ノリクラ 雪渓カレンダー
 
Vol.7(2012/06/22〜23) E

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(Update:2012/06/28)

 

【6月23日(日)、そろそろ春スキーシーズンも終盤】

観光センター前駐車場

取材二日目、6月23日(土)、朝7時の観光センター前駐車場。土曜日なのに駐車場内はは車の姿がありません。

 

駐車場南側 − 第7回天空マラソン開催のため一部制限 駐車場北側 − スキーヤー・ボーダーの方々の車が集中

第7回乗鞍天空マラソン開催のため、観光センター前駐車場は本日午後より大会会場となります。そのため、駐車スペースの南側半分が昨日夕方より利用制限されています。北側についてはいつものように利用できるため、ここから乗鞍岳春山バスに乗車しようとするスキーヤー・ボーダーの方々の車が集中して止まっています。

また、天空マラソンのゴールエリアとなる三本滝レストハウス前駐車場についても同様の措置が取られているため、春山バスを利用される方がこちらのほうに集まってきていることも関係しています。

 

綺麗に晴れ上がった朝 − 残雪模様

上空はやや薄いベールに包まれているものの、綺麗に晴れ上がった朝を迎えています。青空にノリクラの峰々が浮かぶ様子が見られますが、残雪よりもハイマツや岩場のほうが多くなってきて、季節が次第に次にシフトしてきている様子がうかがえます。

 

春山バスの停留所 − 沿道の路線バス停へ

駐車規制されているのは観光センター前駐車場だけでなく、乗鞍岳春山バスが停車する沿道の路線バス停留所付近もご覧のようにパイロンが立てられています。

 

春山バス始発便到着 今日は3台運行

今日の乗鞍岳春山バス始発便は3台が運行され、終点の大雪渓・肩の小屋口に向けて出発します。

 

車窓は完全に緑の景色

大雪渓・肩の小屋口バス停に向かう春山バスの車窓は、もう完全に緑の景色に包まれています。

 

ムラサキヤシオツツジ − 今が見頃

新緑が生い茂るようになってくると、そこには次第に花の世界も始まります。バスの車窓からでもはっきり確認できるほど綺麗なピンクを所々に見つけることができます。こちらはムラサキヤシオツツジ。標高1500メートル付近の乗鞍高原ではすでに見頃を過ぎていますが、標高2000メートル付近の摩利支天バス停から冷泉小屋付近までは、ちょうど今が見頃といえるでしょう。

 

7月1日の冬季閉鎖解除に向けてカーブミラー設置

現在、冬季閉鎖中の県道乗鞍岳線(エコーライン)は、次週末の7月1日(日)より冬季閉鎖が解除されます。そのため、カーブミラー・ガードロープなどの安全設備の設置が行われています。

先週あたりまでは、標高2230メートルの冷泉小屋を超えると緑の勢いがまだ十分とはいえませんでしたが、日に日に緑が濃くなっていく様子が感じられます。

 

位ヶ原山荘を過ぎる雪景色

そして、森林限界の標高2350メートルの位ヶ原山荘を越えると周囲は雪景色に...

 

唐草模様

残雪期特有のハイマツの緑が織り成す唐草模様はこの時期ならではのもの...

 

雪の壁が始まる − 位ヶ原5号カーブ

そして、雪の壁が随所に見られるようになり、バスの前を立ちはだかるほどの高さを有しています。

 

最も高い雪の大壁は高さ7.5メートル − 4号カーブ 大雪渓・肩の小屋口バス停に到着

この路線で最も高い雪の大壁は、現在でもまだ7.5メートルもの高さがあり、雪の大壁を過ぎると、終点の大雪渓・肩の小屋口バス停に到着です。

 

今シーズン最後の春スキーへ

春山バスを降りたスキーヤーがスキー板にシールを貼る準備も、そして、そのスキーで稜線に登って行く姿も、そろそろ終盤に差し掛かっています。こちらの常連の方も「今シーズンのスキーは今日が滑り収め...」と、おっしゃりながら、稜線に向けて駆け上がってゆきます。

 

こちらも今シーズンの滑り収めに...

今シーズンはノリクラには何回訪れたことでしょうか?「年寄りは諦めが悪いから...」と、おっしゃりながら最後のノリクラを楽しんでしらっします。

 

皆さんそろって!

今日はノリクラの名物ガイドが登山の方々をお連れしてきました。この一週間でノリクラは激しい雪解けに見舞われましたが、こちらの「ノリクラで最も熱い男」のせいかもしれませんね〜(笑)。

 

雲海に遠景の山並みが浮かぶ

早朝の青空から次第に雲量が増えて来ました。それでも、遠景の山並みをはっきりと見渡すことができ、その山麓には雲海がたなびく様子もあって、梅雨の時期にはなかなかこんな光景にはめぐり合えないものです。

 

やっぱり今日は今シーズン最後かな〜 そこに滑り降りてくる方は...

