ノリクラ 雪渓カレンダープレリリース版

Vol.5(2015/04/18) C

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(Update:2015/04/23)

 

【ツアーコースV−位ヶ原急斜面】

ツアーコース − 位ヶ原急斜面

こちらはツアーコース最後の位ヶ原急斜面。これまで樹林帯を切りとおしてコースが作られていましたが、この付近からはオープンバーンになります。

 

昨年の位ヶ原急斜面
2014ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.5(2014/04/19) C

先週の位ヶ原急斜面
ノリクラ 雪渓カレンダー 
プレリリース版 Vol.4(2015/04/11) C

今週の位ヶ原急斜面
先週より30センチ増加、昨年とほぼ同じ状態

位ヶ原急斜面の積雪は、先週より30センチ増加し、昨年とほぼ同じ状態です。数日前の降雪は森林限界近くから急に増え、場所によって異なるものの、位ヶ原から大雪渓にかけて目立って多くなっています。

 

「今日は休暇村から歩いてきたんですよ。」 − 歩くことに楽しみを感じる、それが大切

「今日は休暇村から歩いてきたんですよ。」と、おっしゃるこちらの方。路線バスでお越しになった場合は、休暇村が終点になりますので、ここから登らざるを得ないところですが、「いいえ...そうではなく、休暇村ゲレンデを歩くの好きなんですよ〜。」とのこと...

やはり歩くことを楽しみにされる方は結構いらっしゃり、スキーは滑る道具ではなく、歩くための道具とっても差し支えないでしょう。ゆっくりとフィールドを楽しむ感覚が一番大切だと思います。

 

パウダーに近い柔らかさ

数日前の新雪にはパウダーに近い柔らかさを感じるようになります。

 

比較的滑りやすい雪質

もっとも、厳冬期のパウダーと比べると軽さはなく、厳冬期の基準で考えれば、かなりの湿雪であることは間違いありません。それでも、足にまとわりつくような重たい湿雪ではなく、比較的滑りやすい状態だったといえます。

 

【下山ルート】位ヶ原急斜面 【ルート間違い】伊奈川の谷 −過去に何度も遭難発生 

こちらは位ヶ原急斜面周辺を上から見た画像。左は位ヶ原急斜面で右はその隣にある伊奈川の谷です。特に濃霧の時は同じような地形に見えてしまい、ツアーコースへ下山する際に間違えて伊奈川の谷へ進み、これまで何度も遭難が発生しています。乗鞍岳春山バスが運行される4月下旬には、伊奈川に立ち入らないようにロープが設置されますが、この時期はありませんので注意が必要です。

 

本日もルート間違いされる方が...
位ヶ原急斜面を振り返って確認してから上部へ進んでください
(迷っている様子を見かけたら、躊躇せずに声掛けを!)

そのため、下山ルートを間違える方がいらっしゃり、今回も伊奈川の谷の上部で迷って右往左往されている方や、先行者のトレースを頼りに伊奈川よりさらに先へ滑り込んでしまう方などが確認され、その都度、現場から正規ルートへご案内・誘導させていただきました。(迷っていらっしゃる方を見かけたら、皆様も躊躇せずにお声をかけてください。)

下山ルートを把握するためにも、ツアーコース位ヶ原急斜面からその先の位ヶ原に出る前には、必ず、振り返って位ヶ原急斜面の形状などをしっかりと把握してください。

 

位ヶ原急斜面と伊奈川の谷は隣り合っているので間違いやすい
ノリクラガイドマップ冬スキー版

ツアーコースの位ヶ原急斜面は青い部分、伊奈川の谷は赤い楕円の箇所です。ご覧のとおり隣接していて、大雪渓・位ヶ原や山頂方面からツアーコースに下山する際、間違いやすい位置にあります。位ヶ原急斜面と伊奈川の谷、その周辺の位置関係は、ノリクラガイドマップ冬スキー版 で確認できますので、ぜひ一度ご覧ください。

また、これからの春スキーに向けて ノリクラガイドマップ春スキー版 もリニューアルいたしましたので併せてご確認ください。4月25日(土)より運行が開始される乗鞍岳春山バスで春スキーにお越しになる方には、ぜひともご覧いただきたいと思います。

 

【位ヶ原】

位ヶ原

ツアーコースを登りきった先の位ヶ原。標高約2500メートルの台地は森林限界を超えます。目印となる木々が極端に乏しくなってきます。

 

