ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.2(2013/05/15・18・19) @
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長野県側の乗鞍岳春山バス(乗鞍高原〜位ヶ原山荘間)は、ゴールデンウィークから運行が始まりましたが、岐阜県側の乗鞍スカイラインも毎年5月15日に開通し、シャトルバスの運行も始まりました。今回は乗鞍スカイライン開通にあわせて実施される乗鞍岳山開き祭の模様と、通常の週末のノリクラの様子をお届けいたします。
5月15日(水)は、終日快晴の一日でした。強い朝日にアウターを着ていると暑さすら覚えるほど。そのため、乗鞍スカイラインは路面凍結などはなく予定通り7時に開門し、シャトルバスも始発便から通常運行が始まりました。そして、ほおのき平駐車場では、乗鞍登山バス出発式が来賓の方々のテープカットのもとで執り行われ、花輪で飾りつけられたシャトルバスが乗鞍スカイラインをゆっくりと登って行きます。そして、シャトルバスの終点の畳平では乗鞍岳山開き祭が快晴のもと始まりました。午後になっても真っ青な快晴の空に変化はなく、いつもは強風にさらされる稜線上も穏やかな雰囲気に包まれ、どこまでも青い空に遠景の山並みが浮かぶ絶景が、夕方まで続いていました。
5月18日(土)も、綺麗な青空が続きます。日差しが強い上にほとんど風の流れがなく、暑さにバテてしまうほどの状況。三本滝レストハウス前駐車場は雪解けでスペースが広がってきたものの、今日もかなりの賑わいで、乗鞍岳春山バス始発便は5台運行されました。午後になって少しずつ雲が広がってきたものの青空は続きます。バーンは15日(水)ほどの緩み方はなかったものの柔らかい状況で、楽しくターンを繰り返すことができました。
5月19日(日)は、早朝はほとんど雲ひとつない快晴から始まりました。しかし、9時過ぎから雲が広がり始め、一の瀬園地で行われた乗鞍高原開山祭が始まる10時過ぎには完全に曇。開山祭は安全祈願神事に続いて、樽酒の鏡開き、そして、訪れた観光客の方々は手打ちそばや山菜汁の無料サービスに舌鼓を打っていました。
■ご注意■
今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)
【5月15日(水)、乗鞍スカイラインシャトルバス運行開始】
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ほおのき平駐車場 |
こちらは早朝6時のほおのき平駐車場。岐阜県側のシャトルバス乗り換え駐車場です。
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綺麗に晴れた朝 | まだサクラが咲く |
気温10℃。ご覧のように綺麗に晴れ渡った朝を迎えます。標高1230メートルのほおのき平では、ご覧のようにまだ桜が咲いています。
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5月15日 − シャトルバス運行初日 | 毎年、この日は欠かさずに... |
毎年、5月15日は乗鞍スカイラインの開通日。乗鞍スカイラインはほおのき平より約6kmほど先にある標高1680メートルの平湯峠を基点に、標高2702メートルの畳平までの14.4kmの区間を走る自動車道で、終点の畳平は国内の自動車道最高標高地点の山岳道路です。また、2003年から実施されているマイカー規制により、現在はバス・タクシー・自転車の通行しか認められていません。畳平周辺はまだまだ銀世界が広がり、鶴ヶ池雪渓や剣ヶ峰山頂方面は山スキー・ボードを楽しむことができます。
始発のシャトルバスに向けて出発の準備をされているこちらのボーダーの方々は、毎年、5月15日はお休みを取ってお越しになっているとのこと。「この日(5月15日)は、絶対にはずせませんよ!」と、おっしゃっていました。
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ほおのきバスターミナル |
シャトルバス始発便は6時55分(7月〜9月は5時55分)。時間が近づくにつれて、シャトルバスを待つ方々が集まってきます。この時間帯はまだ一般の観光客の姿は少なく、山頂方面に向かう登山者やスキーヤー・ボーダーが大半です。
5月から6月前半は、天候悪化で現地では雪が降ることもあります。そのため、冬山に準じた装備が必要で、アイゼンの携行を忘れないようにお願いいたします。