「真冬って、大雪渓はガチガチになるんですか〜」と、おっしゃるこちらの方。今年も春スキーシーズン開幕とともに何度も何度もお越しになりましたが、そんなノリクラ通いも今日が最後。

厳冬期になると肩の小屋よりも上部では、アイゼンが必要な世界となりますが、大雪渓エリアはシールでも登ることができます。問題はツアーコースを越えた先、大雪渓を含む位ヶ原より上部エリアは、極寒と強風・吹雪でツアーコース内とは比べ物にならないコンディションで、それに対応できるだけのモノがないと、いろいろな意味で「負けて」しまいます。

そんな立ち話をしていると、どんな極寒でも負けない冬のノリクラの常連の方が滑り降りてきます。いつも撮影時には「カメラぎりぎりまで接近してください」と、お願いしております。今回もいつものようにカメラの手前2メートルでターンを切り上げてくださいました。

 

蛍が飛び交うようになるとスキーシーズンも終わりです

先ほど出発時点でもお会いしましたが、今日は2本だけ滑走して今シーズンのスキーは終了します。まだ、お昼前ですが、今日はお昼の春山バスで下山して、これから乗鞍天空マラソンの大会受付に向かいます。

11月半ばから冬のノリクラシーズン入りされるこちらの方。まだ、その時期のツアーコースは上部エリアには雪はあるものの、入口付近は藪だらけ。そして、年が明けて元日には夜明け前からツアーコースを登り、屋根板での初滑りが恒例となっています。(今年の屋根板の初滑りの様子は、速報(2012/01/01) をご覧ください。)

「自宅近くで蛍が飛び交う夜を迎えると、そろそろスキーシーズンも終わり...」と、毎年おっしゃっています。そして、明日の乗鞍天空マラソンを無事に完走できれば、新たなシーズンへと時がつながって行きます。

 

【昨年の今ごろは?】

2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.7(2011/06/25〜26) @

6月25日(土)は、昨晩からの雨が止んで、激しく流れ行く雲間に青空がのぞき始めて、天候の回復が若干期待されました。しかし、山頂方面は厚い鉛色の空がびっしりと覆っていて、山頂付近の回復は少し遅れるものかと思いました。春山バスが到着した大雪渓付近は、予測どおりの濃霧。ただ、濃霧の一日でも、霧が抜けて視界が戻ってくる瞬間に取材をすることが可能なことが通常は多いものの、今日は一切濃霧が抜けることなく、全く取材にならなかった一日でした。

6月26日(日)は、昨晩からの雨が早朝にやんで曇り空の朝を迎えます。天候的にはまったく問題ない状態で、乗鞍スカイラインシャトルバスはAダイヤでの運行が始まりましたが、春山バスは、三本滝ゲート付近の落石のため、第一便は運休となりました。第二便についてはほぼ問題なく運行できる見込みであったものの、安全確認作業に時間を要し、第二便も運休。午後になって、天候は回復しきれいな青空が広がるようになり、最終便だけ運行されましたが、春山バスを目的にやってきたスキーヤー・ボーダーの方々、そして、山頂登山を目指して訪れた登山の方々には、まったくスケジュールの立たない一日となってしまいました。

 

<編集後記>

「半年間を振り返って...」

今年も半分が過ぎました。その半年を振り返って、今回の編集後記を記載したいと思います。

比較的、安全と考えられている乗鞍岳ですが、2011年・2010年には死亡事故が発生していて決して油断はできないものと考えられます。そして、この半年間を見ても、当方で把握しているだけでも、救助要請のあった事故は3件ありました。

2月5日(日)に発生した事故は、ツアーコース内を下山滑走中の単独スキーヤーが転倒し、右足脛を負傷ししたもの。当日の天候は曇りで視界の悪い状況ではありませんでした。救助は長野県防災ヘリにて行われ、松本市内の病院へ搬送されました。

3月18日(日)に発生した事故は、鶴ヶ沢付近から位ヶ原山荘方面に戻る登山者がルートを外れて道に迷い、急斜面に差し掛かって転倒。30〜50メートル(目測)を滑落し、立ち木に衝突して顔や足などを負傷したもの。当日の天候は曇りで視界が悪い状況ではありませんでしたが、昨晩からの雨が凍って一帯はアイスバーンとなっていて、装着していたアルミ製のわかんでは対応不能な状況でした。スキー場パトロールにより、現場付近からスキー場まで搬送され、その後、松本市内の病院へ搬送されました。

4月8日(日)に発生した事故は、大雪渓方面から下山滑走中、ツアーコースと間違えて前川本谷方面へ進入してしまったもの。当日は晴天でしたが、遭難した時点で現在地を把握することができず、登り返すことも困難だったことから、一晩ビバークしました。しかし、翌日も位置を把握することができず、地元の民間救助隊(遭対協)により無事救助されました。

いずれの事故も最悪の事態には至らなかったことが幸いかと思いますが、その事故に至るまでには、いろいろな要因があったように感じます。ここであえて3件の事案を提示したのは、身近にこのような事故が起きているということを改めて認識していただきたいからです。この3件をセンセーショナルな三面記事的な扱いをするのではなく、入山される方には、些細なことが重大な事故に発展しうることを十分認識して、これから始まる夏山シーズンも注意していただきたいと思うのです。

 

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