先週の位ヶ原
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.4(2015/04/11) C
今週の位ヶ原
先週より20センチ減少

位ヶ原の積雪量は、先週よりも20センチ少ない状態。ただ、ツアーコース位ヶ原急斜面より上部は全体的に積雪量が増加していますので、測定地点のみ積雪量が減少したものと考えられます。それは画像背後のハイマツ帯の状態をご覧くだされば一目瞭然です。

 

先週の位ヶ原(ハイマツ帯)
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.4(2015/04/11) C
今週の位ヶ原(ハイマツ帯)
降雪でハイマツ帯がかなり埋まる

ご覧のように、数日前の降雪でハイマツ帯がかなり埋まっている様子が確認できます。

 

今後の雪解けスピードを抑えるまでの積雪量ではない

それでもハイマツ帯全体を覆い隠すほどの降雪ではなく、今後の雪解けスピードを抑えるまでの効果はあまりないかもしれません。

 

昨年の剣ヶ峰方面
2014ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.5(2014/04/19) C

先週の剣ヶ峰方面
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.4(2015/04/11) C

今週の剣ヶ峰方面
裾のハイマツ帯部分が再び冠雪

こちらは剣ヶ峰方面。先週は裾のハイマツ帯がほぼ完全に出てしまったものの、それを覆い隠す程度まで回復しています。位ヶ原付近よりも積雪量が多いのかもしれません。

 

昨年の摩利支天岳方面
2014ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.5(2014/04/19) C

先週の摩利支天岳方面
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.4(2015/04/11) C

今週の摩利支天岳
剣ヶ峰方面より若干降雪量が少ない

摩利支天岳方面は、剣ヶ峰方面よりも若干降雪量が少ない様子ですが、それでも、かなりハイマツ帯が埋め戻されています。

 


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大黒岳方面 鶴ヶ沢と富士見沢の間の尾根 − 雪解けで一本のラインが

そして、こちらは大黒岳方面。鶴ヶ沢の隣にある大黒岳山頂から延びる尾根(赤枠の上の部分)はハイマツ帯を埋め戻すほどの降雪ではなかった模様。そして、鶴ヶ沢と富士見沢の間の小高い尾根部分(赤枠部分)は雪解けが進んで一本のラインが確認できます。

 

【大雪渓下部】

ここからは大雪渓下部の様子をお伝えします。

 

昨年の大雪渓入口
2014ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.5(2014/04/19) C

昨年の大雪渓入口
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.4(2015/04/11) C

今週の大雪渓入口
先週より30センチ減少、昨年より50センチ多い

先週よりも30センチ増加して、昨年より50センチほど積雪量が多い状態です。大雪渓はゴールデンウィーク前あたりに最大積雪量を迎えますので、もう少し増加することが期待されます。

厳冬期は乾いた雪質のため、絶えず強風にさらされる大雪渓や位ヶ原では積雪量が増加しません。そのため、厳冬期に入っても大雪渓内には最後まで姿を見せている大岩(※)があり、例年なら3月以降になってその姿がようやく埋没するのですが、今年は2月には完全に埋没してしまいました。(※当WebSiteでは「モーグルコースの岩」と呼んでいる大岩です。)

 

大雪渓入口から北側へ50メートルのところにトイレ小屋と避難小屋があります。

トイレ小屋(冬季閉鎖中)−利用可能は5月下旬〜6月上旬以降

この時期はどちらの小屋も閉鎖されていて使用できません。利用できるようになるのは、乗鞍岳春山バスが大雪渓まで延長運行される5月下旬〜6月上旬以降です。

 

「最後のパウダーになるかもしれないので...」 − シールを装着してもう一度登り返す

トイレ小屋の前では何人かの方が休憩され、下山滑走のためにシールをはがす様子が確認できます。しかし、こちらの方は逆にシールを装着されています。「最後のパウダーになるかもしれませんので、もったいないから、もう一本滑り直します。」と、おっしゃって登り始めました。

午後になって、風も収まり穏やかな状態となり、夕方近くまで滑走を楽しむ様子が見られました。

 

