ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.1(2014/05/10) C
【ツアーコースの積雪状況、下山滑走の可否は】
ツアーコース − 位ヶ原急斜面 |
ここからは三本滝レストハウス(かもしかゲレンデ)への下山コースであるツアーコースの積雪状況をお伝えします。
これまでのノリクラ雪渓カレンダープレリリース版では、ツアーコースを山麓から山頂方向の順番でお伝えしましたが、今回からは下山滑走をメインにお伝えするため、山頂方向から山麓方向へと順番を逆にお伝えします。
ツアーコースでの下山滑走は、例年5月中旬から下旬頃まで可能ですが、今年は若干積雪量が少ないため、問題なく下山滑走できるのはこの週末が最後となり、次の週末は下山滑走が困難になると予測されます。
昨年の位ヶ原急斜面 2013ノリクラ 雪渓カレンダーVol.1(2013/05/11) E ↓ |
先週の位ヶ原急斜面 速報 2014/05/03 ↓ |
今週の位ヶ原急斜面 先週とほぼ同じ、昨年よ1.5メートル近く少ない |
ツアーコース最上部の位ヶ原急斜面は、先週とほぼ同じ積雪量で、昨年より1.5メートルほど少ない状況です。
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昨年の6番標識手前の谷 2013ノリクラ 雪渓カレンダーVol.1(2013/05/11) E |
今週の6番標識手前の谷 |
さらに下って、6番標識の下にあるウェーブ状の箇所。この付近も昨年より1メートル近く積雪量が少ないものの、滑走には問題ありません。
滑走者が少なくなると、バーンはかなり荒れる |
現時点では、ほとんどフラットな表面を見せていますが、今後、滑走する方が少なくなるとバーンはかなり荒れてきます。雨水がバーン表面を流れて縦溝ができたり、雪解けで細かなギャップが発生するため、スキー板をギャップに取られてかなり危ない状態です。また、周辺の小枝やヤニなどで汚れてくると滑走性が悪化し、滑りにくい状態となります。
昨年の5番標識 2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.1(2013/05/11) E ↓ |
先週の5番標識 速報 2014/05/03 ↓ |
今週の5番標識 先週より30〜40センチ減少 昨年より1メートル少ない |
こちらは5番標識。積雪量は先週より30〜40センチ減少し、昨年よりも1メートル程度少ない状況です。それでも、地面までは1メートル近く積雪量があるかと思います。
バーンが緩んでいて、すぐにコブができる |
山頂方面はガチガチの硬いバーンでもツアーコース内はかなり緩んでいて、多くの方が下山滑走すると、すぐにコブができ始めます。
昨年の3番標識 2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.1(2013/05/11) E ↓ |
先週の3番標識 速報 2014/05/03 ↓ |
今週の3番標識 先週より若干増加 昨年より50センチ少ない |
こちらはツアーコース中間付近の3番標識。積雪量は昨日の降雪により、先週よりも若干増えていて、昨年と比べると50センチ程度少ない状況です。
3番標識より下部は切り株・ブッシュに注意 | 1番標識下 − 切り株を避けながら滑走 |
3番標識をすぎたあたりから、ご覧のように切り株やブッシュが点在するようになり、それを避けるように滑走する必要があります。取材時点(5月10日(土))では、1番標識をすぎて入口急斜面上端までは、ほぼ問題なく滑走できました。
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昨年の入口急斜面上端 2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.1(2013/05/11) D |
今週の入口急斜面上端 昨年より積雪量が少なく、かろうじて滑走可 |
こちらは入口急斜面の上端部分。ツアーコースでの下山滑走の可否を決める重要な場所で、雪解けが進むと、人の背丈以上のブッシュが出現するため、雪がなくなると歩いて下山することが困難な状態となります。
昨年と比べると、積雪量の少ないことがわかります。昨年は5月末で下山滑走不可となりましたが、今年はそれよりも早めに滑走できなくなると考えられます。
昨年の入口急斜面 2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.1(2013/05/11) D ↓ |
先週の入口急斜面 速報 2014/05/03 ↓ |
今週の入口急斜面 |
こちらは入口急斜面全景。先週と比べると、あまり雪解けが進んでいない様子が見られます。そのため、先週の段階では、今週で滑走不能となる可能性も考えられました。
