ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.10(2014/07/11〜12) @

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(Update:2014/07/17)

 

今回は、7月13日(日)に第11回乗鞍スカイラインサイクルヒルクライムが開催された都合から、1日前倒しして11日(金)と12日(土)の様子をお届けします。なお、第11回乗鞍スカイラインサイクルヒルクライムの特集は、7月下旬に掲載を予定しています。

さて、各地で甚大な被害をもたらした台風8号の影響が心配されましたが、乗鞍地域においては風雨共にそれほど強いものではなく、台風の通過した7月10日(木)も、通過後の7月11日も、岐阜県側の乗鞍スカイライン、及び、長野県側の県道乗鞍岳線共に、通常通りの通行ができました。

7月11日(金)は、霧雨の朝を迎えます。まだ、台風の余波が残っている状況で、大雪渓付近の午前中を中心に濃霧に見舞われます。また、県道乗鞍岳線沿線では、普段は流れのない小さな沢や滝が勢い良く流れているものの激しい濁流ではなく、想像よりも雨量は少なかったようでした。その後、雨は次第に収まりますが、台風の雨の影響でバーンはやや固めの状況。とても整備しなければ滑走できないほどで、モーグルコースでは整備にかなりの時間を費やす様子が見られました。午後になって台風の影響がなくなると、急激に青空がひろがって天候が回復しました。

7月12日(土)は、台風一過の快晴の朝を迎えます。空気感もさわやかな感じで、日が高くなっても一向に暑さを感じさせません。8時の大雪渓は8℃しか気温がありませんが、風に吹かれる感覚が非常に気持ちよいもので、今日の大雪渓は暑さ知らずの一日となりました。先週に引き続きポールが林立し、また、モーグルバーンもいつもの盛況振りが見られ、雰囲気的にも天候的にも、完全に夏本番の状況が見られました。午後から、明日開催される第11回乗鞍スカイラインサイクルヒルクライムの大会会場である殿下平総合交流ターミナルに向かいます。気温が27℃と高めの状態ですが、ジリジリと照りつけるほどの暑さではなく、日陰に逃げ込まなくてはならないほどではありません。選手の方々も続々と到着して受付を済ませて計測チップの取り付けや、自転車関連の商品を展示するブースを散策する様子が夕方まで続きました。

<乗鞍岳登山道(大雪渓・稜線付近)の積雪量>
稜線付近は例年よりも多い状態が続いています。注意が必要なのは、朝日岳直下と大雪渓〜肩の小屋の2箇所ですが、朝日岳直下についてはかなり雪解けが進んでいます。

●朝日岳直下は例年より積雪量が多い状態が続いていましたが、雪解けが進んで、先週までは雪の下だった登山道の九十九折れ部分がかなり現れて来ました。また、朝日岳直下は全体的には積雪量はあるものの、登山道部分だけ雪解けが進んでいて、登山道上の積雪区間は先週の50メートルから20メートルへと大幅に短くなりました。ただ、雪解けの影響から、ステップ(踏み跡)もなくなってしまい、急斜面を真横にトラバースできるようなステップがしっかりできるまでは、若干、苦労するかもしれません。なお、この部分は、例年、7月上中旬ごろまで積雪が残っています。

●大雪渓の登山道入口から肩の小屋も雪解けが進んでいて、一部区間(距離約120メートル)で登山道が現れています。ただ、雪渓からわざわざ登山道にルートを変更する必要があり、結局はそのまま雪渓の上を歩かざるを得ないため、全区間(距離約700メートル)雪の上を歩く必要があります。朝日岳直下と異なり、冷え込むとかなり硬くなる状況が見られます。特に大雪渓の登山道入口から約100メートルのところにある岩(モーグルコースの岩)付近はやや勾配が急で、登りでもかなりスリップしやすい状況です。そのため、この岩の付近は冷え込んだ場合はアイゼンが必要と考えられ、例年、7月下旬〜8月上旬まで積雪が残っています。

◎ 今回の目次

Page-1 : 【7月12日(土)、観光センター前駐車場】       【観光センターから大雪渓へ、沿道の風景 T】
Page-2 : 【観光センターから大雪渓へ、沿道の風景 U】       【大雪渓に到着】
Page-3 : 【雪渓下部 T】       【雪渓下部 U、モーグルコース】
Page-4 : 【雪渓中段】       【雪渓上部 T】       【雪渓上部 U、基礎キャンプ】
Page-5 : 【肩の小屋】       【山頂までの登山道 (肩の小屋〜稜線)】
Page-6 : 【畳平、お花畑】       【昨年の今ごろは?】       <編集後記>

【大雪渓から肩の小屋への登山道の積雪状況(7月12日現在)】   (Page-3)
【乗鞍岳積雪状況−剣ヶ峰・蚕玉岳・朝日岳登山道の積雪状況(7月12日現在)】   (Page-5)

●参考資料●
(大雪渓夏スキー 概要) − ノリクラガイドマップ(春〜夏スキー山頂版)

 

【7月12日(土)、観光センター前駐車場】

観光センター前駐車場

早朝6時の観光センター前駐車場。

 

青空の朝 週末らしい賑わいに

朝日がノリクラの峰々に差し込む時間帯では、雲ひとつない状態でしたが、現在は山頂方面に若干雲がかかっています。それでも綺麗な青空が続き、天候急変の心配は全く感じさせません。そして、6時の時点で55台のマイカーがお越しになり、朝一番から賑やかな雰囲気に包まれています。この時期の週末の台数としてはやや少なめですが、極端に少ない状況ではありません。

 

