ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.4(2015/05/30〜31) @
5月27日(水)より、乗鞍岳春山バスの大雪渓延長運行が始まりました。
春山バスの運行は4月29日より始まってゴールデンウィークの大型連休を迎え、5月15日には乗鞍スカイラインもオープンしました。そして、先週の5月24日は乗鞍高原のすもも祭、今回の春山バス大雪渓延長と続き、5月はめまぐるしく状況が変わりました。また、6月に入ると梅雨入りを迎えるため、貴重な晴れ間を今のうちに楽しんでおかなければならず、忙しい5月でもありました。
さて、1日目の5月30日(土)は、朝からよい天候に恵まれたものの、春山バスが大雪渓に到着した8時ごろにはモクモクとして夏のような雲がわき始めて、青空を覆い始めます。その様子はまるで夏の光景そのもの。ただ、それ以上の天候の変化はなく、お昼前には上空に筋状の高い雲が流れるようになり、気温の上昇も抑えられて、暑くもなく寒くもなく穏やかな気候が終日続きます。また、これまではあちこちで見られていた雷鳥の縄張り争いが影をひそめ、オスとメスのつがいの姿があって、産卵への重要な時期へと差し掛かっているようです。
2日目の5月31日(日)は、朝一番の雨が収まり曇り空からのスタートです。上空は低い雲が垂れ込め、道中の乗鞍スカイラインは全線濃霧が続き、畳平は気温3℃と肌寒い状況でした。しかし、8時40分に濃霧が一気に消え去って快晴の見事な天候に。爽やかな空気に置き換わって終日秋のような天候が続きました。
それでは、そんな2日間の様子をご覧ください。
■ご注意■
今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)
【5月30日(土)、観光センター前駐車場】
観光センター前駐車場 |
早朝6時の観光センター前駐車場。ご覧のとおり、ほぼ快晴の朝を迎えます。気温は9℃で無風です。
雪解けが進みハイマツ帯がかなり目立つ状況に | 除雪は富士見沢まで進む − 上部滑走は道路転落注意 |
観光センターから望むノリクラの峰々。今年は雪解けが早く、ハイマツ帯がかなり目立つようになり、例年より2週間から4週間も早い雪解け状況です。県道乗鞍岳線の除雪は大雪渓まで完了し、乗鞍岳春山バスは5月27日より大雪渓・肩の小屋口バス停まで延長運行が始まっています。また、右の画像をご覧になるとお分かりのとおり、除雪は大雪渓よりさらに先に進んで、富士見沢まで到達しています。
富士見沢はバックカントリースキーヤー・ボーダーの方々には人気のバーンで、ピークから位ヶ原山荘方面方面へ一気に滑り降りることができましたが、ご覧のように道路除雪が入ると、切り通しの段差ができ、画像ではどの程度の高さか不明であるものの、数メートルの高さがあると、転落した場合、かなり危険を伴います。そのため、除雪が入った場合は、上部での滑走はされないことをお勧めします。また、この富士見沢は雪解け時期は落石が多発する場所です。その様な理由から、大雪渓から県境方面は除雪が進んでも立入禁止の措置が取られていますのでご注意ください。
県道乗鞍岳線は7月1日に県境まで全線開通しますが、例年、富士見沢付近の落石が雪に埋まっている防護フェンスを乗り越えて、道路まで落ちてくる危険性から、ここ数年は全線開通が遅れています。道路上部をさらに大きく除雪して落石ポケットを作ることで道路に落石が到達することを防ぐことができると考えられますので、今年はぜひとも落石ポケットなどの対策を取っていただき、予定通りに7月1日から開通してほしいものです。
自然保護センターのレンゲツツジ − 昨年より1週間早い満開 |
こちらは観光センター隣にある自然保護センター。ご覧のようにレンゲツツジが満開を迎えました。昨年よりも1週間早い状況です。
グリーンシーズン並みの賑わい − 出発の準備が始まる |
6時ごろまでは20台ほどしかマイカーがありませんでしたが、その後、続々と訪れて、7時過ぎには70台にも達して、グリーンシーズン並みの賑わいが感じられます。そして、その大半が乗鞍岳春山バスに乗車されるスキーヤー・ボーダーの方々で、いつものように出発の準備が始まります。
観光センター売店 − 7時に営業開始 |
こちらは観光センター内の売店。地元の旅館・民宿の女将さんを中心とした組織が運営し、おにぎりや弁当などは当番制で毎朝作り立ての商品が届きます。朝7時に開店ですが、常連のスキーヤーの中には、7時の開店を楽しみに待っている方もいらっしゃるようです。
春山バス乗り場 − シャトルバスと全く同じ | 異なるのは乗車券が手売りである所だけ |
