ノリクラ 雪渓カレンダープレリリース版
Vol.3(2016/04/02) D
【ツアーコースV−位ヶ原急斜面】
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位ヶ原急斜面 |
こちらはツアーコース最後の位ヶ原急斜面。これまで樹林帯を切りとおしてコースが作られていましたが、この付近からはオープンバーンになります。
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昨年の位ヶ原急斜面 2015ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版 Vol.3(2015/04/04) C ↓ |
先週の位ヶ原急斜面 ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版Vol.2(2016/03/26) C ↓ |
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今回の位ヶ原急斜面 先週とほぼ同じ、昨年より1メートル少ない |
位ヶ原急斜面の積雪は、先週とほぼ同じで、昨年より1メートル少ない状態です。また、過去5年間の中でも1メートル以上少ない状況です。なお、これまでは昨年より2メートルほど少ない状態が続いていましたが、昨年のこの週に積雪量が劇的に減少したため、昨年との差が1メートルに縮小しました。
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全山湿雪 |
午後の冷え込みがなく、パックされず滑りやすい状態 |
これまではツアーコース下部で湿雪でも、位ヶ原急斜面に差し掛かると雪質が改善していました。しかし、今回は全山湿雪...ただ、今日は午後になっても冷え込みがなく、パック・アイスバーンにはならなかったため、比較的滑りやすい状態でした。
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位ヶ原急斜面を登ってくるボーダーの方々 |
位ヶ原急斜面を登ってくるボーダーの方々...少しゲレンデでの滑走を楽しまれてからお越しになった模様。
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「WebSiteを参考にして来ました!初めてですが安心して登ることができました。」 |
初めてノリクラにお越しになったという左の方は、「メンバーの人にWebSiteのことを教えてもらい、今回初めてノリクラに来ました。ツアーコース内の注意点などが詳細に記載されていて、今日は初めてではあるものの、安心して登ることができました。」
事前に情報を入手し、予備知識があれば、安全にバックカントリーを楽しむことができます。今後もノリクラにお越しの場合は、参考になさって下さるようお願いいたします。
【位ヶ原急斜面と伊奈川の谷について】
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【本物】左の谷−位ヶ原急斜面(正規下山ルート) | 【偽物】右の谷−伊奈川の谷(間違えて何度も遭難あり) |
さて、こちらは位ヶ原急斜面を上から眺めたもの。左が「本物」で右が「偽物」です...
この2枚の画像は左右連続写真(※)で、左が本物の位ヶ原急斜面で。右は伊奈川の谷で位ヶ原急斜面ではありません。特に濃霧の時は同じような地形に見えてしまい、ツアーコースへ下山する際に間違えて伊奈川の谷へ進んで、これまで何度も遭難が発生しています。乗鞍岳春山バスが運行される4月下旬には、伊奈川に立ち入らないようにロープが設置されますが、この時期はありません。
(※ 実際には左右の画像の間に尾根部分があります。)
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位ヶ原急斜面と伊奈川の谷は隣り合っているので間違いやすい ノリクラ雪渓カレンダー冬〜春スキー版 |
ツアーコースの位ヶ原急斜面は青い部分、伊奈川の谷は赤い楕円の箇所です。ご覧のとおり隣接していて、大雪渓・位ヶ原や山頂方面から下山する際に間違いやすい位置にあります。位ヶ原急斜面や伊奈川の谷の周辺の位置関係は、ノリクラ雪渓カレンダー冬〜春スキー版 で確認できますので、ぜひ一度ご覧ください。
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伊奈川の谷−大きな岩場があるのが特徴(中央) |
伊奈川の谷には雪着きの悪い大きな岩場があり、これが位ヶ原急斜面との大きな違いです。濃霧の中でも、斜面の中に大きな岩場があるかどうか確認できるはずです。
【位ヶ原】
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位ヶ原 |
ツアーコース位ヶ原急斜面を登りきった先より、森林限界を超えて位ヶ原の台地に入ります。森林限界を超えると、天候・気候が急激に変化しますので、視界不良で先の木々が見えにくい状況なら、ここで撤退するようお願いいたします。
お昼前まではほとんど停滞状態だった雲の流れが、午後になってゆっくりと流れるようになり、日差しが戻ってきました。
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久しぶりのバックカントリーでここでもう十分! | 穏やかな気候の中で乾杯! |
「久しぶりのバックカントリーなので、今日はここで十分です。」と、高天ヶ原と剣ヶ峰をバックに乾杯です。この日の位ヶ原の気温は4℃、ほとんど風もなく、穏やかなコンディションです。冬の厳しさはもうなく、春本番です。
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昨年の位ヶ原 2015ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版 Vol.3(2015/04/04) C ↓ |
先週の位ヶ原 ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版Vol.2(2016/03/26) C ↓ |
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今回の位ヶ原 先週より5センチ減少 昨年より15センチ多い |
位ヶ原の積雪量は、先週より5センチも減少し、昨年より15センチ多い状況。先々週は初めて昨年より多い状態になり、先週は再び昨年より少なくなってしまいましたが、再び昨年より多い状態に戻ってきました。先週よりも減少しているにも関わらず、昨年よりも多い状態になったのは、昨年はこの週に劇的に減少したためです(前週より55センチ減少)。
昨年は例年以上に厳冬期の積雪量が多かったものの、厳冬期の間に降雨がなかったため下地が固く凍ることができず、この時期の暖かい雨で著しい雪解けとなってしまいました。推測ではありますが、今年は昨年とは逆の状態ですので、積雪量が少なくても、溶けにくいかもしれません。
