ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.4(2004/06/05) A

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(Update:2004/06/10)

 

【肩の小屋付近】

肩の小屋付近の雪融けはかなり進んでいます。雪融けだけでなく、土砂も流れ込んでいることが滑走エリアを狭めています。肩の小屋付近のエリアではこのあたりが一番狭くなっているところです。

 

登山道

肩の小屋から100〜200メートルほど下がった箇所の先週もお伝えした登山道です。先週は登山道の杭が少しだけ見えていた状態でしたが、今週は雪渓より登山道が2メートルくらい高いところに位置するほど雪融けが進んでいます。大雪渓エリアの中でこの付近が一番雪融けのペースが早いように感じます。

県道沿いの登山道入口から肩の小屋までの間で、登山道が見えているのは、まだこの箇所だけで、雪の上に出ている距離はおよそ30メートルほどです。この箇所の雪融けは昨年よりも1ヶ月近く早いようです。

先週お伝えした肩の小屋から雪渓上部にかかるクレパスについては後ほど【雪渓上部】のところで紹介します。

 

【高山植物】

ハクサンイチゲ(若葉)

先ほどの畳平のコーナーでも申し上げたように、お花畑は先週まで枯れたスゲやカリヤスが一面をベージュ色に覆っていました。しかし今週に入ってベージュの中にうっすらと緑色を呈するようになり、遠くからでもその様子がわかるほどになってきました。近づいて見るとお花畑は一面、ハクサンイチゲの若葉がもっこりと頭を出しています。

こちらの画像は室堂ヶ原のハクサンイチゲですが、今年はほんとに早くから姿をあらわし始めています。畳平のお花畑はこれからハクサンイチゲの大群生がみられますが、大雪渓エリアにはあまりハクサンイチゲはありません。したがって大雪渓エリアでは室堂ヶ原のハクサンイチゲは貴重な存在かもしれません。

 

ウラジロナナカマド(芽)

こちらはウラジロナナカマド。大雪渓エリアにおいてはハイマツについで大型の高山植物ですので誰しも一度は目にしたことのある植物だと思います。ウラジロナナカマドの発芽はほぼ平年並みと思います。枝先から新芽が出ている様子がご覧になれると思いますが、その若い緑の付け根に濃い紫色の部分があると思います。こちらは冬芽(ふゆめ・とうが)のなごりです。冬芽は夏ごろから作られ始め、過酷な冬を乗り切って翌年の春になると、このように新しい芽吹きを始めるのです。

昨年のノリクラ雪渓カレンダー(Vol.22 2003/10/19)でもこの冬芽を紹介しているように、真紅の実やみごとな紅葉でその存在に気づいてもらえない冬芽もそれらが終わった頃には大きな冬芽へと成長しています。

ウラジロナナカマドは新芽を迎える今の時期から、ハイマツの深い緑とウラジロナナカマドの若い緑のコントラストや、その若い緑にきれいな白い花のコントラストが美しい初夏。初秋には緑の葉をバックに真っ赤の実ができ、まるでクリスマスを思い出させてくれます。
そして人々を「ハッ!!」と思わせるみごとな紅葉を迎え、今回ご説明したような落葉が終わったあとの冬芽が見られる初冬など、ノリクラシーズンのすべての期間においていろいろと楽しませてくれる高山植物です。

今シーズンは、ぜひ、その変化を楽しんでみてください。

 

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