ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.9(2012/07/06〜07) D
【雪渓上部 U − 基礎キャンプ】
そして、【大雪渓に到着】のコーナーでもご紹介した、毎年、この時期には必ずお越しになる基礎キャンプの模様です。
昨年、「辛いよ〜苦しいよ〜でも楽しいよ〜」でノリクラデビューしました。さて、「...でも楽しいよ〜」という域に達することができたのでしょうか?「いや、まだまだ...でも、最終日には『でも楽しいよ〜』というレベルに達したいですね。」(参考 : 昨年の基礎キャンプの様子 → 2011ノリクラ 雪渓カレンダー シーズン Vol.9(2011/07/07〜09) F )
グローブは洗濯用のゴム手袋。「もって来てよかったです。昨年は暑くて使う機会はなかったんですが、今年はこんなに寒いなんて想像もできませんでした。やはり自然を甘く見てはいけないんですね。」
ウインターシーズンでは、いくら寒くても、雪でグローブがひどく濡れることは少ないものの、この時期に上から降る物は雨ですから、天候が悪ければグローブは濡れるものという概念が必要です。それに加えて、板を担いで上りますから、雨が降っていなくても、スキー板を握るグローブは濡れてしまいます。
そして、スキーを担いで登るときにグローブが濡れない方法をとる方もいらっしゃいます。
この基礎キャンプには何回通ったことでしょう...そこで培われた知恵は、小さなザックにスキー板を装着して登ってゆく方法です。これならグローブが濡れる状態を最小限にすることが可能で、さらにラクに登ってゆくことができます。登っては滑ることを朝から夕方まで、一日中繰り返すわけですから、ちょっとした工夫が疲労の蓄積を防ぐものです。
ゴールエリアでは、各人の滑りをチェックする鋭い目線が待っています。しかし、濃霧で視界が悪くても、その滑りに手を抜かないのは当然のこと...見てもらうために滑るのではなく、自分のモノにするために一本一本を大切に滑ります。
そんな濃霧の中の滑走でも、時折、山麓方面の視界が開けるときも見られます。
決して青空が広がっているわけではありません。それでも、濃霧の状態から比べれば、まさに「天空スキー」という感覚にさせられます。
そんな視界の開けた位ヶ原方面を望んで「緑の色合いが微妙にちがうんですねぇ〜」と、小さなな変化に気がつきます。自然への関心のない状態では、そんな細かな変化に気付かないものです。このノリクラにはスキーのトレーニングにお越しになっていますが、その前にノリクラという自然界の中に身を置いているという感覚を忘れてはなりません。
気温が低く、日差しのまったくない状態で、すごしやすい条件といえます。そのため、運動による発汗に気が付きにくいもの。喉が渇いた段階では、体の水分がすでに失われています。喉が渇いたというサインに気が付く前に、水分補給を定期的に実施されることをお勧めします。翌日への疲労の蓄積・持ち越しに大きな違いがあります。
「時には自己判断も必要でよい感覚を感じ取ってください。そうすれば滑りがぐっと変わり、スキーの走りが変わってきますから...」ポイントを抑えた短い言葉で伝えます。
ノリクラのキャンプ初参加 皆さんに勧められて... |
登りは心臓バクバク! |
今年初めてノリクラにお越しになったこちらの方。どうしてノリクラにお越しになったのかお聞きすると...「だって、ノリクラのキャンプには絶対参加しておかなきゃダメって、みんな言うもんですから...」
「(登りは)心臓がバクバクして、こんなに辛いとは思いませんでした。」と、おっしゃっています。しかし、慣れというものは恐ろしく、常連の中には、到着してすぐに滑り出す方もいらっしゃり、その状態に達するには、何年もノリクラに通って「高地トレーニング」するしかありません。
毎年続けるということは大変なことだと思います。生徒さんからの厚い信頼がこのキャンプの原動力の一つになっているようにも感じます。
先ほどから、鍬をお持ちになっている様子が随所に登場されていますが、指導の最中もコース整備を実施されていました。
そして、午後のレッスンを控えて、耕したバーンを全員で踏み固めます。
登って滑るという行為だけでも、一本一本の滑りを無駄にできないことを思い知らされるものですが、自分たちが滑るコースを自分たちで整備するから、一本一本どころか、ワンターンごとの滑りすら無駄にできない感覚にさせられるのです。
午前中のレッスン終了! | 駐車場に戻ってお昼休みだ! |
午前中のレッスンはこれで終了!大雪渓駐車場に戻ってお昼休みです。
午前中のレッスンが終わった開放感から、みんなで大雪渓入口までグリセードで降りて来ます。上手にブーツ底を滑らせて来る方もいらっしゃれば、なかなか思うように滑らせられない方もいらっしゃいます。
そんな中、バランスよくブーツを滑らせているメンバーの様子を見て、悪戯心に火がついた先生は、後ろからすかさず駆け寄ったと同時に、勢い良く背中をつかんで降り落とします。その直後、素知らぬ顔で何事もなかったように、その場を足早に立ち去って行くのです。なんて意地悪っ子なんでしょう...
もちろん、それまで調子よく滑っていたメンバーは、バランスを崩して転倒...
「う〜ん...も〜〜っ!」と、憤慨しながらも苦笑してしまいます...「辛いよ〜苦しいよ〜でも楽しいよ〜」という言葉は、実はこんなウイットに富んだ場面があるから、生まれたのかもしれませんね。(笑)(→ Next)
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