞍観光センター。普段は乗鞍岳に向かう乗鞍春山バス(5月〜6月)や、シャトルバス(7月〜10月)の発着所・乗り換え駐車場として活用され、乗鞍登山のベースエリアとなっています。
乗鞍天空マラソンは、一般のバスやタクシーの通行ができない冬季閉鎖中の県道乗鞍岳線(エコーライン)を自由に走って頂き、新緑や雪の壁といった乗鞍の有する大自然を身近に感じてもらえるところが特徴です。
競技は標高1500mの観光センターをスタートして、標高2600mの大雪渓駐車場までの約18kmを駆け上がり、再び折り返した後、標高1800メートルの三本滝ゲートのゴールを目指す、全長30kmを競うものです。(地図 → ノリクラガイドマップ 天空マラソン版<別ウインドウで表示します>)
この先の三本滝ゲートより上部は、前述のとおり冬季閉鎖中のため車の往来がなく、大会運営には問題ありませんが、スタート地点の観光センターから三本滝までの7km区間は、一般車両の通行が可能であることから、レース当日の6月24日(日)は、スタート時刻前後の7時30分〜9時30分は、通行止めの措置がとられます。
大会受付は14時から行われますが、それに先立って先着100名による、乗鞍高原内のトレイルランが企画されました。その参加者の方々が準備運動です。トレイルはロードと異なり、路面状況にあわせてストライドをあわせていかなければならず、しっかりとした準備運動が必要です。新緑の美しいトレイルが楽しめる企画です。
そして、14時に大会受付が始まります。昨年までは観光センターの建屋内で行われていましたが、今年は建屋前のテントで行われました。
ここでは、ゼッケンと参加賞のTシャツ、そして、明日の競技前に預ける手荷物用の袋を受け取ります。
大会運営に携わる大半の方は乗鞍高原の方々。その多くが旅館・民宿を営業し、今晩は選手で満室というペンションも多いことかと思います。そんな傍らで、大会の仕事もこなして行かなければならず、この二日間は目が回る忙しさです。
第2回大会以降、連続出場されているこちらの方。「目標タイムは?」と、お聞きすると「昨年よりは短縮できたらいいかなぁ〜」
こちらでは、明日のレース前に預ける手荷物の袋にゼッケン番号と名前を記入します。皆さん、わかりやすいようにいろいろな目印を記入されていますよ。
今回3回目の出場というこちらの方々...
この大会の魅力についてお聞きすると、「普段走ることができない道路を走るって言うところでしょうか。やっぱり雪の壁がいいですね〜。雪に『がんばれ〜』って手書きされているのが励みになりますね。」
折り返し地点前の雪の大壁は、現在7.5メートル。「そんなにあるんですか!」と少し驚かれていました。
今回で三回目 − 夏もスキーでノリクラに | 当日受付がなくなって、日程的にちょっと厳しい... |
さて、今回で三回目の出場。夏スキーでも良くノリクラにはお越しになります。今年から大会受付が前日だけになったことについて、「今年は何とか前日に休みを取ることができましたが、もし、来年、休みを取ることができなかったら、残念ですが大会に出場できないことになりますね。」
日曜日しかお休みのない方にとっては、今回の変更は少し負担の大きなものになっているようです。
受付会場には、マラソン関連のグッズを販売するブースも設けられています。
あら!またお会いしましたねぇ〜 | 二足も買っちゃった! |
「いや〜、二足も買っちゃった!」と、おっしゃるこちらのお二方。
「昨年までは当日受付がありましたが、今年は前日受付だけになっちゃったので、乗鞍高原のペンションをちゃんと予約しました。しかし、逆にそのほうが当日ばたばたすることなく余裕があっていいですよ。今日は前述のトレイルランに参加しようと思ったものの、もう定員になってしまい、これから乗鞍高原内の散策かな〜」
多くの選手にとって、やはり前日のみの受付になったことは、ある程度の影響があるようですが、大会だけを楽しむだけでなく、余裕を持って乗鞍高原を楽しむことができる点は、乗鞍をよく知ってもらうことに一役買っているようです。
