ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.8(2014/06/28〜29) @
6月最後のノリクラ雪渓カレンダーをお届けします。
6月28日(土)は、早朝に一降りあった後、曇り空の朝を迎えます。どんよりとした状態で、中腹はのうむで視界が効かず、大雪渓に到着する直前から霧の上にでて、天候は曇りであるものの山頂まではっきり確認できる状態となります。このまま天候が回復するかと思ったものの、次第に山頂から大雪渓まで完全に霧に覆われてしまいます。霧雨から小雨の状態の降り方が終始続き、雨も霧もさほどひどいものではなく、気温も暑くもなく寒くもない状態で、雨対策さえしっかりしていれば、過ごしやすいコンディションに入るのではないかと感じられました。
6月29日(日)は、日付が今日に変わる頃に激しい雷雨に見舞われたものの、雲間に青空が広がる朝を迎えます。夜の激しい雨で通行止めが懸念されたものの、乗鞍スカイラインは通常通り開通し、シャトルバスも通常運行されます。しかし、畳平は濃霧で9時過ぎから周期的に雨に見舞われる状況。昨日も同じく濃霧と雨の一日でしたが、昨日は霧の抜けるタイミングがあったものの、今日は全く霧が抜ける気配がない状況。それでも、午後になると、一時的に日が差すときがあって、視界が開けた乗鞍高原を見ると日差しがしっかり差し込んで、天候の悪いのは大雪渓・山頂付近だけだったようです。結局、終日にわたって、濃霧と雨に見舞われた一日となりました。
<乗鞍岳登山道(大雪渓・稜線付近)の積雪量>
稜線付近は例年よりも多い状態が続いています。特に注意が必要なのは、朝日岳直下と、大雪渓〜肩の小屋の2箇所です。
●朝日岳直下は例年より積雪量が多く、かなり積雪が残っています。ただ、多くの登山者が往来するため、踏み跡はしっかりとできています。通常の登山靴であれば、よほど気温が低くない限り、問題は少ないと思いますが、下りで転倒する様子が何人か見られましたので、安全のためアイゼン携行をオススメします。なお、この部分は、例年、7月上中旬ごろまで積雪が残っています。(詳細は6ページ目の【山頂までの登山道 T(肩の小屋〜稜線手前)】から順にご覧ください)
●大雪渓の登山道入口から肩の小屋まで全区間積雪に覆われています(距離約700メートル)。ただし、登山者の往来が少なく、ほとんど踏み跡がありません。また、大雪渓の登山道入口から約100メートルのところにある岩(モーグルコースの岩)付近はやや勾配が急で、登りでもかなりスリップしやすい状況です。そのため、この岩の付近はアイゼンが必要と考えられ、例年、7月下旬〜8月上旬まで積雪が残っています。(詳細は2ページ目の【大雪渓から肩の小屋への登山道の積雪状況(6月28・29日現在)】をご覧ください)
■ご注意■
今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)
【6月28日(土)、観光センター前駐車場】
観光センター前駐車場 |
こちらは早朝6時の観光センター前駐車場。
曇り空 | どんよりと低く垂れ込める |
気温は14℃、寒くもなく暑くもなく、過ごしやすいコンディションです。天候はご覧の通り、どんよりとした曇り空で、観光センター周辺の山並みをも飲み込もうとしています。夏場の場合、乗鞍高原に低い雲が垂れ込めている時は、森林限界を超えた位ヶ原や山頂・大雪渓方面は雲海の上に出ることがしばしばあります。
レンゲツツジ満開の観光センター(今年6月中旬) ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2014/06/14〜15) @ |
こちらは2週間前の観光センター周辺の様子。ご覧の通り、レンゲツツジが綺麗に咲いていました。
今週のレンゲツツジ − 満開から2週間経過、花は終わる | その代わり野菊が − つぎの季節へとバトンタッチ |
そして、左の画像は同じ箇所の今週の様子。すでにレンゲツツジは花を終えています。それに変わって、野菊がいたるところに咲き乱れています。一つの花が終われば、次の花が咲き始める...ほぼ同じ季節に咲く花でも、微妙に咲くタイミングが異なっていて、それを繰り返しながら次の季節へと、花のバトンタッチが繰り返されて行きます。
こちらの野菊、「フランスギク、(フランス菊、キク科フランスギク属)」という名前があります。名前のとおり、観賞用に持ち込まれた海外からの帰化植物で、今となっては日本各地の風景に溶け込んでいます。「フランスギク」とカタカナで聞くよりも、名もない「野菊」のほうが響きが良いように思います。ちなみに、フランスギクの改良種がマーガレットとして知られていて、花の形はフランスギクとよく似ていても、葉がまるで違います。
あくせくせずに朝のひと時を楽しむ |
今日はあまり安定しない天候で、早朝5時ごろには音を立てて降るほどの状態が6時前まで続き、一旦、収まった後、7時過ぎから再び降り始める状況。この時間帯は乗鞍岳春山バスに乗車する方々が、バタバタと出発の準備をされる光景が繰り広げられますが、さすが常連ともなると、ゆっくりとした時間を楽しむことも忘れていません。
あくせくせずに、朝のひとときを楽しむ時間が大切で、スキー人生には欠かせないエッセンスかもしれませんね。
観光センター売店 − 朝7時から営業開始 |
さて、7時に営業開始した観光センターの売店...
開店と同時に来場者が | おにぎりが最後の1個になっちゃいました! |
今日は開店と同時におやきやおにぎりを求める方がバタバタとお越しになり、お店を切り盛りする女将さんは、「雨だからあまり作って来なかったんので、おにぎりが最後の1個になっちゃいました!」と、ちょっと驚いている様子...