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剣ヶ峰方面(左)と高天ヶ原方面(右) |
位ヶ原からは左に剣ヶ峰方面、右に高天ヶ原方面を望むことができます。この二つを詳細にみると...(↓)
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昨年の剣ヶ峰・蚕玉岳・朝日岳 2015ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版 Vol.3(2015/04/04) C |
今回の剣ヶ峰・蚕玉岳・朝日岳 昨年より積雪量が多い |
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昨年の摩利支天岳・すべり台 2015ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版 Vol.3(2015/04/04) C |
昨年の摩利支天岳・すべり台 昨年より少ないものの、その差が縮小 |
昨年はこの週に全山的に激しく雪解けし、特に剣ヶ峰方面はハイマツ帯がかなり出現してしまいました。そのため、今年は昨年よりも積雪量が多い状態になっています。また、摩利支天岳・すべり台方面は、昨年よりも積雪量が少ないものの、その差が縮小しています。
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雪解けとともにハイマツ帯 − 雷鳥の住処、ここで休憩しないようお願いいたします |
位ヶ原ではまだ、ハイマツ帯はほとんど見られませんが、すべり台方面ではご覧のようにハイマツ帯点在するようになってきました。ハイマツ帯は春以降、雷鳥の生息域になりますので、近づいたり、立ち入ることのないようお願いいたします。特に小休憩するときに、ハイマツ帯を選んで休憩される方がこれまでにも散見されていますが、休憩は雪の上でお願いいたします。
【大雪渓下部】
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ここからは大雪渓下部の様子をお伝えします。
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昨年の大雪渓下部 2015ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版 Vol.3(2015/04/04) C ↓ |
先週の大雪渓下部 ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版Vol.2(2016/03/26) C ↓ |
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今週の大雪渓下部 先週とほぼ同じ 昨年より50センチ少ない |
先週とほぼ同じで、昨年より50センチほど少ない状態です。先ほどの位ヶ原と同様に、昨年は劇的に積雪量が減少したため(前週より50センチ減少)、昨年との差が縮小しています(先週は前年比1メートル少ない状況でした)。大雪渓付近もこれから積雪量が増加し、例年だと、4月下旬〜ゴールデンウィーク前半あたりに最大積雪量が観測されます。
また、一昨年とほぼ同じ積雪量で、ここ数年は隔年で積雪量増減を繰り返す傾向を見せています。
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大雪渓入口の看板が見えてきた | 大雪渓内部に岩の頭が確認(赤丸部分) |
ただ、大雪渓入口にある看板の頭がすでに見えていて、この状況から考えると例年よりも積雪量が少ないことは間違いなさそうです。また、大雪渓内部に岩の頭が確認できます。
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モーグルコースの岩 今年は2014年と同様に埋まりそうにもない |
例年なら、完全に埋まっていてもよい時期ですが、この分だと、今年は姿を隠すことはないかもしれません。ただ、2014年も今年と同様に完全に埋まることはありませんでしたので、積雪が特別少ないという状況ではありません、また、夏スキーの時期、この岩の下にモーグルコースができるため、モーグルコースの岩と呼称させていただいております。
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トイレ・避難小屋方面 | この時期ガードロープが確認できるのはここ数年では初めて |
大雪渓入口から北側へ50メートルのところにトイレ小屋と避難小屋があります。右の画像では駐車場の石と道路のガードロープが確認できます。この時期にガードロープが確認できる状態は、ここ数年では初めてのことです。
右の画像の箇所は元来雪付きの良くない場所でです。
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トイレ小屋(冬季閉鎖中)−利用可能は5月下旬〜6月上旬以降 |
避難小屋・トイレは冬季閉鎖中で、乗鞍岳春山バスが大雪渓まで延長運行される5月下旬〜6月上旬に利用可能になります。この付近の積雪量は昨年とそれほど変わらない状況です。
<編集後記>
「雪景色の写真を撮りに来る方はお早目に...」
「えっ!もう雪がないんですか??」
なんて思われるかもしれませんが、そうではありません。そろそろ黄砂の時期がやってくるからです。
見た目にはあまりはっきりわかりませんが、カメラで撮影すると、純白ではなく使い古したタオルのように、なんとなく黄ばんだ感じになるんです。さらには空の青さも春霞のせいで、ノリクラらしいスカイブルーが煙ってしまいます。
ただ、まだ山頂方面はゴールデンウィークぐらいまでは、降雪に見舞われますので、降った翌日は真冬のような純白の山肌に戻りますので、そんなタイミングを狙ってお越しになればと思います。
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青空に映える位ヶ原の樹氷(5月中旬)−タイミングさえ合えば |
ご覧の画像は5月中旬の位ヶ原での様子。位ヶ原のダケカンバが見事な樹氷状態となり青空に映えています。。厳冬期の森林限界は乾いた雪が降るため、ダケカンバなどに着雪することがありません。しかし、これからの時期は着雪性の良い雪に変わってきますので、季節外れのまとまった降雪があれば、ご覧のように、位ヶ原周辺で樹氷に似た光景がみられる時があります。
ただし、この時期は天候が悪くなると厳冬期以上に濃い濃霧に見舞われることがあり、天候が回復すれば気温の上昇がかなり早いため、樹氷が午前中には溶け落ちてしまいます。そのため、タイミングがかなり難しいのも事実です。また、山頂方面はまだまだ冬の気候が残っています。お越しの際は冬装備、および、天候急変に備えた装備でお越しください。
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