「天空マラソンの魅力ですか〜。そうですね〜山に向かって走ることができるって所でしょうか。北アルプスが好きなんですよ。北アルプスが見えるって言うだけでやっぱり来ちゃうかなぁ〜。自転車にはヒルクライムというジャンルはありますが、マラソンでひたすら登るだけって言う大会はあまりないですよねぇ〜。乗鞍天空マラソンと富士山登山競走だけだと思いますよ。」
てるてる坊主に願いごとを... |
そして、明日の大会への思いをてるてる坊主に記していただきました。
「山登りがんばるぞ」「笑顔でゴール」と書かれていますが、その下にはさらに「後でおいしいもの食べるぞ...」ともお書きになってますよ(笑)。てるてる坊主なんですが、天気のことは一切触れず、どうやら、明日の天候には全く心配されてなさそうですね。
こちらは全員初めての出場。「大変さを味わいにきました。まぁ〜めざせ7km(三本滝)かな。私が出たかったから、皆さんを巻き添えにしてしまいました。」と、おっしゃっている右の方。それに対して、「天気が悪くなると折り返し地点が変更になるってことはないんですか?」と、左の方からは若干消極的な雰囲気も...いかにも天気が悪くなることを期待するような雰囲気が見え隠れしています。
過去には2009年(第4回大会)では、15km地点の位ヶ原山荘に、そして、2008年(第3回大会)では、13km地点の冷泉小屋に引き下げられたこともありました。しかし、 どうみても明日は天気の崩れはなさそうで、ちょっと残念そうな表情。
今年から制限時間が6時間から5時間に短くなりました。「えっ!短くなったの?時速5kmで行けばOKだと計算していたのに...一晩掛けてもう一度戦略を練り直さないと...」と、予想外の表情です。
「でも、一回完走できれば、絶対にはまりそうなかんじだよなぁ〜この大会は...」と、未知の大会への感想をいただきました。今年も初めての方が多いようですが、そんな想いをもってエントリーされた方も多いのかもしれません。
そして、こちらはおやきなど地元の特産品を販売しているコーナー。乗鞍天空マラソンの開催日だけでなく、グリーンシーズン中は連日営業が続けられています。もちろん、こちらの女将さんのところでも民宿を営業されていて、選手の方々の宿泊と、売店営業との掛け持ちです。
ここの女将さんにもお話を聞くと「ウチの宿の場合ではありませんが、他では一人での申し込みが多いとも聞いてますよ。」とのこと。
大半の宿では二人部屋以上の構成で、他のペンションの話では、「人数的には半分しか埋まっていないのに、満室でお断りしなければならず、一人予約の場合、相部屋になってもいいよと言ってくれると大歓迎だが...」という話も聞きました。
今回も宿泊先がなかなか見つからないという選手もいらっしゃったようですが、相部屋でもOKという方は、事前に宿側に伝えておくのもよいでしょう。
さて、話は変わって、「今年もエイドステーションでは、山菜の惣菜を提供するんでしょうか?」と、お聞きすると、「ちょうど、今作っているところですよ。見に行ってみますか!」
作業中の厨房 | 後は一晩寝かせれば、味がしみるよ! |
こちらがまさに作業中の厨房。大鍋にはワラビとえのきの酢の物がつくられています。「一晩寝かせると、ちょうど味がしみてよくなるよ!」
大鍋でフキの煮物 | いつも目分量だから鍋の大きさなんてわかんないよ |
こちらでは、フキ・はんぺん・ニシンなどの煮物が作られています。「この大鍋、何リットルくらいあるんですか?」と、お聞きすると、「うん...わからないなぁ〜、だってそんなの目分量だよ!」
旅館や民宿で大人数の食事を作られている方々は、逆に少量作ることが難しいという話を聞くことがあります。「目分量で適当...」なんですが、いつも同じ味ができるというところが、ノリクラの女将さんたちの技なんでしょうか...
観光センターのテラスでは、ゆっくりとした時間が流れています。
残雪の残る山頂方面がはっきりと眺められ、時折、力強い太陽が輝く様子もあり、明日の天候には全く心配の必要がない様子。おそらく、これほど天候が安定した大会は、過去には全くありませんでした。
17時に大会受付が終了され、明日8時のレーススタートを待つばかりです。(→ Next)
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