シャトルバス始発便(7月10日から終点畳平まで運行) 行き先表示も「乗鞍山頂(畳平)」に

こちらは始発のシャトルバス。先週までは行き先表示が「大雪渓・肩の小屋口」でしたが、7月10日に県道乗鞍岳線が全面開通したため、シャトルバスも通常の運行体制となり、終点の畳平まで運行されます。

そのため、行き先表示は「乗鞍山頂(畳平)」に変更されています。この行き先表示ですが、一般観光客の中にはシャトルバスが山頂まで行くものと思っていらっしゃるケースもあるようです。畳平から乗鞍岳山頂(一般的には主峰剣ヶ峰の山頂)まで、距離約3km、標高差300メートルを登山する必要があります。

 

登山客が乗り込む 今日は新人車掌と二名体制で

今日は車掌さんが2人乗車されています。右の方は新人の車掌さん。バス停とは別に対向場所などの地名なども覚えなければならず、まだまだ、これから一歩一歩です。

 

タクシー乗り場

そして、こちらはタクシー乗り場。

 

ご自身で撮影された写真をアルバムに

こちらの運転手さんはご自身で撮影されたノリクラの風景をアルバムに整理して、お客様にご覧頂いてます。雷鳥の親子の様子など貴重な画像もありました。「私と一緒ならいつでも雷鳥に会えますから...」こんな運転手さんと一緒でしたら、いい写真が撮れるに違いありません。

 

ヒルクライムの本格的なシーズンが到来

先週までとは異なり、今日は自転車の準備光景があちこちで見られました。ヒルクライムの本格的なシーズンが到来したように感じられます。

 

【観光センターから大雪渓へ、沿道の風景 T】

ここからは大雪渓までの沿道の様子をお伝えします。

 

アヤメ ウツボグサ

先週咲き始めたアヤメ。咲いてはいますが、少し勢いがなくなってきました。それにかわって見られるのがウツボグサ(靫草、シソ科ウツボグサ属)。弓矢の矢をぬらさないための筒を「靫、うつぼ」と言いますが、花穂がそれに似ているところからこのように呼ばれています。別名に夏枯草(かごそう)と呼ばれ、夏枯草はウツボクサの花穂の生薬名です。現在でも生薬として販売されています。

 

ミヤマオダマキ − まだつぼみ

こちらは変わった形をした山野草、ミヤマオダマキ(深山苧環、キンポウゲ科オダマキ属)。おそらく、次回は開花したものをご紹介できるかと思いますので、そのときに詳細についてお伝えします。

 

休暇村の入口にヤマボウシ

さて、こちらは休暇村。ちょうど入口にヤマボウシ(山法師、ミズキ科ミズキ属)が咲いている様子を、先週お伝えいたしました。

 

先週のヤマボウシ
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.9(2014/07/05〜06) @
今週のヤマボウシ
先週と何も変わらなくても、今週になって変化がある

左が先週のヤマボウシ、そして、右が今週のヤマボウシ。先週もお伝えしましたが、4枚の大きな花弁に見えるのものは、総苞片(そうほうへん)と呼ばれる花序全体を包み込む器官。花ではないため、比較的長く「華」を楽しむことができますが、こちらのヤマボウシは「開花」してから3週間以上が経過しているはずです。

さて、何も変わらないこちらの2つですが今週になって変化が見られます。違いがお分かりでしょうか?

 

中心部分の花が咲き始めた − 本物の花が咲く

中心部分の花が咲き始めました。総苞片はすでに3週間も前に「咲いた」のですが、今週になって本物の花が咲いたというわけです。

 

ノイバラ(野茨)

さて、さらに近くを見回してみると、ノイバラ(野茨、バラ科バラ属)があちこちで咲いています。乗鞍高原だけでなく、各地で見られるポピュラーな植物です。

 

「茨」というだけあって鋭い棘 咲き始めの淡いピンクが優しい

「茨(イバラ)」は棘のある木の総称で、バラの古い読み方ともされています。ご覧のようにカギ状の尖った棘が枝に見られます。ノイバラの自生しているところに行くと、ザックカバーやレインウェアに引っかかり、知らない間に穴だらけという状態になります。もちろん、直接刺さると引っかき傷のもとになります。

咲いてしまうと白い花ですが、右の画像のような咲き始めは淡いピンク色で、こんなノイバラを探しながら散策するのも楽しいものです。可憐な花の容姿とは対照的な鋭い棘、さすがにバラの代表であるノイバラですね。

 

東大ヒュッテ口バス停 ひときわ高くまで花をつける(高さ数メートル)

さらにすすんで、東大ヒュッテ口バス停(とうだいひゅってぐち)。多分、このバス停名に不思議に思う方もいらっしゃるかと思いますが、この森を徒歩で5分程度入ったところに「東大ヒュッテ」という建物があります。孫市平(まごいちだいら)と呼ばれる場所で、乗鞍高原とはまた別の雰囲気が感じられる場所です。東大ヒュッテは東京大学の施設のため、一般の方の利用はできませんが、孫市平の雰囲気はなかなかよいものがあります。

さて、話がそれてしまいましたが、ひときわ高くまで花をつけている植物が目に飛び込んできます。

 

ツルアジサイ − 装飾花が4枚 蔓を絡ませて上へと伸びる

こちらはツルアジサイ(蔓紫陽花、ユキノシタ科アジサイ属)、樹木や岩壁に這う蔓を伸ばし、一見するとその樹木がこのような花を咲かしているように錯覚します。同じように蔓を這わせるイワガラミがありますが装飾花が1枚で、ツルアジサイはご覧のように装飾花が4枚です。先ほどのヤマボウシと同様にアジサイの仲間も、花のように見えるのは実際の花ではありません。

蔓で巻きついてどんどん高くまで伸びるため、結構良く目立つものです。

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