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気温2.5℃、晴 | 今日はAダイヤで運行 |
ほおのき平バスターミナルには6時の畳平の天候が掲示されます。畳平の天候は晴、気温2.5℃、視界は良好とのこと。この時期の畳平は氷点下になることもあり、今日の気温は幾分高めといえるでしょう。気温が氷点下になると夜間凍結することがあり、路面が融けるまで乗鞍スカイラインは通行止めとなることもしばしばあります。しかし、本日は路面凍結など通行に支障となる点はなく、予定通り、7時より開門が決まりました。
乗鞍スカイラインシャトルバスの運行は、天候に応じて2つのダイヤ編成が存在します。天候に問題のないAダイヤと、降雨時で運行本数の少ないBダイヤです。どちらのダイヤが適用されるかは、前日14時時点で翌日6〜12時の降水確率で決められます。降水確率40%以下ならAダイヤが適用で、40%を超える場合はBダイヤとなっています。なお、 減便運行されるBダイヤでも始発便と最終便は同じですが、およそ2時間に1便となっていますのでご注意ください。
なお、乗鞍スカイラインシャトルバスの運行ダイヤについては、乗鞍岳マイカー規制・乗り換え駐車場・シャトルバス情報 〜2012シーズン版〜 をご覧ください。(2013シーズン版は現在作成中です。ダイヤは2012シーズンと変わりありません。)
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畳平へのシャトルバス乗車口 |
畳平に向かうシャトルバスは、バスターミナル正面より乗車します。ちょうどこのあたりが乗車口です。バスターミナル正面の状況は昨年とは全く変わりありませんが、良く見るとフロアマットが敷かれていることに気付きます。
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フロアマットが設置 | 外来植物の種子を除去する |
このフロアマットは来場者の靴底に付着している外来植物の種子を除去するためのものです。セイヨウタンポポやオオハンゴンソウなどの外来植物は繁殖力が旺盛なため、高山植物が自生している領域に入り込んで、その生育に悪影響を与えることが懸念されています。
ノリクラに限らず各地で見られる大半のタンポポは、ミヤマタンポポなどの日本古来種よりも、セイヨウタンポポのほうが圧倒的に多い状態になっていて、道端で見かけるタンポポのほとんどがセイヨウタンポポに置き換わっている現状があります。外来種の問題は高山帯だけでなく、全国的に見られる問題です。
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チケットは屋内券売機で購入 40周年を記念して、小人往復運賃は半額に |
乗鞍スカイラインシャトルバスの乗車券はバスターミナル内の券売機で購入します。運賃は昨年と同じで、大人往復2200円、小人往復1100円ですが、乗鞍スカイライン開通40周年記念イベントとして、5月15日〜7月12日の期間中は、小人往復料金が半額(1100円→550円)に設定されています。
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今シーズン最初のシャトルバス到着 | ほおのきからは18名が乗車 |
そして、今シーズン最初のシャトルバスがほおのき平バスターミナルにやってきました。ほおのきからは18名の方々が乗車して、終点の畳平へと出発しました。
【乗鞍登山バス出発式】
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登山バス(シャトルバス)発車式の準備 |
シャトルバス始発便が出発したのち、ほおのき平駐車場では、乗鞍岳登山バス出発式の準備が始まりました。例年、ほおのき平駐車場でバス出発式を行った後、畳平に移動して安全祈願神事と乗鞍岳山開き祭を行うこととなっています。
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来賓・関係者の受付 |
バスターミナル前では、バス出発式・乗鞍岳山開き祭に出席される来賓・関係者の方々の受付が始まります。
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シャトルバスに花輪を取り付ける |
乗鞍スカイラインシャトルバスは、濃飛乗合自動車とアルピコ交通の2社が運行し、今回も両社のバスに花輪が飾り付けられました。花輪が飾り付けられたシャトルバスは、畳平で行われる安全祈願神事・乗鞍岳山開き祭に出席する来賓・関係者の方々が乗車することとなっています。
