ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.17(2011/09/01〜02) A
【雪渓下部 T】
ここからは雪渓下部の様子をお伝えします。
取材を行った二日間は、大雪渓入口にある肩の小屋口バス停には立ち寄る人はなく、シャトルバスもこのバス停を素通りして、終点の畳平へ向かう様子が続きました。これほどまでに人出のない日は珍しい状況です。
昨年の大雪渓入口 2010ノリクラ 雪渓カレンダーVol.17(2010/09/04〜05) A ↓ |
先週の大雪渓入口 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.16(2011/08/25〜27) A ↓ |
こちらの三枚の画像は雪渓下部の全容を撮影したもの。先週は一つのバーンでいたが、今週は三つに分割されています。また、昨年の画像と比べると、ほぼ昨年並みということがわかります。
スキーヤー専用道 − ウラジロナナカマド | 先週とほとんど変わりありません |
こちらはスキーヤー専用道のウラジロナナカマド。実の様子は先週とほとんど変わりありません。また、葉のほうも色合いに変化は見られません。ほぼ昨年並みの推移を続けています。
大雪渓入口から北へ50メートルほどの所に肩の小屋への登山道入口があります。先週の雪渓と車道との幅は53メートルほどでしたが、今週は濃霧のため実測できず、距離は不明です。
そして、登山道入口付近は、ご覧のように、種々の高山植物の様子が見られます。
花の形を見るとブルーベリーなどの仲間のクロウスゴと見間違えますが、葉が肉厚で光沢があり、葉の縁は鋸状ですから区別がつきます。シラタマノキは常緑のため、ご覧のように季節とともに色合いに変化を見せますが、紅葉がすすんでも落葉はしません。このような現象はイワカガミでも同様に見られます。
これから紅葉の季節を迎えますが、ダケカンバやウラジロナナカマドといった高山帯を代表する植物の紅葉よりも、小さな高山植物の紅葉のほうが先に進み、小さな足元の世界も見逃すわけには行きません。
それまでひとつの雪渓は、先ほどお伝えしたように三箇所に分かれました。全体の横幅は20メートル。縦の長さは濃霧につき実測できませんでしたが、10メートル前後と推測されます。
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昨年の大雪渓入口 2010ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.17(2010/09/04〜05) A |
今週の大雪渓入口 ほぼ昨年並み |
こちらの画像は、雪渓下端から入口方面を撮影したもの。こちらに関しても、雪渓下端から大雪渓入口まで距離は濃霧で実測できませんでしたが、昨年の画像とほぼ同じ様態であることがわかります。ちなみに昨年の計測値は76メートルでした。
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昨年の大雪渓入口 2010ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.17(2010/09/04〜05) A |
今週の大雪渓入口 − 昨年並み 横幅は推定44メートル |
下端部分にはは車道沿いの入口付近より一段上に上がった帯状に広がる平坦な岩場があります。こちらの状況も昨年とほぼ同じであると考えられます。そのため、雪渓までの距離(横幅)は計測できませんでしたが、昨年と同じと推測すれば、44メートルということになります。
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昨年の雪渓下部全景 2010ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.17(2010/09/04〜05) A |
今週の雪渓下部全景 昨年よりやや遅い雪解け |
先週までは、ほぼ昨年並みの推移を示していましたが、雪渓下部の全景を比較すると、昨年よりもやや遅い雪解け状況であることがわかります。おそらく、次週には雪解けが完全に終了していることと考えられます。
そんな雪解けの状況を見守るかのように、華々しく咲き誇るイワギキョウ。すぐ足元に咲いているものの、コメススキの影に隠れてひっそりと咲き、人々の目を避けるかのような様子さえ感じられます。
前述のイワギキョウは、ちょうど見頃の時期を迎えていますが、大雪渓エリアは、チングルマの綿毛とコバイケイソウの結実の様子がいたるところで見られます。
先ほど、高山植物の紅葉が一歩リードして始まることをお伝えしましたが、山肌をいち早く黄色く見せるのは、コバイケイソウの紅葉です。こちらのコバイケイソウも黄色く色づき始めた様子が見られます。そして、たわわに実っている様子から、数年おきにしか咲かないといわれているコバイケイソウも、大雪渓エリアにおいては、今年は当たり年だったと考えられます。(→ Next)
■ご注意■
今回の大雪渓関連の記事はノリクラ初心者の方を対象にしておりません。ノリクラデビューをお考えの方は来年の夏シーズンをご検討ください。
これからの時期は天候の急変により降雪・凍結などで冬山の様相を呈します。今後、大雪渓に新雪が降った場合でも、急斜面とアイスバーンが残っていて、この時期にノリクラの雪渓で滑走されたことのない方や、ソフトブートのボードの方は絶対にお越しにならないようお願いいたします。
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