ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.2(2011/04/02) C
【ツアーコース V − 位ヶ原急斜面】
こちらはツアーコース最後の位ヶ原急斜面。これまで樹林帯を切りとおしてコースが作られていましたが、この付近からはオープンバーンとなってきます。
位ヶ原急斜面の積雪は先週とほぼ同じ積雪量。昨年と比べて30センチほど少ない状況です。先週もお伝えしたように上部エリアは厳冬期よりもこれからのシーズンの方が積雪量が多くなる傾向を示してきます。
バーンは全面パックされています。左の画像では綺麗なターン弧を描いて滑走されていますが、右の画像のように箇所によってはパックした雪面にスキー板がもぐりこんでしまいスキー操作が困難な状態となっています。
前頁で山頂付近に雲がかかるようになって来たと申し上げましたが、ツアーコース内にも上部エリアから激しく雲が流れ込むようになって来ました。そして、遠景の視界も次第に霞んできます。晴れていて風もほとんど感じませんが、天候は明らかに悪化傾向です。
【位ヶ原】
この画像だけで位ヶ原の何処なのかお分かりでしょうか?ツアーコースから位ヶ原に入った途端、ご覧のように視界は完全に奪われ、現在位置すらわからないほどです。こうなると先に進むことが困難で引き返すしかありません。
また、自分の足跡をたどって引き返す場合も、視界の効く場所まで早急に移動する必要があります。視界が悪くなると同時に降雪が始まれば、自分の足跡も消滅してしまうからです。
こちらは天候のよいときの同一箇所の画像です。ご覧のように遠方には左に剣ヶ峰と右に摩利支天岳の二つのピークが並び、その鞍部に肩の小屋が確認できるまではっきりと望むことができます。
天候によって、これだけ状況が異なることがよくわかる画像かと思います。
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こちらは位ヶ原お花畑のある7号カーブ付近の様子。左の画像はニ週間前のもの、そして、右の画像は今週の様子です。カーブミラーの様子から積雪量が増えていることがわかります。
視界はさらに悪化し、この状態になったら完全に身動きできなくなります。
【大雪渓下部】
ここからは大雪渓下部の様子をお伝えします。
こちらは大雪渓入口付近。左上の画像は昨年同時期の様子、右上の画像は二週間前の様子です。二週間前と比べて増加傾向を見せていますが、昨年と比べて明らかに積雪量が少ないことがわかります。
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左の二週間前の画像では手前の標識の様子が確認できますが、今週は頭まで埋まっている様子が比較できます。大雪渓付近では、雪質の軽い厳冬期は強風に吹き飛ばされて積雪量が増えませんが、春になって湿気を含んでくると急激に積雪量が増加します。
大雪渓入口から北側へ50メートルのところにトイレ小屋と避難小屋があります。トイレ小屋・駐車場周辺は縁石が一部確認できますが、この付近はこれ以上の積雪量増加は今後見られないと考えられます。
手前のトイレ小屋と奥に見られる避難小屋は冬季閉鎖中です。例年六月頃に開放されます。天候はさらに悪化し、霰に近いような粒の小さい雪がばらばらと激しく降って来てきました。この状態になると、帰路を間違える確率がかなり高くなり、この天候になる前に引き返す必要があります。
<編集後記>
乗鞍高原から上部エリアまでの山並みは、シールやスノーシューだけでも登って行けるところが多く、比較的なだらかなイメージですが、スキー場の営業が終了したあとは、山麓から全て自力で登って行くこととなり、結構な長丁場のアクセスが強いられます。
もし、この長丁場のアクセスを厳冬期に求められたらと考えると、少し躊躇するかもしれません。真冬は何をするにしても効率が低下するように感じます。グローブ一つにとっても春よりも分厚いものが必要で、それだけとっても身動きしにくい状態だということがわかります。
「寒い」ということに恐怖感を覚えるようになると、少しの寒さを辛いと感じたり、臆病になることもあります。
それも「経験の体得」の一事象かもしれません。そんな些細な事の一つ一つを淡々と繰り返し、ノリクラ通いをライフワークの一つとして行くのでしょう...
■ご注意■
今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)
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