【参考】昨年の滑走不能1週間前の様子 2013ノリクラ 雪渓カレンダーVol.2(2013/05/15・18・19) F =今週と同じ積雪量のため、おそらく次週末は滑走不能= |
こちらは昨年の画像で、滑走不能となる1週間前の入口急斜面の様子。今週の状態とよく似た状況であることがわかります。このことから、おそらく次の週末はほぼ滑走不能と予測されます。
かもしかゲレンデ最上部 | ゲレンデ上部は板をはずす必要あります |
入口急斜面を滑り降りると、かもしかゲレンデ最上部に到達します(画像左)。かなりクマザサが広がっているものの、この先100メートル程度は滑走できます。
かもしかゲレンデはこの先で上級者・中級者・初心者の3つのコースに分岐します(画像右)。こちらは初心者コースに入るところで、ここで板をはずす必要があります。おそらく、次の週末はかもしかゲレンデの上部はほぼ滑走不能となるかと思います。
かもしかゲレンデ下部 − こちらは滑走可能 |
さらに下って かもしかゲレンデ下部。ここを滑り降りると三本滝レストハウス前駐車場です。雪解けが進んでいるものの、こちらは問題なく滑走可能です。
かもしかゲレンデは下部よりも上部のほうが雪解けの進み方が早く、また、下部からは上部の様子がわかりませんので、かもしかゲレンデ下部の積雪状況で、上部の滑走が可能かどうかを判断することはできませんのでご注意下さい。
いずれにして、次週末のツアーコースはかなり雪解けが進みますので、かろうじて滑走できたとしても、途中で板をはずす必要が生じたり、ブッシュの藪漕ぎを覚悟の上で下山滑走することとなります。従って、位ヶ原山荘から乗鞍岳春山バス下り便で下山されることをオススメします。
乗鞍岳春山バス下り最終便は、位ヶ原山荘15時34分発ですので、お乗り遅れのないようご注意下さい。(三本滝着15時56分、観光センター着16時12分)
【昨年の今ごろは?】
5月11日(土)は、昨晩から続く雨の一日。この天候ですから三本滝レストハウス前駐車場に訪れる方はほとんどなく、すぐ目の前にあるかもしかゲレンデすら確認できないほどの濃霧に包まれています。それでも、乗鞍岳春山バスは始発便から通常運行されました。春山バスが到着した位ヶ原山荘も雨。富士見岳や大黒岳の頂上付近が何とか確認できる程度の視程があり、ほとんど無風ですから雨さえなければなんら問題ない状況。その大黒岳の山肌はハイマツ帯や岩場が多くなっていて、この一週間の雪解けがかなり目立つ状況です。さらにその先の位ヶ原・大雪渓より上部はほとんど視界の効かないホワイトアウトで、そんな中をオスのライチョウがけたたましく泣き叫ぶ様子以外は何もない状況でした。
<編集後記>
「大型連休を振り返って(春山バスの状況)」
冒頭でも申し上げましたが、今年の大型連休は前半は飛び石連休のため、実質的には後半4連休に集中しました。それでも、JTBの調査では国内旅行の推計人数は2196.2万人で、昨年よりも3.8%減少するものの、過去3番目に多い状態です。
また、天候に関しては、29日(祝・火)、30日(水)、5日(祝・月)が雨だったものの、それ以外の日はよい天候が続きました。また、例年、積雪凍結で運休となるケースのある春山バスも、今年は晴れても冷え込みが少なく、また天候が悪くても雪ではなく雨にとどまったことで、1便も運休せずに正常運行できました。
春山バスは昨年から1便増便して1日4便になりました。その結果、始発便がこれまでより30分程度早くなり、夜間凍結の影響により運休となるケースが多く見受けられました。そのため、今年は5月9日までは始発便を1時間遅らせての運行ダイヤを取り、大型連休中の始発便も問題なく運行が可能となりました。
その結果、今年の大型連休中(4月26日〜5月6日)の春山バス利用者は、2148名と前年比143%と大幅な増加となりました。ただし、昨年は積雪のため運行開始が5月1日からとなりましたので、5月1日〜6日だけで比較しても、前年比105%と増加しています。
また、利用者全体に占める一般観光客(雪見客)の割合は、昨年までは40%台を推移していたものの、今年は61%にも急増しました。特に始発便はこれまではスキーヤー・ボーダーが大半を占めていたものの、5月4日(日)の始発便に関しては、一般観光客のほうが多い状態が見られました。これは始発便が1時間遅くなったことから、チェックアウトした宿泊客の利用も多かったのではないかと考えられます。
大型連休中のノリクラは、スキーシーズンが終了して、山菜や花の季節には少し早いタイミングです。ですから、乗鞍岳春山バスを大型連休という重要な時期の新たな目玉として、さらにPRしてもよいのではと思います。
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