ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.16(2010/08/27〜28) E
【雪渓上部 V − モーグルコース】
こちらは雪渓上部左側。大雪渓の中でも急斜面のバーンが広がり、シーズン終盤まで積雪の残るエリアです。
雪渓下部での滑走が困難になり、雪渓上部(左側・右側)がメインの滑走エリアとなって来ていますが、今後、さらに雪解けが進んで雪渓上部右側も滑走ができなくなる8月下旬以降は、冷え込みの影響からバーンは硬くなってきて、スプーンカットというよりも大きな氷の柱が一面に現れ、初心者の滑走は困難な状況です。また、雪渓上部左側は他のエリアよりも急斜面であることに加え、下部は全面岩場であるため、滑落すれば大怪我となる可能性もあります。
したがって、今後は初心者、及び、初めてノリクラのお越しになる方は滑走できませんのでご注意ください。
雪渓上部左側の状況としては、ほぼ昨年並みです。
こちらは下端部分。先週から高さ70センチほどの雪解けで雪解けペースがやや遅くなり、昨年より一週間遅い雪解けです。
コブラインは先週と同様に二本あります。
こちらは右側(北側)のコブライン。
雪渓上部を左右に分ける尾根が雪解けとともにラインに迫ってきています。そのため、次週はライン上半分の滑走が困難となることが予測されます。
ラインの長さは55メートル×13コブ。
一つ一つのコブがかなり大きな形状となっていて、常連のスキーヤーでも滑走しやすいコブではなさそうです。
そして、こちらは左側(南側)のコブライン。
モーグラーの方々を中心に今日も果敢にアタックしています。
こちらのラインも上端部分と下端部分で岩の頭が多くなり、先週よりも滑走距離がかなり減少しています。
ラインの長さは86メートル×33コブ。先週より30メートルも短くなっていますが、まだまだ滑走可能です。
日差しが強くても、秋が近づくにつれてバーン表面はなかなか緩まないもの...左右のコブが均等な形状になるようにスコップで整備しながら今日もノリクラの一日を過ごします。
夏休み最後の週末。スキー漬けの日々を過ごした後は、いつもの生活が戻ってきてしまいます。
こちらは雪渓左側上端部分。先週より高さ1メートルほどの雪解け。先週と同様に昨年並みの積雪状況です。
こちらは毎週お伝えしている上部岩盤から落石した大岩。
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上部岩盤からの落石<先週> ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.15(2010/08/21〜22) D |
上部岩盤からの落石<今週> 角度が下向きに − 今後雪渓を滑落する危険性がさらに増す |
先週は比較的安定したように見えましたが、今週はご覧のように角度を下向きに変化させています。今後、さらに雪解けが進むと、雪渓上を滑り落ちる危険性がさらに増してきますので、細心の状況が必要です。
2004 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.18(2004/09/11) B では、雪渓上部左側エリアで数人のスキーヤーが滑走している最中、雪渓上にあった高さ1.8m×横2.5mの大岩が滑り始めて、落石する様子をお伝えしております。雪渓上を滑り降りるスピードはかなりなもので、とても避けきれるものではありませんでした。
雪渓上部左側下端までの距離は先週の125メートルから117メートルです。先週と同様、ほぼ昨年並みです。大雪渓エリアの多くが昨年より遅い雪解けを見せる中、雪渓上部左側は全体的にほぼ昨年並みの推移を見せています。
【昨年の今ごろは?】
昨年も8月最終週は全日本マウンテンサイクリングin乗鞍が開催されました。
ただ、天候ははっきりしたものではなく、29日(土)は早朝から雨が降り始め、大雪渓エリアでは霧も濃くなり、訪れるスキーヤーはほとんどいない状態。それでもこの雨と濃霧は午前中までで、午後には急激に天候の回復が見られ、13時から開始となる大会受付会場の観光センター前駐車場は夏の暑さが戻って来ました。
大会当日の30日(日)は、夜明け前にまとまった雨が降ったものの、朝日が昇り始める頃には完全に止んでノリクラは茜色に包まれる朝を迎えます。しかし、この天候も大会開始前の7時ごろには周期的に濃霧に包まれるようになり、7時30分にレースが始まります。トップは昨年優勝の森本 誠選手で二連覇を果たしました。
その後も天候には回復は見られず、選手が大雪渓前を通過してもその残雪模様を望むことができませんでしたが、強い日差しがない分、ヒルクライムレースには程よい気候となりました。
<編集後記>
毎年、全日本マウンテンサイクリングin乗鞍が終了すると、今シーズンも一つの大きな区切りを乗り越えた感覚にさせられます。
乗鞍高原周辺の旅館・民宿は大会前夜の宿泊はどこも満室で、大勢の宿泊客の方の夕食を済ませて後片付けが完了すると、日付が変わっているという話も聞きます。さらに大会当日に最大限のパワーを発揮するには「レース開始3時間前に朝食を取る...」という話もあって、実際に当日の朝食は5時台という旅館・民宿も多く、ほとんど寝る時間もないほどです。
さらに選手の方々を送り出すと、今度は大会運営のスタッフとして、それぞれの担当の持ち場へ駆けつけ、大会が終了するまで受け持った業務をこなすわけです。
このように地元の方々の協力があってこそ、25年間もこの大会が続けられていることを忘れてはなりません。そして、今後もノリクラでヒルクライムが継続されるためには、お越しになる方々がより一層、自転車走行上のマナーを守って行く必要があります。
「より一層の...」という点が重要で、自分自身が安全走行していると思っていても、相手側から見たときに「ヒア〜ッ!」とする感覚にさせてはいけないというところに主眼を置くべきです。自動車側から見たとき、スピードが出てなくても自転車がいきなりヘアピンカーブから現れると、それだけでびっくりするものなのです...
末永くノリクラでのヒルクライムが継続できるようにするには、地元の方々の協力と、訪れたヒルクライマーそれぞれのマナーの両輪で、成り立っています。
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