ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.7(2008/06/28〜29) E

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(Update:2008/07/03)

 

【剣ヶ峰〜蚕玉岳稜線】

こちらは剣ヶ峰〜蚕玉岳稜線付近。

 

先週から稜線直下の積雪がなくなり、積雪のあるところまで急斜面を歩いて降りる必要があります。

 

稜線直下の雪解けが進む − 積雪は稜線から30〜90メートル下に

先週の段階では稜線から雪渓まで25〜55メートルほどの距離でしたが、今週は30〜90メートルに伸びています。昨年はまだ稜線から積雪が続いておりましたので、昨年よりも雪解けが早いことが分かります。

 

上部付近は岩の頭が多い 横幅は60メートル

積雪の始まる上部付近では所々で岩の頭が見え隠れする様態で、全体的に積雪量そのものが減少しています。また、横幅は先週の80メートルから60メートルへ狭くなってきています。ただ、上部にある岩さえ気をつければ、その先の滑走は問題ありません。

 

今回(2008/06/28)の唐草模様 先回(2008/06/22)の唐草模様

 位ヶ原の唐草模様は先週と比べて大きな変化をみせず、昨年よりも若干多い状況です。

 

全体の3分の1地点 −岩の頭が多くなる

稜線から県道までのうち、3分の1ほど滑り降りたところです。毎年、この付近から岩の頭が出始めて雪解けがさらに進むとこのエリアを境にバーンが上下に分離されます。

 

今回の3分の1地点の岩(2008/06/28) 先回の3分の1地点の岩(2008/06/21)

先週はまだ岩の頭が点在している状況でしたが、ご覧のようにかなりのエリアで岩が大きくなってきています。高さで70センチ程度の雪解けが見られます。稜線付近の雪解けは昨年よりも早いペースで進んでいますが、こちらに関しては昨年よりもやや遅い状況です。

 

岩の頭が出始めたこの箇所が沢筋の中で一番細くなっているところですが、横幅は先週の38メートルから15メートルに狭まっています。ただ、滑り降りることに関しては問題ありません。

沢の両岸の尾根が高くなってきました

雪解けにより沢の両岸にあるハイマツの尾根もかなり高くなってきました。

 

雷鳥(オス)

そんなハイマツ帯には雷鳥の姿を見かけることができます。時期的にはそろそろ雛が孵る頃と考えられますが、見かけるのはまだオスだけですので、もう少し先かもしれません。

 

砂浴び − 羽のお手入れ

そんなハイマツ帯傍らで砂地に体を擦り付けています。砂浴びと呼ばれる行為で、雷鳥に限らずほかの野鳥でもよく見られる光景です。羽につく寄生虫を取り除くためといわれていますが、夢中になって体をひっくり返す様子はなかなかユーモラスなものです。

 

高い所に上って様子をうかがう

それでもこちらの様子に気がついたようで、いつものように一番高い所に上って少しばかり警戒しながらこちらのようすをうかがっています。

全景

全体的に見ても稜線付近など上部エリア以外は先週と大きな変化を感じさせません。下部の緩斜面は凹凸が大きくなってきましたが、先週よりも角が取れてさほどの滑りにくさはありません。

 

県道乗鞍岳線 − 7月より冬季閉鎖解除

稜線から約1km近いロングランも県道乗鞍岳線に差し掛かると終了となります。この県道乗鞍岳線は三本滝ゲート〜畳平間が冬季閉鎖となっていましたが7月から解除され、バス・タクシーや自転車などの車両について通行ができるようになります。また、長野県側のシャトルバスに関しても運行が開始されます。

2003年から始まったマイカー規制とともに運行が開始となったシャトルバスは、昨年、岐阜県側では料金改定が行われ(大人往復:1800円→2000円)、長野県側シャトルバスについても今シーズンより、運賃改定が実施されます(大人往復:2000円 → 2400円に改定)。
詳しくは 2008シーズン 乗鞍岳マイカー規制・乗り換え駐車場・シャトルバス情報 長野県側(乗鞍高原〜畳平)のシャトルバス をご覧ください。

 

