ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.8(2014/06/28〜29) D
【畳平に到着、畳平周辺】
畳平、濃霧小雨、気温4℃ |
8時の畳平の天候は濃霧小雨、気温は4℃。今日は気温ほどの寒さは感じられませんが、バスから降りた瞬間にブルッとくることも多く、シャトルバスが出発するほおのき平駐車場がどんなに暑くても、必ず防寒着を持参してください。
出発の準備に取り掛かる |
始発便はほとんどが登山の方でしたが、その次の便はスキーヤー・ボーダーの方々が多い様子。
乗鞍環境パトロールに積雪状況を聞く | 「今日で今シーズンのラストランです」と何気ない会話 |
そのため、乗鞍環境パトロールの方に滑走できる場所を確認される方や、ちょっとした情報交換をされる様子もあります。「滑走場所はもう知ってるよ!」という方もいらっしゃるかと思いますが、何気ない会話の中から有用な情報があるものです。
鶴ヶ池 − 今日は濃霧で定点撮影困難 |
それでは、いつものように畳平周辺の様子をお伝えします。通常であれば、不動岳、鶴ヶ池、お花畑の状況へと進みますが、今回は濃霧で撮影が全くできませんでした。そのため、いつもとはちょっと異なる内容をお伝えします。
⇒
|
||
昨年同時期の鶴ヶ池 2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.8(2013/06/29〜30) A |
池の中に続くスロープ バスのブレーキやエンジンを冷却するために作られた |
左の画像は昨年同時期の鶴ヶ池の様子。画像の左の赤枠部分を拡大したところが右の画像。スロープ状の傾斜が池の中へと続いています。最初はボートでも浮かべるためのスロープかと思いましたが、畳平関係者にお聞きしたところ、バスのブレーキやエンジンを冷却するために作られたものですが、実際に使用されたかどうかは不明とのことでした。おそらく、昭和20年代のことと思います。
当時は自動車の性能もよいとは言えず、オーバーヒートやブレーキの過熱は珍しいことではありませんでした。そのため、国道からノンストップで畳平まで登れないバスも多く、平湯峠では一旦休憩の時間をとって、バスをクールダウンさせることが普通に行われていました。
畳平から山頂方面に向かう登山道入口 | 道幅は6メートルもあり、登山道にしては広い |
そして、スロープが見える場所から右の方向を見ると、鶴ヶ池の湖畔を回るように進んで、乗鞍岳山頂(剣ヶ峰)に向かう登山道へと続いて行きます。畳平から山頂に向かったことのある方ならご存知の道と思います。この道は幅が6メートル程度もあって、登山道にしては道幅が広すぎます。
@ 県境とのT字路交差点 − 登りは左折、下りは直進 |
A 登り − 鶴ヶ池湖畔を周回して畳平へ | B 下り −現在の乗鞍スカイラインをそのまま直進 |
広すぎる登山道にはやはり理由があって、かつては、鶴ヶ池の湖畔のこの道にバスやタクシーが通行していました。
上の画像は県境方面に向かうT字路交差点ですが、畳平に向かう車は赤矢印のように左折して、鶴ヶ池湖畔を周回して、左下の画像のように畳平に入ります。そして、下りは右下の画像の通り、現在の車道をそのまま下りる形をとっていました。
鶴ヶ池湖畔を通って畳平へ | 鶴ヶ池湖畔を行くバス(昭和28年、下り方向に進んでいる) |
昭和40年代に入ると渋滞問題が発生するようになっていましたので、おそらく、混雑緩和の目的で鶴ヶ池湖畔をロータリーにして一方通行の規制がされたものと考えられます(上段の画像)。現在の通行形式になったのは、乗鞍スカイライン以降と考えられますので、少なくとも乗鞍スカイラインの建設が始まる昭和44年以前のことと思います。
下段は50年以上前の当時の画像ですが、鶴ヶ池湖畔をバスが通っている様子がわかります。
ただし、下段右の画像をよく見ると、これまでの説明とは逆向き(下り方向)に湖畔をバスが進んでいます。画像は昭和28年のものですが、さらに昔の時代は湖畔の道路で上下対向していたものと考えられます。また、摩利支天岳に立つコロナ観測所をよく見ると、ドームがありません。よく目にする大型のドームが作られたのは昭和46年のことです。
なお、乗鞍スカイラインやそれ以前の戦後の乗鞍岳登山自動車道路・登山バス、また、長野県側の県道乗鞍岳線に関する情報を集めています。写真・資料・情報をお持ちのは、ぜひともご連絡下さい(連絡先 : WebMaster@norikura.org)
【肩の小屋へ】
肩の小屋・コロナ観測所
分岐点 2012年い次いで多い積雪量 |
畳平から専用道を1.2km進んで、肩の小屋・コロナ観測所分岐点に到着します。正面が魔利支天岳の頂上で、左に進むと肩の小屋、右に進むとコロナ観測所です。右の画像のように雪の壁が残っていて、高さは2メートルです。2012年の2.5メートルに次ぐ高さです。
大雪渓 | 位ヶ原 |
分岐点に差し掛かると剣ヶ峰・蚕玉岳・朝日岳の各稜線から大雪渓や位ヶ原方面まで展望が一気に開けます。分岐点付近から望む大雪渓・稜線方面(画像左)は、昨年よりも多い状態を見せています。また、位ヶ原方面(画像右)も、昨年より多い状態です。
2013年の大雪渓 2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.8(2013/06/29〜30) A |
2013年の位ヶ原 2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.8(2013/06/29〜30) A |
2012年の大雪渓 2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.8(2012/06/30〜01) A |
2012年の位ヶ原 2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.8(2012/06/30〜01) A |
2013年と2012年の大雪渓、位ヶ原の様子と比較すると、大雪渓部分は過去2年間よりもやや少なめで、山頂方面は2012年に次いで多い状態。位ヶ原は2013年より多く、2012年とほぼ同じ状態を示しています。
【肩の小屋】
⇔ | ||
昨年の肩の小屋東側 2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.8(2013/06/29〜30) A |
今週の肩の小屋東側 |
ここからは肩の小屋周辺の様子をお伝えします。こちらでも積雪量が多い状態が見られています。肩の小屋東側は、先週の段階では昨年よりも2メートル近く積雪量が多い状態でしたが、今週になるとその差が2メートル以上に達しています。
⇔ | ||
先週の肩の小屋西側 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.7(2014/06/20〜21) A |
今週の肩の小屋西側 雪解けが完了 |
肩の小屋西側は昨年は雪解けが完了しましたので、先週と比較しています。今週に入って、肩の小屋周辺の雪解けが完了しました。この1週間の雪解けは30センチ程度です。
キバナシャクナゲ − 昨年より2週間遅い開花 |
そして、肩の小屋周辺では、ようやくキバナシャクナゲが咲き始めました。昨年より2週間ほど遅い状況です。
肩の小屋は山頂登山の中継地点 |
この週末は天候が芳しくない状況にもかかわらず、山頂登山に向かう方々が多く見られました。肩の小屋の営業は7月からですが、すでに小屋の広場にはたくさんの方が休憩などをされていて、山頂登山の中継場所となっています。
■ Next>> Page6 【山頂までの登山道 T(肩の小屋〜稜線手前)】 ■
■ご注意■
今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)
Copyright (C) 乗鞍大雪渓WebSite |
|