ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.1(2012/03/24) @
今年は雪不足の地域と豪雪に悩まされる地域に二分されたウインターシーズンだったように思います。ノリクラはおそらく前者に相当する地域に属すると考えられ、今シーズンの春スキー・夏スキーが少し気がかりです。そして、春スキーのシーズンを迎える時期がそろそろ近づき、2012ノリクラ雪渓カレンダー プレリリース版も、それに合わせるように今シーズンの連載を今回から開始いたします。2011シーズンの連載が終了から約5ヶ月が経過いたしましたが、皆様はこのウインターシーズンをいかがお過ごしでしたでしょうか?
さて、3月に入って天候がめまぐるしく変化するようになって来ました。厳冬期は寒さの辛さはあったものの、それさえ耐えうる装備などを整えれば、ある程度、辛抱することができます。しかし、春になると、空から降ってくるものが雪であったり、雨であったりと変化し、気温の変動も激しいため、ウェアーなどを中心に装備を適応させなければならず、ある意味では、冬以上に対応が大変な時期です。
今回も朝は雨、それが次第に牡丹雪となり、ツアーコース上部では厳冬期とほとんど変わらない状況になりました。悪天候の一日となったわけですが、悪天候の状況が刻々と変化して行きました。春スキーの時期になると、ツアーコースにお越しになる方が多くなりますが、春は冬以上に厳しい側面があることを思い知らされる一日でもありました。
それでは、刻々と変化する一日の様子をお伝えいたしますが、この状況を少しでも読者の方々にイメージしていただければ幸いです。
■ご注意■
今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)
【3月24日(土)、観光センター前駐車場】
こちらは朝7時30分の観光センター前駐車場。
昨晩の大雨から小雨程度までの天候に落ち着きを取り戻しています。気温はプラス4℃。暖かな朝です。しかし、厚い雲に覆われて、東の空には朝日の輪郭は全く確認できません。
この時期は冬から春へと変化を見せる季節で、少しでも暖かい空気が上空に流れ込めば雨になり、冷え込めば雪へ変わります。一言で「春山...」というものの、それは「穏やかな春山」と、「牙をむく春山」の両面を持ち、最も厄介な季節とも言えます。
グリーンシーズンはシャトルバスのベースエリアとして賑わう観光センター前駐車場ですが、スキー場から少し離れていることもあって、真冬は訪れる方はめっきり少なくなります。また、駐車場そのものも3分の1程度は雪に閉ざされています。しかし、昨晩からの大雨で融雪が広がり、少しずつもとの姿を取り戻しつつあります。
観光センターはグリーンシーズンの終わる10月末から休業に入りますが、駐車場としての利用は可能で、公衆トイレなどはグリーンシーズンと同様に使用できます。
冬季の観光センター前駐車場は定期的に除雪が行われるため、真冬は駐車場の四隅に人の背丈以上の大きな雪の壁ができます。しかし、春に近づくにつれて、その壁も徐々に小さくなり、ご覧のとおり、残雪特有の汚れた姿になって来ました。冬を惜しむスキーヤーなら、こんな汚れた雪を見て、シーズンオフが近づいていることを実感するのでしょう。
【第3駐車場から】
こちらは観光センターから約1kmほど先にある、Mt.乗鞍(マウント乗鞍 − 旧乗鞍高原温泉スキー場)の第3駐車場です。スキー場の駐車場の中では最も大きなもので、土日祝日には松本駅からの無料シャトルバスもここにやってきます。(今シーズンは3月20日で運行終了しました。)
無料シャトルバスは松本駅を出発すると、途中、スノースマイルエリアのりくら(旧 いがやスキー場)、観光センター前、Mt.乗鞍事務所前に停留し、終点の第3駐車場に到着します。雪道のマイカー運転に自信のないスキーヤー・ボーダーの方はもとより、湯けむり館などの温泉を楽しむ方などの利用もあるようで、電車・路線バスを利用して乗鞍までやってくる運賃などを考えると、このようなサービスはありがたいものですね。
小雨だった早朝の天候は、次第に湿った牡丹雪へと変化し、8時の気温は2℃と低下しています。雪の降り方は結構激しくなってきました。今日は終日雨の天気予報が出ていたこともあり、第3駐車場に訪れるスキーヤー・ボーダーの方はまばら...また、いつもなら大きなザックにスノーシューを持ったバックカントリーに向かう方々の姿が、駐車場のどこかで確認できますが、悪天候の天気予報が出ている今日は、さすがに見られません。