1.5メートルの積雪 − 昨年とほぼ同じ

今週は雪解けが遅く、先週から30センチ程度しか減少していません。したがって、先週の段階では昨年より1週間ほど早い雪解けを見せていましたが、今週は昨年とほぼ同じ状況となっています。
剣ヶ峰〜蚕玉岳稜線からの滑走は、例年の場合では全体の3分の1付近で岩が出てきてバーンを分断することで滑走できなくなる状況ですが、今年は稜線直下の積雪の減少が激しいため、今後は滑走が困難と予測されます。

  

 

【6月29日(日)は大雨】

大雨の畳平

28日(土)はまずまずの天候に恵まれましたが、夕方から降り出した雨が夜半にはまとまった雨脚をみせ、29日(日)は時折激しく降り付ける朝を迎えました。

 

始発のシャトルバスは運行された頃は雨は若干小降りとなるものの...

 

瞬間最大風速30メートル −バス停標識もなぎ倒される

西から吹き付ける風がかなり強くなって来ました。時折、突風が吹き、ご覧のようにバス停の案内標識もなぎ倒れてしまうほど。

 

このため、畳平のターミナルは営業を開始しているものの訪れる人はいません。

 

9時30分より乗鞍スカイラインは通行止め

降り始めから7時30分までの畳平での累積雨量は55mm、そして1時間後には65mmとなり、70mmの雨量規制値を超える状況となったことから、夫婦松にある乗鞍スカイライン管理事務所から9時30分に通行止めを実施したとの連絡が入ります。

 

売店の準備を進める最中の通行止め − スタッフの方々もすぐに下山

通行止めの措置がとられると、ターミナルの従業員の方々もすぐに下山しなければならず、売店の準備を始めようとした最中での下山となりました。

第3回 乗鞍天空マラソン − 雨の中、870人の選手が力走
画像提供:位ヶ原山荘

さて、長野県側の県道乗鞍岳線では、第3回 乗鞍天空マラソンが開催されました。例年、三本滝ゲートをスタートして大雪渓駐車場で折り返し、再び三本滝ゲートをゴールするコースレイアウトですが、この悪天候で、折り返し地点を冷泉小屋に下げ、スタート時間も30分遅らせての開催となりました。

 

【昨年の今ごろは?】

2007ノリクラ雪渓カレンダーVol.8(2007/06/30〜07/01)

取材前日の6月29日(金)は雨量規制で乗鞍スカイラインは15時30分から通行止めとなり、17時30分からは安房峠も通行止めとなる状態でした。そして30日(土)も断続的に雨は降り続き、このため乗鞍スカイラインは通行止め解除の決定が7時の開門直前になって決まる状況でした。その後は雨に降られることはありませんでしたが、ほぼ終日に渡って濃霧に覆われる一日となりました。

翌日の7月1日(日)は長野県側の乗鞍高原でもシャトルバスの運行が開始されました。この年は5月5日から運行開始された春スキーバスが大雪渓駐車場への区間延長運行が実施されなかったことから、この日を待っていたかのように多くのスキーヤー・ボーダーが大雪渓入口にある肩の小屋口バス停を降り立ちました。乗鞍高原には朝から青空が広がるまずまずの天候。大雪渓も10時までは夏空が広がりましたが、その後は、夕方まで霧に包まれる状況でしたが、多くのモーグラーの方々がきれいに作られたラインやエア台を堪能されていた光景が思い出されます。

 

<編集後記>

今回で1年の半分が過ぎました。7月は県道乗鞍岳線の冬季閉鎖が解除され、長野県側のシャトルバスの運行が開始されることから、ヒルクライムのトレーニングにお越しになる方や夏スキーに訪れる方が増えて、これまでの静けさからにぎやかな雰囲気へと変化して、色々な意味で6月とは様変わりします。次回は7月最初のノリクラ雪渓カレンダーをお届けすることとなりますが、雪解けとともに雪面状況や高山植物の変化など、大雪渓を中心としたテーマで構成することとなります。ただ、取材時間が許す限り、大雪渓に限定せずに情報を発信できればとも考えております。

 

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