売店に駆け込んだこちらのグループ。もちろんこれから春山バスに始発便に乗車します。どうやら初めての方もいらっしゃるようで、「大雪渓ってどんなところですか?コブとか稜線とか滑られるんですか?」と、質問攻め...大雪渓の夏スキーはこれからが本番、今回だけでなく、足しげく通ってみてください。
乗鞍岳春山バス始発便 − 7月からはシャトルバスへ |
さて、いつものように乗鞍岳春山バス始発便が到着して、今日は1台運行で25名の乗客を乗せて出発します。
なお、乗鞍岳春山バスは6月30日で終了し、7月1日からは畳平まで1時間に1便運行されるシャトルバスとなります。ただし、道路安全のため、今年は7月1日から9日までは大雪渓までの減便運行に変更されています。詳しくは、お知らせ − 県道乗鞍岳線(エコーライン、三本滝〜畳平間)7月からの開通情報(2014/06/26) をご覧ください。
【乗鞍岳春山バス、大雪渓へ】
三本滝レストハウス | 三本滝ゲート − 7月1日冬季閉鎖解除 |
観光センターから7km先の三本滝レストハウス前駐車場。この駐車場に面する県道乗鞍岳線に三本滝ゲートがあります。6月末までの冬季閉鎖期間中はご覧のように常にゲートが閉鎖されています。
しかし、冬季閉鎖が解除された7月以降は、ゲートが開門されるものの、続いてマイカー規制が実施されるため、こちらにゲートの管理員が配備され、通行車両のチェックが行われます。通行できるのはバス・タクシー、自転車、及び、許可車両です。
7月以降はバス・タクシー・自転車通行可 |
そのため、7月以降はシャトルバス以外のバスやタクシーも通行するため、狭い箇所などは対向車両に注意が必要になってきます。特に自転車の場合は、大型バス×自転車の事故の懸念がありますので、安全運転にとどまらず防衛運転に心がけるつもりが良いかと思います。
路面劣化箇所は補修が実施(摩利支天上 29号カーブ) |
さて、先週の天空マラソン開催の前に、各所でアスファルト補修が行われました。こちらは摩利支天の上部にある29号カーブですが、これまで、アスファルトに亀裂が入っていたり、波打っていました。特に下り車線部分が酷かったため、ハンドルがぶれたり、後輪が突き上げられて転倒する危険性が絶えずありました。しかし、アスファルト舗装が施されて走りやすくなったといって安心してはなりません。
右画像のように、こちらのカーブを下山するとき、仮に大型車両が登ってきた場合、必ず車線の幅員いっぱいに回ってきます。こちらのカーブはヘアピンカーブになっていて、そのように回らないと内輪差のため、大型車両はヘアピンカーブをクリアできません。もし、衝突した場合のダメージが大きいのは自転車の方ですから、法規上の優先問題とは別に、ご自身を守るために、ぜひとも防衛運転でお願いいたします。
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先週の摩利支天付近 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.7(2014/06/20〜21) C |
今週の摩利支天付近 さらに色濃くなり、葉のボリューム感が増す |
さて、話を戻して、こちらの2枚の画像は先週と今週の同一箇所のもの。先週の段階では、夏場とほとんど変わらない程度に緑が濃くなってきたとお伝えしましたが、今週の画像と先週の画像を見比べると、緑がさらに濃くなると同時に、葉のボリューム感が増している様子が感じられます。
新緑の回廊 |
新緑ばかりではなく、色々な花にも注目してみたいです。
ヤマザクラが各所で咲く |
木全体が少し赤っぽくなっているため、比較的容易に探しやすいかと思います。ヤマザクラが各所で咲いています。近寄ると甘い香りが漂っています。
ムラサキヤシオツツジ(28号カーブ) − 昨年より約1週間遅い開花 |
そして、こちらはムラサキヤシオツツジ。場所によって開花の時期が異なっていますが、こちらは荒田沢橋の少し山麓寄りにある28号カーブのムラサキヤシオツツジですが、昨年より約1週間ほど遅い開花でした。
冷泉小屋(冷泉) − ひどい濃霧 |
そして、標高2230メートルの冷泉小屋付近までやってくると、ご覧の通り、ひどい濃霧に見舞われています。視界は50メートルに満たない状況です。
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位ヶ原山荘 |
さらに進んで、標高2350メートルの位ヶ原山荘。この先はさらに濃霧がひどくなり、空が幾分暗く感じます。雲がさらに厚くなっているのかもしれません。
大雪渓から位ヶ原山荘への下山滑走(屋根板下部) 木の根元部分まで雪解けが進む − 下山滑走困難 |
この付近は大雪渓から位ヶ原山荘へ下山滑走する屋根板下部。かなり積雪量が少なくなり、木の根元付近まで雪解けしています。この状態では、下山滑走は困難で、大雪渓から位ヶ原山荘への移動はオススメしません。また、現時点では夏の登山道は雪の下ですから、登山道を歩くこともできません。
雪の壁が連続 | 4号カーブ |
位ヶ原一帯は鉛色の濃霧につつまれていましたが、雪の壁の連続する4号カーブ付近までやってくると、霧が抜け始めて、隣の高天ヶ原の山肌も確認できるようになって来ました。
4号カーブの雪壁、高さ7.4メートル − 昨年より2メートル以上高い |
どうやら、このあたりから雲海の上に到達した感じです。現在の4号カーブの雪の壁は、高さ7.4メートル。先週は7.7メートルでしたので、この1週間の雪解けはやや少なかったようです。また、昨年は4.9メートルしかなく、今年は2メートル以上も積雪が多い状態が続いています。
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今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)
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