ノリクラ 雪渓カレンダー

プレリリース版 Vol.7番外編(2008/04/30) A

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(Update:2008/05/15)

 

【位ヶ原までもう一息】

一休み

屋根板上部の上がってとりあえず一休みです。

振り返ることなく登ってきた大パノラマに思わずカメラを構えたくなります

ここまで振り返ることなく黙々と登ってきました。そして山麓からは眺めることのできない大パノラマに思わずカメラを構えたくなるものです。

 

位ヶ原の雪原に上がるにはもうひとがんばり必要です。4月26日(土)の降雪で真っ白になった山肌も昨日あたりから強い日差しに解け始め、所々に春の汚れた雪面が現れるようになって来ました。

これまではこんなにグサグサな雪質になることはあまりなく、ここ数日でかなり強い日差しが見られるようになり、初夏のような日差しに季節の移り変わりを感じます。

 

請野利(こうのり)さんの岩を過ぎればもう位ヶ原

そして請野利(こうのり)さんが祭られる岩を過ぎれば位ヶ原にたどり着きます。

位ヶ原にたどり着いてもグサグサの雪質は変わりません。ツアーコースからやってきて大雪渓・山頂方面に向かうスキーヤーなどとすれ違いなら、伊奈川方面に向かいます。

 

 

【位ヶ原、標識・ロープの設置】

ツアーコース近辺にはダケカンバが密集していますが、位ヶ原は大半が雪に埋もれ、真冬でもしっかりと幹を起こしているダケカンバは多くありません。したがって大雪渓からツアーコースへ向かう途中の大きなダケカンバの木は重要な目印となっていて、その枝には文字もすっかり消えてしまった標識があります。

 

古くなった標識の交換 − 自然公園内に設置の構造物は景観に調和する色彩が基本

今回はその古くなった標識を新しいものに交換します。本来なら濃霧のときでも良く目立つ色彩が良いとは思いますが、大雪渓や位ヶ原などの一帯は中部山岳国立公園の中でも最も規制の厳しい特別保護地区に指定されており、国立公園など自然公園内に設置される構造物は、色彩ならびに形態がその周辺の風致又は景観と著しく不調和でないこととされていることから、こげ茶などを基本とした調色となっています。

 

ロープの設置準備

標識などの点検の後、位ヶ原から伊奈川へつながる沢筋の手前に竹ざおとロープの設置が行われます。

 

伊奈川へ向かう沢にロープ設置 − 位ヶ原から沢沿いに降りると間違いやすい箇所、ツアーコースはこの付近から左へ

左の画像の左に見えるダケカンバがありますが、その向こうがツアーコースで、手前の少し沢状になった部分は左方向の位ヶ原からつながっていて、その沢をそのまま進むと伊奈川に流入します。したがって、位ヶ原から沢沿いに滑り降りてきた場合、この付近から左に変えてツアーコースへ向かう必要がありますが、濃霧の時やルートを熟知していない場合は間違いやすい箇所といえます。

 

今回は3つの沢のうち、2本の沢の手前に設置

したがって、今回は左に見えるダケカンバの木から伊奈川に流れ込む3つの沢のうちの左側(北側)と中央の2本の沢の手前にロープを設置します。

 

途中にはしっかりとした杭に様式も設置

こちらはツアーコース寄りの左の沢と中央の沢の中間にある尾根状の部分。しっかりとした杭が立てられ、ツアーコースへ向かう標識も設置します。伊奈川に差し掛かる沢を横切るようにロープを設置するため、ツアーコースへ戻るルートから大きく外れても必ず、このロープの差し掛かるため、後はこのロープの沿って左に進んでゆけば、ツアーコース上部のダケカンバの林に出ます。

 

ロープはさらに伸ばされてゆきます。

 

最終地点は剣ヶ峰の山裾に近いところに達します。

 

終端の杭にもしっかりと標識を取り付けます。

 

標識はこんな感じでいいですか〜?

このロープはツアーコースが雪解けで滑走できなくなる5月末まで設置され、その後はすべて撤去いたします。

 

設置完了!

大勢の方々の参加で、お昼過ぎには作業も完了しました。これからGW後半を迎え、多くのスキーヤー・ボーダーの方々が訪れるようになります。特に、春スキーバスが運行されると、地形を確認しながら登ってくることができず、これまでのシーズンにお越しになる方々よりも軽装でお越しになる方もいらっしゃり、安全に下山していただくためには重要な取り組みであることは間違いないでしょう。

このような地元の方々の取り組みでノリクラの環境や安全が守られていることを頭の片隅に感じながらノリクラを楽しんでいただけたら幸いです。

 

 

<編集後記>

すでにお伝えしたように5月10日(土)〜11日(日)の取材分のノリクラ雪渓カレンダーはお休みとさせていただきましたが、GW中の取材で未掲載分がありましたので番外編としてお伝えいたしました。

今回お伝えした番外編のとおり、GW中は初夏を思わせるような天候が続いたものの、翌週の5月10日(土)〜11日(日)は一転した天候となったことはすでに速報でお伝えいたしました。季節の移り変わりの時期は天候が不安定であることは山麓でも見られる現象ですが、高山ではそれが顕著に現れます。今回も一日で30センチほどの降雪がありました。厳冬期であれば特段珍しい積雪量ではないものの、春の汚れた雪の上に重く湿った雪が降り積もり、少しの衝撃で簡単にずれ落ちてしまうところが、真冬との違いといえるかもしれません。
5月11日(日)は位ヶ原からツアーコースへ降りる急斜面で雪崩が発生し、当日は春スキーバスが運休ということもあって訪れる方が少なかったことが幸いして被害はありませんでした。

ツアーコースといえども安全であるとはいえず、ツアーコースのすぐ隣の伊那川への沢はツアーコースとよく似ていて、そちらへの流入がこれまでにも問題となったことがありました。そんな中での標識設置やロープの敷設は訪れる方にとって安心感を与えてくれるものです。ただ、それがあるから濃霧の日でも大丈夫とは決して考えず、自ら安全対策をとった上でお越しになることをお願いいたします。

この記事を掲載する5月15日(木)は乗鞍スカイラインの開通日ですが、積雪のため、本日は通行止めとなりました。吹き溜まりで1メートル、畳平でも30〜40センチとなっていて、まだまだ、安定した天候ではないことがこのことからもわかります。乗鞍スカイラインはしばらくの間、通行止めとなるケースがありますのでご注意ください。

ノリクラ雪渓カレンダー 正式版のリリースは次回の取材分から実施を予定しておりますが、乗鞍スカイラインの状況が不安定であることから、しばらくの間はプレリリース版と同様、長野側から情報となります。引き続きご愛読のほど、よろしくお願いいたします。

 

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