ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.9(2011/07/07〜09) C
【大雪渓に到着】
大雪渓に到着した7時の気温は12℃。強弱を繰り返しながら風が吹き抜けて行きます。風に吹かれていても寒さをまったく感じさせない状況に、気温だけでは表現できない、季節の変化を肌に感じさせてくれます。この日(7月9日)は、昨日の東海地方に引き続き、関東甲信地方でも梅雨明けしました。肌で感じるのは夏の空気かもしれません。
バスのトランクからスキー板やポールを搬出します。
ポールをセッティングする前に、スプーンカットやたけのこ状の氷柱を削ってバーン整備する必要があり、早朝から大雪渓にやってくるのは、少しでも早く整備して、練習時間を確保するためです。
さて、コース整備といえば、コブ管理人...こちらも始発便でやって来ました。
この一週間は大雨に見舞われ、先週作成したコブラインはかなり手を加えなければならない状況。そんなコブラインを眺めて、落胆している時間はありません。モーグラーの方々がお越しになる前に、ある程度整備を進めなければなりません。
さて、始発便でお越しになったこちらの方...今年初めての再会ですが、今回も乗鞍高原に到着する夜行バスでお越しになりました。大雪渓避難小屋で朝食をとってから一日がスタートです。
公共交通機関を利用して乗鞍高原にお越しになる場合は、新島々発の乗鞍高原・休暇村行きの路線バスに乗車するのが一般的ですが、夏季限定で、新宿から乗鞍高原・上高地へ行く夜行バスもあります。
【雪渓下部 T】
ここからは雪渓下部の様子をお伝えします。
⇔ | ||
昨年の大雪渓入口付近 2010ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.9(2010/07/10〜11) A |
今週の大雪渓入口 昨年よりやや早い雪解け |
大雪渓入口付近の様子は、先週はほぼ昨年並みでしたが、今週は昨年よりもやや早い雪解け状況を示しています。
こちらは雪渓下端部分。車道まで10メートルほどで、ほぼ昨年並の状況です。
スキーヤー専用道 − ウラジロナナカマド | 若葉の芽吹きが勢いを増す |
雪渓上部につながるスキーヤー専用道沿いのウラジロナナカマド。先週はまだまばらに分布していた若葉の芽吹きが勢いを増し、緑一色に広がっています。
昨年は花のつぼみをつけたものが見られましたが、今年はまだその様子はありません。
登山道入口 | 車道との幅は4メートル − 昨年並み |
大雪渓入口から北へ50メートルほどの所に肩の小屋への登山道入口があります。先週は昨年よりもやや遅い雪解け状況を見せていました。登山道付近の雪渓と車道との幅は4メートルほどで、ほぼ昨年並みの雪解け状況です。
⇔ | ||
昨年の登山道入口付近 2010ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.9(2010/07/10〜11) A |
今週の登山道入口付近 昨年並み |
登山道入口付近の雪渓との高さを比べても、ほぼ昨年並みの状況であることがわかります。
入口付近の登山道は雪解けが進んで、高山植物の芽吹きが先週あたりから見られるようになって来ました。
⇒ | ||
昨年の登山道入口付近の高山植物 2010ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.9(2010/07/10〜11) A |
今週の登山道入口付近の高山植物 成長とともに特徴がはっきりと... |
先週はどの高山植物か種類がはっきりしない状況でしたが、ご覧のように成長とともに特徴がはっきりとしている様子が伺えます。
コバイケイソウ | シナノキンバイ − つぼみが黄色くなる |
左の画像はコバイケイソウ。コバイケイソウは毎年花をつけないことで有名ですが、昨年の大雪渓エリアでは花をつけるものが少ない状況でした。今年はたくさんのコバイケイソウが花をつけることを期待したいところです。
そして、右の画像はシナノキンバイ。ご覧のようにつぼみ黄色くなり始めている様子がわかります。通常、つぼみの外皮は、花が咲くと花弁(カベン−花びらのこと)を支える萼(ガク)となりますので、通常は緑色です。
シナノキンバイは、ミヤマキンバイやミヤマキンポウゲなどと同様に、黄色の花をつけますが、シナノキンバイの場合、花弁と見られている黄色の花びらは、萼が大きくなったものなのです。そのため、つぼみの外皮は、ご覧のように黄色く変化し始めているのです。
肩の小屋への登山道は、画像の奥に映るモーグルコースの岩の左側へと続いて行きます。登山道入口から33メートルほど進むと、ご覧のように、この先は積雪があります。そして、モーグルコースの岩まで85メートル。ほぼ、昨年並みの積雪状況です。この部分は、斜度の傾斜がきついため、冷え込んでバーンの硬いときはアイゼンなどの装備が必要となります。
この付近は、例年、7月下旬〜8月上旬まで積雪があります。(→ Next)
Copyright (C) 乗鞍香辛料監視委員会 |
|