こちらは春山バス乗り場。夏のシャトルバス乗り場と同じで、乗車時の対応も全く変わりません。ただ、異なる点は、乗車券の販売がシャトルバスの場合は、観光センターにある専用の窓口で行いますが、春山バスは、係員の手売りで行います。
春山バス始発便到着 − 今日は3台運行 |
今日の春山バス始発便は3台が運行されました。すべての乗客を乗せた後、この先の三本滝へと向かいます。
三本滝レストハウス前 − 大半の方が観光センターから乗車 |
こちらが三本滝レストハウス前駐車場。7時を過ぎても10台に満たない状態。先々週まではツアーコースでの下山滑走が可能だったため、観光センターよりも三本滝のほうが利用者数が多い状態でした。しかし、往復料金がどちらも変わらないため、大半の方が観光センターからの乗車となりました。
三本滝ゲート − この先冬季閉鎖中 |
こちらが三本滝ゲート。ここまではマイカーでの通行が可能で、この先は冬季閉鎖が継続されています。なお、冬季閉鎖は7月1日に解除され、県境まで全線開通しますが、開通以降もマイカー規制が実施されていますので、シャトルバス・タクシー・自転車のみの通行となります。
なお、乗鞍岳春山バスは、冬季閉鎖中の道路を特別な許可のもとで運行されています。
【乗鞍高原から大雪渓へ、沿道の風景】
沿道にピンクの花 − ムラサキヤシオツツジ、昨年より1週間早い開花 |
それでは、三本滝から大雪渓までの沿道の様子をご覧ください。左の画像で道路法面にきれいなピンクの花が咲いているのがお分かりでしょうか?ムラサキヤシオツツジ(紫八染躑躅)。その名のとおり、何度も染めて(八染)、しっかりとした色合いの花びらからこのように命名されています。観光センターのレンゲツツジと同様に、こちらも昨年よりも1週間早い状況です。
緑が濃くなる | 雪解け水で滝が息を吹き返す |
もう、ここまで緑がはっきりしてくると、新緑というレベルではないかもしれません。そして、山頂方面からの雪解けがより一層激しくなり、周辺の小さな滝が息を吹き返しています。
これより先では新緑はまだ |
こちらは標高2000メートルの摩利支天のすぐ上の部分。先週と比べれば、緑が感じられる部分が増えていますが、山麓と比べるとまだまだの状態です。しかし、ぱっと花が咲いたように明るい新緑が芽吹くまで、間もなくでしょう。
冷泉小屋(冷泉) |
さらに登って標高2200メートルの冷泉小屋。
沿道の積雪 |
この付近から沿道の積雪が見られるようになってきます。
位ヶ原山荘 | 大雪渓から位ヶ原山荘への下山滑走はまだ可能 |
さらに登って、標高2350メートルの位ヶ原山荘。先週まではここが春山バスの終点でした。大雪渓延長運行が始まっても、位ヶ原山荘での乗降はできますので、上りは大雪渓まで行って、下りは大雪渓から位ヶ原山荘まで滑り降りて、ここでコーヒー・生ビールタイムを取ったのち、春山バスで下山される方も多いようです。
大雪渓から位ヶ原山荘への下山滑走は、現時点では可能ですが、例年よりも積雪が少ないため、あと、数週間で下山滑走が困難となりますので、お早目にどうぞ...
この先森林限界 |
位ヶ原山荘から大雪渓までは標高差250メートル(標高2350m→2600m)、距離3.5kmで、森林限界を超えた別世界が待っています。
空が大きく広がってきた |
位ヶ原山荘から少し登るとご覧のように雪の壁が断続的に現れるようになります。そして、空がぐっと増えてくることを実感できるはずです。
11号カーブ(左:高天ヶ原、右:剣ヶ峰) | ツアーコース位ヶ原急斜面 |
位ヶ原山荘から1.5km先にある11号カーブ。厳冬期のツアーコースの出口に相当し、右の画像はツアーコース位ヶ原急斜面です。ご覧の様に積雪が残っていて、ここから滑り降りて三本滝まで 行けそうですが、すでに途中で積雪がなくなっていますので、下山滑走はされないようお願いいたします。
一面銀世界 | 雪の壁 |
普段の日常では決して味わうことのできない風景がこの先続きます。積雪量は時間とともにどんどん減少しますので、ぜひともお早目のこの景色を堪能してください。
もっとも高い4号カーブへ |
そして、大雪渓手前の4号カーブ。例年、このカーブが最も高い雪壁になります。
穂高を背に春山バス | 雪壁5.8メートル |
天候が良ければ、穂高をバックに雪壁の織りなす風景がご覧になれます。現在の雪壁は5.8メートル。昨年は9.8メートルありましたので、かなり低い状態ですが、それでもバスの背丈以上の雪壁です。
大雪渓に到着 |
そして、8時過ぎに春山バスは大雪渓に到着です。
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