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さらに別のシャトルバスが入場 |
そして、テープカット会場には、さらに別のシャトルバスが入場します。
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カメラが集まる |
もちろん、こちらのシャトルバスにも花輪が飾り付けられますが、取り付けシーンに報道各社のカメラが一斉に集まってきました。
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乗鞍スカイライン開通40周辺記念のラッピングバス | |
車体左 − 乗鞍スカイラインの雪の壁 | 車体右 − 乗鞍から望む北アルプスの風景 |
こちらのシャトルバスは、乗鞍スカイライン開通40周年を記念して新たに新装されたラッピングバス。車体左側は乗鞍スカイライン沿道の雪の壁の様子、車体右側は乗鞍から望む北アルプスを描いたものです。これまでにも乗鞍岳をモチーフにしたラッピングバスはありましたが、今回はそのデザインが一新されました。
このラッピングバスは乗鞍岳のPRを目的に仕立てられたもので、高山ー新宿間、名古屋ー大阪間の高速バスに就航するとのこと。本日も乗鞍岳山開き祭で来賓の方々を畳平にお送りした後、高速バス路線の運行に就くとのことでした。
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乗鞍スカイライン開通 − 今日からヒルクライムも もちろんOK | 間もなく式典開始 |
乗鞍スカイラインはマイカー規制のため、バス・タクシーでの通行となりますが、自転車の通行も認められています。乗鞍スカイラインの開通にあわせて、ヒルクライムに訪れる方の様子も見られます。
乗鞍スカイラインでは、毎年7月1週目にヒルクライム大会が開催されます。昨年はエントリーが1000名を越えるほどまで人気が高まり、長野県側の県道乗鞍岳線(エコーライン)で行われる全日本マウンテンサイクリングin乗鞍と同じように、たくさんのヒルクライマーが集まるようになってきました。
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乗鞍岳登山バス出発式が始まる |
「それでは定刻となりましたので、ただいまから、登山バス出発式を始めさせていただきます。」の司会から、バス出発式が始まりました。
「今年は乗鞍スカイライン開通40周年を迎え、また、濃飛乗合自動車株式会社様も創立70周年の締めを迎えることになり、お互い協力をしながら、各種記念事業に取り組んでまいりたいと思っております。特に今年は濃飛乗合自動車様のご協力によりまして、前のほうに停めております、新たに導入されました乗鞍岳PRのラッピングバスをご用意いただいております。このバスは、高山−新宿間、あるいは名古屋−大阪間の高速バスとして本日の乗鞍岳山開き祭の終了後から運行されることになっています。また、濃飛乗合自動車様より乗鞍岳自然保護活動を乗鞍美化の会へご寄付をいただきました。この寄付で外来植物の種子が高山帯へ広がらないようマットをリースいたしまして、ほうのき平バスターミナルに設置をさせていただきましたので、ご披露させていただきます。」
また、乗鞍環境保全税を活用して、畳平園路入口にもマット設置を行い、高山植物の保全に取り組んで行くとのことでした。
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テープカット |
そして、報道関係者や来賓の方々の前で、テープカットが行われました。
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来賓・関係者 − ラッピングバスで畳平へ |
登山バス出発式が終了した後、ラッピングバスやそのほか花輪で飾り付けられたバスに来賓・関係者を案内し、このあと、畳平で行われる安全祈願神事・乗鞍岳山開き祭に向かいます。このラッピングバスなどには一般の方は乗車することはできませんが、直後に出発するシャトルバスがありますので、そちらに乗車すれば畳平での安全祈願神事や乗鞍岳山開き祭に一緒に参加することができます。(→ Next)
■ご注意■
今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)
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