ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.16(2010/08/27〜28) C
【高山植物】
ここからは高山植物の様子をお伝えします。
8月後半ともなれば、高山植物の見頃の時期がそろそろ終りに近づいて行きます。それでもこちらのコウメバチソウはちょうど今が見頃のピークを迎え、大雪渓エリアのいたるところで見られるようになっています。右の画像のようにまだつぼみのものもあって、もうしばらく楽しめそうです。
そのコウメバチソウの隣には先週あたりに見頃のピークを迎えたシナノオトギリがあります。花期は終りを迎えつつありますが、それと入れ替わるように紅葉が始まりだしました。
大雪渓エリアから始まるノリクラの紅葉は、ウラジロナナカマドやダケカンバといった大きな樹木が代表的で、9月中旬頃から紅葉が始まって、9月20日前後から下旬に見頃を迎えます。
しかし、小さな高山植物たちはそれよりも早めに紅葉の見頃を迎えます。ウラジロナナカマドやダケカンバの紅葉の色合いが、その年の天候条件などに大きく影響を受けるものの、高山植物たちの紅葉はほぼ安定して綺麗な色合いを毎年見せてくれます。
こちらはオヤマリンドウ。花が開いていませんが、おそらくこのオヤマリンドウにとってはこれが花期のピークといっても良いでしょう。実際のピーク時となれば、つぼみの先端が少し開きます。
つぼみの先端が開いた状態を見つけることができれば、再掲いたします。
大雪渓から肩の小屋へ向かう登山道は、先週と同様にチングルマが見頃を続けています。
ただ、よく見ると花弁を落としたものがちらほらと見かけるようになってきて、チングルマの花期はそろそろ終りを迎えます。でも、チングルマはその後、花柱が実って、その一本一本が風に乗って飛び散るまで見頃が続くといっても良いでしょう。
セリ科の高山植物はどれも同じような形状をしていて、なかなか見分けが困難ですが、こちらはハクサンボウフウ(白山防風)。セリ科の植物には「防風」という名のつく物が多く見られます。防風とは風邪を防ぐという意味から命名されており、ハクサンボウフウとは別の種類のセリ科の植物の根または根茎部分が生薬として現在でも使用されています。
漢方薬の「防風通聖散」といえばピンと来る人もいらっしゃるかと思いますが、もっと有名な所ではどこの薬局でも必ず陳列されている赤い箱に収められた有名な薬用酒の原料の一つといえばお分かりでしょう。
夏がピークを迎える頃になると咲き始めるイワギキョウ。まっすぐ上を向いて咲いている所が特徴の一つ。
花柱が次第に裂けて行くのを見るのも楽しいものです。
こちらはハイマツ。大きなマツボックリができています。
岩のくぼみにはいたるところでマツボックリの残骸が散乱しています。右の画像のように内部の種子を取り出した様子が見られます。これはホシガラスの仕業...これから秋が深まるにつれて冬に備えてハイマツの実を蓄える作業が忙しく続きます。(→ Next)
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