ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.6(2013/04/25〜29) E
【ツアーコース U −3〜6番標識区間】
歓声を上げながら滑り降りるボードの方々 |
ツアーコースを登っていると、上部から歓声を上げながら滑り降りるボードの方々とすれ違います。
そんな様子を見てちょっと恨めしそう |
一気に滑り降りて行く方々の様子を見てちょっと恨めしそう...でも、我々ももう少し登れば、同じように楽しい体験が待っています。そんな思いが疲労の溜まり始めた脚に鞭を打ちます。
昨年の5番標識 2012ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版 Vol.6 (2012/04/26〜30) F ↓ |
先週の5番標識 ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版 Vol.5 (2013/04/20〜21) C ↓ |
今週の5番標識 先週より40センチ増加 昨年より70センチ多い |
こちらはツアーコース上部付近の5番標識。3番標識の画像と同様に、左上は昨年同時期で右上が先週のものです。先週より40センチ増加して、昨年より70センチ多い状況です。3番標識のところでも申し上げたように、4月下旬でこのように積雪量が増加することはなく、3月中下旬並みの積雪量に戻っています。
後続の2人がやや遅れ始める |
一緒に登ってきた3人も、後続の2人がやや遅れ始めました。
脚を前に出すのがやっと... | 「オフシーズンもトレーニングするとだいぶ違いますよ!」 |
脚を前に出すのがやっと...途中で何度も止まりながらも必死で歩き続けます。気温はマイナス4℃ですが、ウェアーの中は汗だくだくでサウナ状態。「冬以外は何も体を動かしていないから、やっぱりきついですねぇ!!」
そして、先行する方は「オフシーズン(サマーシーズン)も、登山とか足腰を鍛えておくとだいぶ違いますよ!」
ボードやスキーなどを継続して滑走し続ける筋力や体力と、バックカントリーをラッセルする体力には違いがあるかと思います。シーズンを通してフィールドに立つことは大変なことかもしれません。
昨年の6番標識手前の谷 2012ノリクラ 雪渓カレンダープレリリース版 Vol.6 (2012/04/26〜30) F ↓ |
先週の6番標識手前の谷 ノリクラ 雪渓カレンダープレリリース版 Vol.5 (2013/04/20〜21) C ↓ |
今週の6番標識手前の谷 |
5番標識を過ぎて6番標識付近に差し掛かると、ウェーブ状になった箇所があります。左の昨年同時期よりもフラットになっていることがわかります。3番標識や5番標識と同様に、こちらでも先週よりかなり積雪量が多くなっています。
ただ、ウェーブが小さくなってきたことで勢い良く下山滑走することよよって、ウェーブに足をとられて転倒負傷することが懸念されます。過去には転倒負傷して救助要請した事案も発生していますので、細心の注意が必要です。
冬の常連から「今日の吹雪は穏やかですよ!」と... | 「カラ元気でも、がんばっていこう!」 |
吹雪はさらに激しくなり、前を向いて歩くことが困難なほどになってきました。「吹雪が厳しい!脚が辛い!」と、言いながら何とか進みます。そこへ下山滑走されてきた冬の常連の方。「これくらいの吹雪は穏やかなほうですよ。気温が高くても暖かいじゃないですか!」
緊張の糸が切れそうになりながらも、「カラ元気でも、がんばっていこう!」と、皆さん一緒になって檄を飛ばして、吹雪の中でもテンションを保持しながら先を進みます。
位ヶ原急斜面へ |
各メンバーの体調や疲労など、それぞれの顔色などを逐次確認し、吹雪の状況とを鑑みると、テンションさえ保持すれば、もう少しだけ行けそうな気配です。しかし、檄を飛ばし過ぎて、「ランナーズハイ」ではありませんが、過度にハイテンションになると、一気に疲労が噴出する可能性もありますから、メンバーを一つにまとめつつ、この先も位ヶ原急斜面へと向かいます。
【ツアーコース V −位ヶ原急斜面】
ツアーコース − 位ヶ原急斜面 |
こちらはツアーコース最後の位ヶ原急斜面。これまで樹林帯を切りとおしてコースが作られていましたが、この付近からはオープンバーンとなります。
昨年の位ヶ原急斜面 2012ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版 Vol.6(2012/04/26〜30) G ↓ |
先週の位ヶ原急斜面 ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版 Vol.5(2013/04/20〜21) C ↓ |
今週の位ヶ原急斜面 先週より60センチ増加、昨年より1メートル以上多い 今シーズン最高の積雪量、過去5年間で最も多い |
位ヶ原急斜面の積雪は先週より60センチ増加して、昨年より1メートル以上多い状況です。先週は一旦減少に転じましたが再び増加しました。今回のまとまった降雪で、位ヶ原急斜面は今シーズン最高の積雪量となり、おそらく過去5年間のなかでも最も多い状況となっています。
新雪40センチ |
位ヶ原急斜面は一晩で40センチの新雪に覆われています。
本格的なラッセルに悪戦苦闘 |
スノーシューを装着していても、膝近くまで埋没してしまい、本格的なラッセルを初めて体験します。厳冬期には大寒波が訪れれば、膝以上のラッセルとなることもしばしばあって、もがいてももがいても、一向に前に進めなくなります。
今回、思ったように前に進めない状況に、多少なりとも厳冬期の過酷さが体験できたのではないかと思います。
4月下旬とは思えないディープなパウダー |
そして、位ヶ原急斜面を登りきれば、本日最大イベントが待っています。4月下旬とは思えないディープなパウダーに歓喜が上がり、位ヶ原急斜面にこだまします。
本日の目的達成! − 後は安全に下山を |
本日のミッション終了!でも、この先の下山滑走も十分注意しなければなりません。どんなに難易度の低いバーンであっても、転倒などで怪我をして自力で下山することができなくなれば、救助要請が必要となります。ここにはスキーパトロールがスノーモービルに乗って登場することは絶対にありません。
真冬でスキー場が営業している期間でも、ツアーコースはスキー場の管理区域外ですから、スキーパトロールが救助出動するのは管轄外となります。そのため、万が一の事態が発生した場合は、通常の山岳遭難と同様に警察へ連絡し、天候がよければ県警や民間のヘリコプターが出動しますが、今回のように天候が悪い場合は、県警山岳遭難救助隊や民間の遭対協による救助となります。なお、山岳救助では多額の費用が発生する場合もありますので、山岳保険への加入をオススメします。
パウダーだからといってハイテンションにならず、自制心をもって行動しなければ、いつか自分にツケが回ってくるかもしれません。そんなことを心の奥に潜めながら、バックカントリーを楽しんで行きたいものです。(→ Next)
■ご注意■
今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)
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