【大雪渓からツアーコースへの下山ルート】

大雪渓からの下山−濃霧時はハイマツ帯を目印に
【山頂・大雪渓・位ヶ原からツアーコースに戻る下山ルート】

さて、いつもお伝えしている大雪渓からの下山滑走です。晴天時は問題ないかと思うもの、前にも述べたように、今日のような快晴でも位ヶ原急斜面がわからずに迷う方が結構いらっしゃいます。初回の ノリクラ雪渓カレンダー2015シーズンプレリリース版 Vol.1(2015/03/21) C 【山頂・大雪渓・位ヶ原からツアーコースに戻る下山ルート】 でも、下山ルートを紹介しておりますので、合わせてご覧ください。

 


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斜め下(斜め右)へ 前方のダケカンバ林へ

先ほどのトイレ小屋からのハイマツ帯の切れたところから、やや斜め下(斜め右)方向に進み、前方に見えるダケカンバの林に向けて進んでください。

 


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カーブミラーのポール(7号カーブ) 前方のダケカンバ林へ

そうすると道路のカーブミラーのポール(7号カーブ)が見えます。このポールを少し右に巻くようにしてその先のダケカンバの林に向かいます。

 

カーブミラーのポール(7号カーブ) 7号カーブ付近の特徴あるダケカンバ

こちらは7号カーブ付近の様子。このほかにもカーブミラーのポールがありますので、初めての方はどのポールなのかわかりづらいかと思いますが、7号カーブの北側(摩利支天岳方面)には特徴あるダケカンバがありますのでそれが目印です。

 


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ダケカンバ林を抜けて... 再び現れるダケカンバ林の先が位ヶ原急斜面

先のダケカンバの林を通過すると、再び同じような光景の場所に出ます。こちらも同じようにダケカンバの林を通過してください。その先が位ヶ原急斜面です。

 

ツアーコースの位ヶ原急斜面にたどり着く

そうすると、ツアーコースの位ヶ原急斜面のトップにたどり着くことが可能で、この先は樹林帯を切り通して作られたツアーコースですから迷う心配は少ないと思います。

 

先行者のトレースには十分注意
【目安】 − 正規のルートには多数のトレース(左:位ヶ原急斜面)、間違ったルートにはトレースが少ない(右:伊奈川上部)

さて、先行者のトレースに追尾した結果、ルートを間違えるケースが多くあります。先行者のルートが必ずしも正しいものとは言えないからです。

左の画像は大雪渓方面からツアーコースに入る位ヶ原急斜面。正規の下山ルートですから無数のトレースが確認できます。それに引き換え、右の画像は下山ルートではない伊奈川上部では、トレースが1本もしくは数本しかありません。週末は何十人もの入山者がありますから、正規の下山ルートでトレースが数本しかないということはありえないはず...

そのため、この時点でルートが間違っていることを認識できれば、容易にルートをもとに戻すことが可能ですが、さらに滑り込んでしまうと、帰ってこられなくなります。つまり、遭難してしまいます。他人のトレースに惑わされることのないよう、お願いいたします。

 

<編集後記>

「伊奈川は滑走禁止か?」

当WebSiteではツアーコース位ヶ原急斜面と伊奈川の谷を間違いやすい場所で、下山滑走には道間違いをしないように注意喚起を毎回行っています。しかし、現地を熟知する常連の方の中には、あえて伊奈川を下山滑走する方もいらっしゃいます。それはそれで問題はないと思っております。

ただ、WebSiteという不特定多数の方がご覧になる背景から、より安全サイドで状況をお伝えすることが重要であり、状況を熟知されていない方に焦点を合わせてお伝えする必要あると考えています。また、実際、伊奈川は年に1回程度遭難事例が発生していることから、より一層の注意喚起が必要と考えています。

また、自然環境保全法や自然公園法で立ち入りを制限することは法的に可能となっていますが、現時点ではノリクラにおいてはそのような場所の指定はなく、「滑走禁止・立入禁止」という法的規制はありません。だからと言っても、モラル的な面から、雪崩多発場所、ハイマツ帯などのライチョウ生息域などへの進入は自粛すべきと考えられ、初心者の道迷い・誘導を防ぐ点から、伊奈川の谷へストレートに入り込むようなトレースは極力避けていただきたいと思います。

春山シーズンのノリクラは、上級者から初心者まで幅広い方がバックカントリーにお越しになります。バックカントリーに入れば各自の自己責任ではありますが、初心者・他の入山者に対しても安全に下山できるような配慮を行っていただきたいと思います。

 

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