ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.25(2011/10/28〜30) B

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(Update:2011/11/03)

 

【雪渓下部】

ここからは雪渓下部の様子をお伝えします。

 

雪解けも高山植物も終わり殺風景な様子

雪渓下部は、9月中旬に雪解けが完了したあとは、高山植物の季節も終了して、変化の乏しい状況が続いています。

 

霜柱 − 日中になっても溶けない

例年、9月下旬から10月上旬に初雪があり、雪渓下部一帯は、10月中下旬ともなれば数回の降雪に見舞われて、所々に降雪の跡が点在する様子が見られます。

今年の乗鞍岳での初雪は、雪渓上部では9月22日に、畳平では10月7日に観測され、ほぼ、平年並みの状況。しかし、その後、暖かな日が続き、雪渓下部に新雪が残るほどの降雪にはいたっていません。

しかし、10月25日ごろから、平年並みの冷え込みとなり、霜柱が点在する様子が見られます。

 

石碑の岩

こちらは雪渓下部の南端に当たる石碑の岩。

 

チングルマ − 葉は完全に枯れる

石碑の岩 − 中日新聞社取材機「若鷹号」の墜落を偲んで

こちらは毎年定点でお伝えしている石碑の岩にあるチングルマ。完全に枯れてしまってます。こんな小さな高山植物ですが、チングルマは、冬を迎えると枯れてしまう草本(いわゆる「草」)ではなく、地上部分も枯れずに残る木本(いわゆる「木」)ですから、枯れているのは、葉の部分だけで、幹は来年の芽吹きの時期までは、雪の中でじーっと耐えしのいで行きます。

いつもお伝えしている石碑の岩ですが、岩の上部にプレートが埋め込まれています。昭和31年3月23日、大雪渓で耐寒訓練中の南極観測隊を取材する中日新聞社の取材機「若鷹号」が、墜落したことを偲んで作られた物です。

県道乗鞍岳線が畳平まで開通したのは、昭和38年のこと。その当時の登山や春スキーは、位ヶ原山荘や肩の小屋など上部エリアの山小屋を拠点としなければ難しい時代で、肩の小屋周辺には、複数の山小屋が存在していました。そんな中での訓練や事故対応は、大変なものがあったと推測できます。

 

現在は、車道が描く曲線も、風景のひとつとなっています。

 

【雪渓上部】

雪渓上部全景

それでは、雪渓上部の様子をお伝えします。

 

雪渓上部左側

こちらは雪渓上部左側。大雪渓の中でも急斜面のバーンが広がり、シーズン終盤まで積雪の残るエリアです。

大雪渓エリアの中でも最も遠方に位置することから、他のエリアが滑走可能なこの時期は訪れる方は少ない状況です。しかし、今後、他のエリアが滑走できなくなって、雪渓上部左側しか滑走できなくなる8月下旬頃になると、冷え込みの影響からバーンは硬くなってきて、スプーンカットのほか、大きな氷の柱が一面に現れ、初心者の滑走は困難な状況になって行きます。さらに、雪渓上部左側は他のエリアよりも急斜面であることに加え、バーン下部は全面岩場であるため、滑落すれば大怪我となる可能性もあります。

すでにお伝えしているとおり、雪渓上部右側の滑走が困難になり、滑走できるエリアは雪渓上部左側しかありません。したがって、今シーズンのノリクラデビューはもう出来ませんので、初めての方の滑走はご遠慮くださいますようお願いいたします。

 

渓上部左側 下端部分(落書きの岩)

雪渓上部左側の下端部分には、落書きの岩があります。落書きの岩から雪渓下端までの距離は90メートル。先週・先々週は濃霧で測定不能でしたが、三週間前は72メートルでした。また、前年同期より一週間早い時期は73メートルでした。

今年は10月中旬になっても高い気温の日が続き、雪解けが例年以上に進んでいる状態で、雪渓は昨年以上に小さくなっています。

 

先週の雪渓上部左側 下端部分
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.24(2011/10/22〜23) B
今週の雪渓上部左側 下端部分
まだまだ雪解けが続く

下端部分から見た様子ですが、雪渓から突き出る岩の頭の大きさを先週と比べてみても、まだまだ、雪解けが続いていることがはっきりとわかります。

 

日差しを受けて表面が溶け出す − しかしアイスバーンには変わらない

先週は完全に氷結して、バーン表面が鏡のように光っていました。しかし、今週は強い日差しを受けて、気泡がプチプチと音を立てて溶けてゆく様子が見られます。そのため、表面は小さな気泡でざらざらした状態ですが、バーン表面が緩むほどの雪解けではなく、アイスバーンであることには変わりありません。

 

三週間前の雪渓上部左側 上端部分
ノリクラ 雪渓カレンダーVol.22(2011/10/08〜09) B
今週の雪渓上部左側 上端部分
高さ1メートルほどの雪解け
先週の雪渓上部左側 上端部分
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.24(2011/10/22〜23) B
今週の雪渓上部左側 上端部分
高さ10〜20センチの雪解け

こちらは雪渓上端部分。三週間前と比較して高さ1メートルほどの雪解け、また、先週との比較では、10〜20センチ程度の雪解けが続いていることがわかります。

 

上端から − 下端部分まで21メートル

雪渓上部左側下端までの距離は21メートル。昨年の最短距離が49メートルでしたので、すでに半分以下となっています。

 

雪渓上部左側の中央部分で雪解け

雪渓上部左側の中央部分で雪解けが進み、ご覧のように岩場が析出してきました。11月上旬も気温の高い日が続くようですので、雪渓上部左側は、今後、左右に分離することとなり、分離した右側は、今後の雪解け状況によっては消滅する可能性もあります。

 

雪渓上部左側の左側部分
一部は2000年から続く雪が残る − 今年も残る可能性

こちらは雪渓上部左側の左側部分で、常連のスキーヤーが先週まで滑走していた箇所です。中央から雪解けが進んで、左右に分離し始めたことは、先ほど申し上げましたが、こちらの左側部分に関しては、今後、雪解けが進んで、雪渓の大きさが小さくなっても、おそらく、完全に雪解けすることは過去の例から考えにくく、また、11月1日(火)の朝には、山頂付近に冠雪が見られましたので、2000年から続いている積雪は今年も残ることと予測されます。

 

先週の雪渓上部左側の左側部分
ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.24(2011/10/22〜23) B
今週の雪渓上部左側の左側部分
 
  

常連のスキーヤーがスキー板の装着の足場としていた岩の頭も、雪解けで雪渓の外部に移動しています。10月下旬で目に見えるほどの雪解けは、あまり例のないことです。 Next


■ご注意■

今回の大雪渓関連の記事はノリクラ初心者の方を対象にしておりません。ノリクラデビューをお考えの方は来年の夏シーズンをご検討ください。
これからの時期は天候の急変により降雪・凍結などで冬山の様相を呈します。今後、大雪渓に新雪が降った場合でも、急斜面とアイスバーンが残っていて、この時期にノリクラの雪渓で滑走されたことのない方や、ソフトブートのボードの方は絶対にお越しにならないようお願いいたします。

 

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