ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.9(2011/07/07〜09) F
【雪渓上部 T】
それでは雪渓上部の様子をお伝えします。【雪渓下部 V】 のコーナーでもお伝えしたように、雪渓上部から雪渓下部に滑り降りる部分の雪解けが進み、下山滑走のエリアが制限されるようになって来ました。昨年よりも一週間早い雪解け状況です。
雪渓上部は中央部分で上部から尾根が延びてきて、バーンは左右に分離してくるようになります。左右の分かれる尾根の一部が見え始めています。こちらは右側部分(雪渓上部右側)。中斜面が続き、ポールレッスンが盛んに行われるエリアです。
鉄塔土台 − 昨年より二週間早い雪解け | 雪渓上部から雪渓中段への連絡部分 |
左の画像は雪渓上部右側エリアの下部、ちょうど雪渓中段につながる位置にある鉄塔土台です。今週になってその姿をあらわすようになって来ました。先週からの雪解けは1.5メートル以上あり、昨年よりも二週間早い雪解け状況を見せています。
バーン全体にたけのこ状の氷柱が見られます。今日は日差しがあってバーンが緩んできていますので、滑走しにくい状況ではありますが、少し整備すれば、比較的容易にバーンをフラットにすることができます。
こちらは雪渓上部右側の上端部分。先週は昨年よりも一週間ほど早い雪解けでしたが、今週はかなり雪解けが進み、昨年よりも三週間も早い雪解け状況を示しています。
上端から雪渓下端までの距離は506メートル。こちらに関しては、昨年よりも一週間ほど早い雪解け状況にとどまっています。
海外でのスキー漬けの生活から帰国して、日本でもシーズンオフに滑走できるところはないかと、ネットで調べているうちにWebSiteを見つけ、ノリクラにお越しになるようになったとのことです。
最初にノリクラにやってきたのは春山バスが大雪渓入口まで延長運行された6月上旬。そのころはまだ稜線から大雪渓にかけて豊富な積雪があり、稜線からのロングランを楽しむことができました。WebSiteでノリクラを見つけることができて本当によかったと、おっしゃってくださいました。
WebSiteでノリクラを知り、さらにWebSiteで他の方々へノリクラを伝える...そんな循環の輪を大切にしたいものです。
やっぱり滑るのならば一番上から |
さて、こちらのボーダーの方は、5月中旬の稜線でお会いしました。昨シーズンはツボ足で稜線まで登ってこられましたが、今シーズンはスノーシューで登ってきて、ツボ足とスノーシューでは歩き易さにかなりの差があることをおっしゃっていました。
この時期ともなると、登行する距離が短くなり、さらに繰り返して滑走するスタイルとなるため、スキーヤーもボーダーもツボ足での登る様子が一般的となってきます。
しかし、その後ろからはシールで登ってくるスキーヤーの姿があります。
春山のスキーとしては今シーズン最後の滑り収めとのこと...あとはコブに入って夏スキーを続けられるとのことです。6月までの春山と7月以降の夏スキーでは楽しみ方に違いがあります。
その違いは、雪解けとともに稜線からの大滑走が楽しめなくなるというスケール的な違いとともに、雪面にスプーンカットが生じてしまい、大きくターンすることが困難になることも要因のひとつでしょう。そのため、夏スキーの場合は一定のエリアを整備して、繰り返し滑走するというスタイルになるわけです。
【雪渓上部 U − 基礎キャンプ】
先週に引き続き、今週も基礎キャンプが行われています。WebSiteでは「基礎キャンプ」という表現をしておりますが、スキーのジャンルの中に、「基礎スキー」というものがあります。踵を固定するタイプのスキーをジャンル分けするならば、モーグルとかレーシングといったものがありますが、その中でも基礎スキーはスキー操作に重点を置いて取り組むものです。
スキーの操作という点は、どのジャンルのスキーにおいても基本的に重要なため、「基礎スキー」といわれるわけで、「初心者のためのスキー」という意味ではなく、むしろ、初心者から上級者まで、基礎スキーに取り組むスキーヤーの層は幅広いといえます。
上級者になればなるほど、課題のスパイラルが渦を巻いてくるもの...おそらく、各人が取り組むポイントというのはそれぞれ把握されていることと思います。それはキャンプ中に先生から何度もアドバイスされているからです。それでも、滑走直前に再度アドバイスを受ければ、その一本の滑りを無駄にすることが少なくなるはず...
そして、先生自らがデモンストレーション...
メンバーは「コレ」を目指してこのキャンプに参加しているんでしょう...斜面を登るメンバーはその足を止めて、ターン弧の先を追う滑りを食い入るように見続けます。
どのスポーツ競技でもイメージ作りは大切と聞きます。何の目印のないフラットなバーンに、二本の板でどのような絵を描くか...スキーヤーの腕の見せ所かもしれませんね。
そして、青空には綿菓子のような雲がわき上がり、夏本番の風景が描かれるようになって来ました。
そして、こちらの方は今回初参加とのこと...「『(ノリクラのキャンプは)辛いよ〜、苦しいよ〜』と、代表から聞かされましたが、最後に付け加えられた、『でも、楽しいよ〜』という言葉に引き付けられてしまいました。しかし、『でも、楽しいよ〜』という境地には、まだ至っていません...」
しかし、その後にいたメンバーからは、「そのうちすぐに『楽しいよ〜』という風になりますよ」と、フォローを受けたりする場面もありました。
今年も滑走日数を更新中の常連のこちらの方。このペースで行くと昨年の記録を更新してしまうとのこと...おそらく、このキャンプに参加されている方の中には、少しでも雪上に立っている時間を多く作りたいと思っていらっしゃるのではないでしょうか?
一つクリアすると、また新たな課題が発生してしまう...その繰り返しがあるから、やめられないのかもしれませんね。
ムチのように厳しくも... | 「たまにはアメも欲しいよ〜」 |
課題の克服...時にはムチのように厳しく伝えられることも。その表現には何かのメッセージがこめられているのかもしれません。「たまにはアメも欲しいよ〜」と、弱音を吐きたくもなるかもしれません。でも、デキルと思うから(超えなきゃいけないと思うから)ムチが使われるのです。
青空に気を取り戻して挑戦が続きます。
それまでわざと寡黙にしてきたわけではなかったのですが、練習が終わった途端、会話に花が咲き始め、緊張がほぐれてくる様子が感じられるようになってきました。
「辛いよ〜、苦しいよ〜、でも 楽しいよ〜」があるからこそ、それぞれのメンバーはこのキャンプに参加し続けてしまうのでしょう...
今シーズンのノリクラでのキャンプは今回で終了です。「また来年も...」というお言葉を頂き、再びお会いできることを楽しみにしております。メンバーの方々の練習風景を傍らから見ていると、いろいろなドラマを感じ、スキーにかける情熱が伝わってくるものです。(→ Next)
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