山の天気は当日にならないとわからないということを、これまでの雪渓カレンダーで度々お伝えしています。特にグリーンシーズンでは、山麓の乗鞍高原では、今にも泣き出しそうな低く垂れ込める雲の中でも、大雪渓や山頂付近は雲海の上で見事なロケーションに巡り合えることは多々あります。そのため、グリーンシーズンは、山の天気は当日どころか、現地に出向かないとわからないといったところもあります。しかし、厳冬期や春山に限っては、必ず安全サイドで考えて、今日のような天候の場合は、入山を中止したほうがよい部類に属するでしょう。
第3駐車場から道路を渡るとすぐにゲレンデサイドに立つことができます。こちらはリフト券のチケットセンター。8時30分のリフト営業開始が近づくと、シーズン券の交換やリフト券の購入に訪れる方々が増えてきます。
ツアーコース入口は、かもしかゲレンデ(スキー場最上部)から始まります。通常、第3駐車場から かもしかゲレンデまでは、リフト3本を乗り継ぎます(やまぼうしペア → 夢の平クワッド → かもしかペア、1回券:合計3枚)。しかし、最初に乗車するやまぼうしリフトは、チケットセンターからリフト乗り場まで滑り降りて行かなければならず、その距離はやまぼうしペアリフト全長の半分程度もあります。そのため、二番目に乗車する夢の平リフトまでチケットセンターから歩くという方もいらっしゃいます。(ただし、ゲレンデ内ですから、滑走者には注意して、ゲレンデ脇を歩くようにしてください。)
スキーやボードなどの滑走道具を持たない登山者の場合は、滑り降りることができませんから、必然的に夢の平クワッドリフトまで歩かなければなりませんが、休暇村ゲレンデから出発する場合は、リフト乗り場に駐車場が隣接していますので、登山者の場合は、休暇村ゲレンデからスタートしたほうが良いでしょう。(但し、今シーズンの休暇村ゲレンデの営業は3月25日で終了しました。)
昨日の大雨で、ゲレンデ内にはご覧のような水溜りができています。これから冷え込むとスケートリンクに匹敵するほどのアイスバーンになりますので、滑走には要注意です。
夢の平クワッドリフトは昨年まで「国設第1クワッドリフト」と呼ばれていました。今年からゲレンデ名称に統一されたようで、かもしかゲレンデに架かる「国設第3ペアリフト」も、今年から「かもしかペアリフト」と名称変更されました。
かつて、複数の企業によってスキー場運営がなされていたことから、このようなリフト名称になっていましたが、ゲレンデの名前に統一されたことでわかりやすくなったといえるでしょう。
搬器は着雪で真っ白に | 小大野川 − 大雨で濁流 |
激しい湿雪でリフト搬器は、一周回ってくるとべったりと着雪して真っ白になってしまいます。また、夢の平クワッドリフトの下を流れる小大野川は、いつもは綺麗な流れですが、昨日の大雨で増水して濁流となっています。
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夢の平クワッドリフトからの一望(本日) 濃霧で展望が効かない |
夢の平クワッドリフトからの一望(三年前の同時期) 2009ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版 Vol.1(2009/03/28〜29) @ |
Mt.乗鞍は、常にノリクラの峰々を眺めながら滑走を楽しむことができるスキー場です。そのため、晴れた日のリフトからは、白く輝くノリクラの稜線を横一列に眺めることができます。
今日は吹雪でご覧のように何も見られない生憎の状態です。右の画像は三年前(2009年)の同時期のもの。昨年同時期は曇天で、しかも、東日本大震災の影響で、リフト営業が早期に切り上げられたため、リフトに乗車することができませんでした。また、2010年の同時期は、天候が良かったものの、山頂付近に雲がかかっていました。そのため、右の画像のようにばっちり見られる日は、なかなかないといっても良いでしょう。
夢の平クワッドリフトを下車して、かもしかペアリフトに乗車します。
リフト乗車の途中に赤い雪上車(キャット)が駐車されているのを見つけることができます。今シーズンは雪上車でバックカントリーエリアまでアクセスするガイドツアーがMt.乗鞍で企画されました。こちらはそのツアーで使用される雪上車ですが、今年は雪不足のため稼動することができないようです。
雪上車を利用することでアクセスは容易になりますが、バックカントリーであることは変わりなく、事故などの危険率が低下するものではありません。そのため、「初心者が気軽に...」というものではないと考えられます。
かもしかペアーリフトの降り場が近づくと、その先がツアーコースの入口です。(→ Next)
■ご注意■
今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)
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